一人暮らしに必要な費用とは?賃貸の初期費用を抑える5つの方法&払えない時の3つの対処法

もうすぐ引越しのシーズンですね。弊社、日生リビングシエスタの賃貸アパートにも新生活とともに上京・お引越しされる方が毎年多く入居されています。

はじめての引っ越しだと、部屋を借りるのにいくら用意すれば良いか不安な方は多いでしょう。
賃貸契約には、家賃以外にもさまざまな費用が発生するので、初期費用としてある程度まとまった金額が必要です。

しかし、契約・引っ越し時期や入居物件を工夫すれば、初期費用が安くなる可能性も。
そこで、賃貸契約にかかる費用を説明しながら、初期費用を抑える方法と払えない時の対処法を紹介します。

賃貸にかかる初期費用

賃貸契約には、初期費用として下記の費用がかかります。

賃貸の初期費用
敷金
礼金
前家賃
仲介手数料
火災保険料
家賃保証会社の保証料

場合によっては「日割り家賃」「鍵の交換費用」も発生します。

敷金・礼金

敷金とは、賃料を支払えなくなった場合の補てん、故意・不注意による傷や汚れなどが生じた際の修繕費用などの担保として支払うもので、家賃1~2ヶ月分が相場です。
家賃の未払い分や退去時の原状回復費の支払いがなければ、原則返金されます。

礼金とは、大家さんへの謝礼のようなもので、金額は家賃1ヶ月分が目安です。
戻ってこないお金ですが、国土交通省の調査を見ると、かからないケースが増えていると分かります。


(引用元:令和元年度住宅市場動向調査報告書

西日本では「保証金」「敷引」が一般的

西日本で敷金・礼金に代わり発生するのは、「保証金」と「敷引」です。

保証金は、家賃の未払いや退去時の修繕費のために支払います。
目的は敷金と似ていますが、金額は家賃4~7ヶ月と敷金より高いです。

敷引は、原状回復費、家賃の未払い分があれば退去時に保証金から差し引かれます。
つまり、退去時に家賃滞納・原状回復の負担が必要といった事態にならなくても、保証金は全額返還されません。

敷引の相場は家賃2~4ヶ月分と礼金よりかかりますが、返金されない点では似ているでしょう。

前家賃

前家賃とは、契約時に事前に支払う、翌月分の管理費・共益費込みの家賃のことです。
1ヶ月分の家賃を支払うケースが多いですが、翌々月分とあわせて支払うことも。

不動産会社・大家さんの中には、入居日と家賃の引き落とし日の期間によっては、初月の支払いも通常の支払い日と同じで良いとすることもあります。
最初の家賃を契約時に支払わないので、前家賃は発生しません。

仲介手数料

仲介手数料は、物件を紹介した不動産会社と契約する際に支払うものです。

国土交通省は「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」で、以下のように定めています。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は 建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・一倍に相当する金額以内とする。
この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。


(引用元:宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)最終改正令和元年8月30日国土交通省告示第493号

よって、仲介手数料は家賃0.5~1ヶ月分+消費税が目安になります。

火災保険料

火災保険料は、火災や水漏れなどのトラブルへの備えとして加入する保険の料金のこと。
賃貸契約では、保険への加入を義務づけられることがほとんどです。
2年契約が一般的で、1.5~2万円程支払います。

日割り家賃・鍵の交換費用・保証料

日割り家賃は、入居開始日から月末までの日数分かかる家賃のことで、以下のように計算します。

日割り家賃の計算方法
家賃(管理費・共益費込み)÷入居開始月の日数×入居日数

日割り家賃は、入居開始日と月末までの日数によって金額が変わります。
家賃6万円の部屋で、入居開始日4月11日と4月26日の場合で比較してみましょう。

 

入居開始日 4月11日 4月26日
日割り家賃 6万÷30日×20日=4万円 6万÷30日×5日=1万円

 

