競艇場は東京の副産物?府中は東京の建設ラッシュを支えた街だった!

皆さんゲームセンターに行ったことがありますか?

僕はあまり自発的には行かないのですが、友人と一緒なら行くことがあります。

ゲームセンターにはいろいろなゲームがありますよね。クレーンゲームやメダルゲーム、シューティングゲーム、またダーツやフリースローのような身体を使うものもあります。

目移りするほどにたくさんのゲーム機があり、「様々な人々のニーズを満たした空間なんだなぁ」と感嘆しました。

ゲームセンターによくあるゲームの1つにレースゲームがあります。

レースは勝敗がわかりやすく、多くの人が楽しむことができるものです。

賭け事の対象にもなりやすく、日本国内でも競馬・競輪・オートレース・ボートレースなどが国営で提供されています。

本日はその中でも府中市の多摩川ボートレース場に着目し、府中がどのように高度経済成長を支えてきたのかをお伝えします。

高度経済成長期の建設ラッシュ

日本の近現代史を語る上で、必ずと言っていいほど登場する用語の1つに高度経済成長があります。

この時期には国内の経済規模が爆発的に成長するとともに、国民の所得は大きく向上し、先進国の仲間入りを果たしました。

現代国家の基盤をたった数十年で作り上げた、異常とも言える程の急成長だったのです。

そんな中でインフラ整備も進み、多くの建築物が建設されていきます。

都心の高層ビルや鉄道施設の拡充、高速道路の建設など、建設ラッシュと呼ばれる現象は東京を世界屈指の大都市に成長させました。

そして、それらの建築物を建設するために、大量の資材が消費されました。

中でも耐久性・耐火性に優れ、形状の自由度の高い建材であるコンクリートは、多くの建築物に利用されました。

コンクリートの強度の秘密とは?

ダムや高速道路などの巨大建造物に利用されるなど、素人の我々から見ても堅牢な資材の代表格であるコンクリートですが、どのようなものなのかご存知でしょうか?

コンクリートとはセメントに砂利や砂などの骨材を混ぜて強度を増したものです。

セメントとは水を加えると熱を発しながら固まっていく建材で、石灰岩を原料としています。

ただし、セメント単体では割れやすく強度が不十分であり、セメントだけで建築物を作ることは不可能です。

そこで、細石や砂などを骨組みにする事で強度を増し、さらに鉄筋などで補強することで非常に堅牢な素材になるのです。

セメントに混ぜる砂利や砂のことを骨材と呼び、コンクリート全体の重量・体積の7〜8割を占めています。

ちなみにモルタルは粒度の小さい骨材(砂)のみを使用したものを指します。

多摩川の『砂利』をコンクリートの骨材に!

東京で大量のコンクリートが消費されたということは、大量の骨材が必要になったということです。

どこかから砂や砂利を集めて東京に運ばなければなりません。

その時に目をつけられたのが河原にある砂利です。

高度経済成長期には、東京に近く輸送費がかからない上に砂利が豊富だった多摩川で大量の砂利が採掘されました。

1960年代に川砂利の祭主が禁止されるまで、採掘された砂利は鉄道で都心へ運ばれており、砂利を都心に運び込むために敷設された鉄道を砂利鉄道と呼ぶことがあります。

現在のJR五日市線・南武線や京王相模原線・西武多摩川線は砂利鉄道の代表例と言えます。

砂利鉄道の1つである西武多摩川線は、JR中央線から府中市の多摩川沿いに位置する是政までを結ぶ路線ですが、その沿線には現在多摩川ボートレース場が建っています。

実はこの場所こそ、かつて多摩川の砂利を採取していた場所なのです。

府中で採掘された砂利は、砂利鉄道を利用して都心に運ばれ、高度経済成長に伴う建設ラッシュを支えました

つまり、多摩川ボートレース場は東京に様々な建築物を作った結果生じた土地を利用して建設されているのです。

まさに東京の副産物と言えます。

多摩川ボートレース場の真北には京王線の東府中駅が位置しています。

当駅の近くには当社の建築・管理物件であるシエスタヴィラ東府中グレシアーレが立地しています。

資源を大切に!

今回、府中などの多摩川流域で採取された砂利がコンクリートの骨材になり建設ラッシュを支えたということをご紹介しました。

多くの人が普段何気なく接している、もしかしたら目にも留めない存在かもしれない砂利が、こんなにも東京に大きな役割を持っているということに驚いていただけたのでは無いでしょうか。

私たちの生活を支えている重要な資源は、意外にも砂利のようにありふれた物である場合もあるのです。

砂利以外で、意外な資源といえばです。

砂は砂利と同様にコンクリートの骨材として利用されるほか、埋立地の造成や、様々な製品の原料となる資源なのです。

しかし砂はありふれた資源であるがために管理が甘く、枯渇が始まっているとも言われています。

(ちなみに、砂漠の砂は粒度などの関係で資源として利用できません。)

そのため砂を巡って紛争になるなど、様々な社会問題を抱えています。

まさにコモンズの悲劇ですね。

「灯台下暗し」というように、身近にありふれている物にはどうしても注目が薄らいでしまいます。

当たり前のものをしっかり見直してみる事が大事なのかもしれません。

この記事を書いた人
賃貸知識BANK編集部
不動産市場や投資に関する情報を専門的な視点で解説しています。資産形成や投資戦略に役立つコンテンツを実務的な目線でお届けします。
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