楽器可物件はどこまで防音対策が必要?騒音の苦情で失敗しないための秘訣

楽器可賃貸は、ポータルサイトの「こだわり条件」のひとつです。

楽器不可の物件より気をつける点が多いこともあり、流通数は少ないです。

しかし、騒音トラブルの心配なく演奏できる賃貸を探している方は多くいます。

URでも楽器可賃貸が誕生するほどです。

 

音楽好きなオーナー様なら、音楽をやっている方の部屋探しの大変さが分かり、携わる方のための住まいをつくりたいと考える方もいるのでは?

本記事は、楽器可賃貸の防音性、苦情リスクなどについて解説します。

ターゲットが明確なこだわりの賃貸物件のオーナー様になりたい方の参考となる情報が盛りだくさんです。

ポータルサイトで「楽器可」「楽器相談可」と掲載される賃貸とは

楽器可賃貸には、必須の対策があるなど明確な定義があるわけではありません。

防音・遮音性の高い構造をしているか、オーナー様が演奏を許可しているだけかで分類がされています。

 

  • 楽器可
  • 楽器相談可
  • 楽器防音
  • 楽器遮音
オーナー様が楽器演奏を許可している物件 遮音性を高める構造の物件

 

オーナー様が認めているなら、防音性が低いとされる木造でも楽器可物件はあります。

中には、高い防音性を実現した木造の楽器可賃貸もありますが、特別な対策をせずとも楽器可とされている物件もあります。

「楽器防音賃貸」「楽器遮音賃貸」は、防音・遮音性を高めるために以下のような対策がとられます。

  • 床や壁が厚く、遮音性の高い建材が使用されている
  • 建築後に遮音性の検査を時間をかけて実施する

など

「楽器可賃貸」成功のポイント

  • ニーズのあるエリアに建てる
  • 楽器可賃貸が得意な仲介会社やポータルサイトの活用
  • 入居者様へのルールの徹底

ニーズのあるエリアに建てる

音楽をやっている人や音楽に理解のある人が多い街に建てられるのが理想です。

 

騒音トラブルの心配が少なく、賃料が相場より高くても選ばれる物件となる可能性が高いためです。

 

ニーズの高いエリアとして、音楽学校やライブハウスの近くが考えられます。

東京なら上野、国立、下北沢あたりでしょうか。

楽器防音物件や遮音物件は、構造や検査の関係で工事費は高くなってしまいます。

高い工事費は賃料にも反映されます。

 

周辺の物件と変わらない設備・築年数でも、演奏できることを重視する方がいないと、賃料の高さが悪目立ちします。

 

特別な構造でない物件でも、ピアノなど重たい楽器を置いて生じるキズや床の沈みなどで、建物の劣化が早いと予想されます。

修繕を見越し、防音・遮音性を高める工事をしない楽器可賃貸でも、賃料は高めに設定される傾向です。

楽器をやらない入居者も住むことを想定して「楽器可」「楽器相談可」にすると、騒音トラブルが懸念されます。

音楽学校などの近隣の方は、音楽に理解のある方が多いです。

故に、常識的な時間なら、苦情は寄せられにくいと思われます。

 

線路沿いなどは普段から音が聞こえやすいこともあり、演奏する音が気になりにくいとして楽器が許可された物件が多いです。

楽器可賃貸にすることで、一般的な賃貸だと不利になる要素を上手に活用できます。

ウミュース
ウミュース
部屋で演奏できる賃貸を探している方は、「練習するためのスペースを借りるよりコスパが良い」と高い賃料に納得する方が多いです。

賃料の安さを気に入ってもらうより、安心して演奏できる環境を提供することを優先しましょう。

楽器可賃貸が得意な仲介会社やポータルサイトの活用

ポータルサイトでは、構造に関係なくオーナー様が演奏を認めていれば「楽器相談可」で一括にされてしまいます。

音楽をやっている方を想定した物件なら、客付けを楽器可を専門にした仲介会社やポータルサイトを頼るのもひとつの手です。

苦情なく演奏できる(音大生や音楽家の方が練習時間を確保できる)物件でないと「楽器可賃貸」として仲介しない会社もあります。

入居者様へのルールの徹底

24時間演奏できることを強みとする物件もあります。

防音・遮音性に優れている物件でも、夜間や早朝は音が聴こえることも。

防音・遮音性の高さが特徴の物件でも、楽器によって演奏時間のルールを設けていることは珍しくありません。

入居者様の中には「苦情を言って楽器禁止になったらどうしよう」と不安に思う方もいるかもしれません。

入居者様の不安を和らげるには、演奏できる時間を守っていただくことは特に重要と言えます。

 

お部屋の防音対策や、共有設備として防音ルームの設置が難しいなどで、演奏できる楽器の種類を制限する必要があるかもしれません。

演奏できる・できない楽器を明確にすることも大切です。

許可する楽器に制限がある場合、どこまで認めているかはっきりしていると、不動産会社もお客様を案内しやすいです。

「ペット可」「ペット相談可」も需要を絞った賃貸住宅の形

ペットと暮らせる賃貸も入居需要を絞った賃貸住宅の形です。

設備選びによりますが、防音設備や遮音試験など楽器可賃貸を建築するよりも設備にかける費用が低いため挑戦しやすいです。

ペットを飼える物件も、ポータルサイトの「こだわり条件」で指定して検索できます。

物件の種類は以下のように分類されます。

ペット可(ポータルサイトでは「ペット相談可」で検索できることが多い) ペット共生型
オーナー様がペットを飼うのを認めている物件 ペットとの暮らしを想定した設備付きの物件

ペット共生型物件は、ペットが楽しめる作り付け家具やペット用フロア材、ペット対応壁紙などの工夫がされています。

ペットを飼える賃貸物件のポイントも、楽器可賃貸と共通です。

  • エリア選定
  • 個別のルール設定

ペットを飼う方にとって、動物病院やペットショップの近さは魅力です。

ワンちゃんOKの飲食店が多いと感じるエリアは、犬を飼っている方が多いと予想できることから、需要がありそうです。

ペット禁止の賃貸にはないルールとして、下記のような内容が含まれます。

  • ペットを飼っている人と飼っていない人でトラブルが起きた時の対処について
  • 飼えるペットの数・種類の制限
  • 予防接種の証明の提出
  • ペットを飼う方の原状回復費用の負担

など

こだわりの強い賃貸物件は一般的な賃貸以上に緻密な戦略が大切!

楽器可賃貸は、流通数が少なく賃料は高めです。

部屋数が少ないのは、ニーズがないからではありません。

建築費や修繕費、騒音トラブルなどのリスクを考え、計画を諦めるオーナー様が少なくないからかもしれません。

ニーズの高い場所にあり、求められているレベルの防音・遮音性を備えていれば、客付けしやすい物件になるはずです。

 

居住用であれば居住者の住みやすさを考えて建築するなど使用用途に合った建物を作ることは建築を行う事業者の使命でもあります。

当社では、木造アパートの建築を行っています。

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この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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