ただし、入居開始日が1日(不動産会社によっては上旬)の場合、家賃は日割りではなくひと月分で請求されるので、日割り家賃は発生しません。

鍵の交換費用は、以前の入居者が使用していた鍵から新しい鍵に交換するための費用で、相場は1.5~2万円です。

保証料は、保証人の代わりとなる家賃保証会社に加入する際に支払うもの。
連帯保証人がいれば利用しなくて良いこともありますが、保証会社への加入が必須の物件は増えています。
保証会社やプランによって異なりますが、最初に家賃の30~100%、または、固定金額の支払いが必要です。
契約更新(1年ごとのケースが多い)の度、更新料を支払うことも覚えておきましょう。

初期費用のシミュレーション

引っ越し前に初期費用としてどれくらい確保しておくと良いのか、入居開始日を20日(1ヶ月30日)とし、家賃3万円と9万円の場合をシミュレーションしてみました。

家賃3万円と9万円の初期費用例

家賃 3万円 9万円
敷金 3~6万円 9~18万円
礼金 3万円 9万円
前家賃 3万円 9万円
仲介手数料 1.65~3.3万円 4.95~9.9万円
火災保険料 1.5~2万円 1.5~2万円
日割り家賃 1.1万円 3.3万円
鍵の交換費用 1.5~2万円 1.5~2万円
保証料 0.9~3万円 2.7~9万円
合計 15.65~23.4万円 40.95~62.2万円

 

上記から、物件の契約にかかる費用だけでも、最低4ヶ月分、場合によっては7~8ヶ月分かかると考えられます。

引っ越し料金は、引っ越す人の多い2~4月は高めの設定です。
単身での引っ越しか2人以上での引っ越しか、引っ越し距離や荷物の多さなどで料金は変わりますが、下記が引っ越し料金の相場になります。

引っ越し料金相場

単身 2人 3人 4人
通常期 3.5~6万円 6.5~16万円 8~20万円 10~24万円
繁忙期 4~10万円 8~20万円 10~28万円 12~30万円

 

家電などはどれくらいのスペックのものを買うのか、どこまで揃える必要があるのかなどで費用は大きく異なりますが、15~20万円ほどあれば、生活に必要なものは購入できるでしょう。
初期費用でお金を使い果たし、引っ越し後の生活がカツカツとなることを避けるために、1~2ヶ月分の生活費も確保できると安心です。

初期費用を抑える5つの方法

賃貸への引っ越しは、家賃半年分ほどの初期費用はかかると想定されますが、選ぶ物件や引っ越し時期によっては、費用を抑えることも可能です。

敷金・礼金の安い物件を選ぶ

同じ家賃でも、敷金・礼金が家賃1ヶ月分か2ヶ月分かで初期費用に差が出るように、敷金・礼金を抑えることが初期費用を抑えることにつながります。
空室期間の長い物件だと、空室が続くより値下げしても入居してもらいたいと考える大家さんもいるので、敷金・礼金が設定されていても、値下げ交渉してみるのもおすすめです。

ただし、値下げしてもらったのに契約しないのは好ましくないので、すぐにでも入居したいほど物件を気に入った、家賃がもう少し安ければ契約したいなど、入居を前提として交渉しましょう。
敷金は物件に不具合があった場合の費用充当に使われるものですが、礼金は契約や物件の維持には関係ない費用なので、交渉は礼金がおすすめです。

家賃相場の安いエリアで部屋を探す

家賃が高いほど初期費用はかさむので、家賃を低くすることも、初期費用を抑えるのに効果的です。
駅近物件、オートロック付き、独立洗面台など、利便性の高い特長のある物件ほど家賃は高いので、賃貸で譲れない条件が少ないほど、家賃を抑えて理想の部屋が見つかるでしょう。

しかし、部屋の条件を最小限にしても予算をオーバーしてしまうのであれば、家賃相場の安いエリアで物件を探すことをおすすめします。
乗り入れ路線が少ない・各駅停車のみの駅、学生が多く下宿しているといったエリアは、家賃が安い傾向です。

引っ越し時期を調整する

3~4月や8~9月は、引っ越しを伴う入学や入社、転勤が多い時期なので、家賃を安くしなくても入居希望者はいます。
しかし、需要のある時期でも入居者がいなければ、しばらく空室が続くことを避けるため、家賃を下げたり礼金をゼロにしたりして入居者を募ることもあるので、お得に契約できることも。
値下げ交渉に応じてもらえる可能性が高いのも、繁忙期以外の引っ越しがおすすめの理由です。

引っ越す人が多いと業者は特に忙しくなり、引っ越し料金も割増されるので、引っ越し料金を多く払わずに済ませるためにも、引っ越しの少ない時期の入居を検討してみましょう。

引っ越しのタイミングに関しては、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

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フリーレント物件や家具・家電付き物件を検討する

フリーレント物件とは、入居してから一定期間は家賃無料で住める物件のこと。
契約更新まで住み続けるのであれば問題ないですが、フリーレント期間中や定められた期間未満に解約すると、違約金やフリーレント期間分の家賃を支払わなくてはならない点に注意が必要です。

はじめての引っ越しは、家具・家電を揃える費用も気になるところ。
そこで、短期間住める物件を探している、家具・家電を購入する時間がないといった方は、家具・家電付き物件を検討してみてはいかがでしょう。

家具・家電付き物件の注意点として、家賃が高く設定されているので、長期間の居住に向かないことが挙げられます。
また、好きな家具・家電を揃えることができないので、こだわりがある方は、理想の部屋づくりができないことにデメリットを感じるでしょう。
自分で家具・家電を選びたい方は、ディスカウントストアを探したり、新生活応援セットをチェックするのも手です。

引っ越し料金を抑える工夫をする

業者の忙しい時期に引っ越しせざるを得なくても、運んでもらう荷物を減らしておく、午前便より料金が安い午後便やフリー便(日付指定のみで時間は指定できないプラン)を指定するなどが、引っ越し料金の節約になります。

友人・知人・家族に手伝ってもらえれば、業者に依頼する費用を浮かせることが可能です。
どれほど仲の良い友人や家族であっても、貴重な時間を割いてくれるのは業者と同じなので、3,000~5,000円+交通費分の謝礼、または、相当額の商品券を渡したり、ごちそうしたりして忘れずに感謝を伝えましょう。

初期費用はいつ払う?払えない時の対処法は?

初期費用は、賃貸契約を結んでから入居前の指定された日までに支払いが必要です。
しかし、どれほど費用を抑える工夫をしても、まとまった金額が必要なことには変わりないので、初期費用を用意できないことも想定されます。

そこで払えない時の3つの対処法を確認しておきましょう。

クレジットカードの分割払いを利用する

不動産会社によっては、クレジットカードの分割払いで初期費用を支払えます。
利用できるクレジットカードや支払い回数は会社によって異なるので、初期費用の支払いが不安な方は、事前にクレジットカード決済できるか否か確認すると良いでしょう。

自治体の助成金を活用する

子育て世帯や、同一市区町村内に親世帯と子世帯が住む場合など、対象世帯が限定的ではありますが、引っ越しに伴う初期費用を助成してくれる自治体があるので、引っ越し先の自治体で助成金があれば、利用を検討してみてください。
ただし、住宅の広さ・申し込み期限・助成金を受けられる世帯数などに条件があります。

初期費用のことも考えた物件選びを!

新生活には、家賃以外にも多くの費用がかかります。

ただし、敷金・礼金の安い物件に入居する、引っ越す人の少ないタイミングで引っ越すなど様々な方法で費用を抑えることはできます。

この記事をお読みの皆様が、良い新生活が送れるように願っています。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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