東京都は賃貸住宅を含め、太陽光パネルの設置義務化を進めています。
まだ確定していないことも多いですが、検討中の条件や違反した場合の罰則について分かっているものを紹介します。
義務化への反対意見を多く目にする方もいるかと思います。
なぜ反対されているのか、都の反対の声への取り組みもあわせてお伝えします。
目次
東京都が新築への太陽光パネル設置義務化の方針。いつから?
令和4年度の条例成立を目指しています。
条例が成立すると、これまでは導入の検討義務だったのが、設置義務となる見込みです。
対象の建築物も増え、賃貸住宅含む新築の住宅も含まれるようになります。
なぜ義務化?
建物から出る二酸化炭素の量を減らすためです。
東京都で排出される二酸化炭素の原因の約7割は建物です。
エアコン使用時などに化石燃料由来の電力を消費していることと関係しています。
そこで、有害物質を出さない太陽光パネルなら、建物から出る二酸化炭素の排出量を減らせると期待されています。
令和4年6月時点に分かっていること
賃貸住宅での計画などは未定です。
よって、賃貸以外の建築物と同じ扱いになるのか、別の基準や制度が設けられるのかはまだ分かりません。
床面積2,000平方メートル未満の新築建築物を、義務化の対象に加える予定です。
2,000平方メートル未満の新築建築物のうち、都内で年間2万平方メートル以上を供給する事業者に義務づけられます。
オーナー様への義務ではないと言えます。
違反した場合、罰則は考えられていませんが、指導・勧告・助言は検討中です。
東京都と政府が検討中の基準
規制対象 |
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---|---|---|
国の方針 | 義務化せず、市町村が促進区域を設定することを想定 | |
東京都の方針 | 2,000平方メートル未満 | 85%程度の設置義務化 |
2,000平方メートル以上 | 設置義務化 |
反対意見も多い理由は?
インターネットを中心に、反対の声が多く寄せられています。
9割以上「反対」と答えられたSNS上のアンケートもあります。
- 太陽光パネルが使えなくなった時の廃棄問題
- 住宅購入費やメンテナンス費アップ
などが理由です。
太陽光パネルの設置費が住宅価格に上乗せされる懸念から、京都府と群馬県の条例で、一戸建ては対象外としているほど。
国会に提出中の「建築物省エネ法改正案」で政府は義務化までは明記していません。
建築物省エネ法は、平成27年7月に交付されました。
住宅以外の一定規模以上の建築物のエネルギー消費性能の向上を目的に、基準への適合義務などが定められました。
令和元年5月、改正建築物省エネ法が公布されました。
パリ協定の温室効果ガス排出削減量の目標達成のために、住宅の対策も必要になったためです。
省エネ基準適合建築物の対象拡大、トップランナー制度の対象に賃貸アパートを供給する大手住宅事業者の追加などがまとめられています。
トップランナー制度は、省エネ基準以上の基準を設定して、省エネ性能の向上に努めることです。
設置義務化の理解を進めるために東京都がやっていること
使えなくなった太陽光パネルの処分と費用面で理解を得られていないのが現状です。
東京都の取り組みや考えている対策を紹介します。
処分の問題への対策
「パネルのリサイクルなどの処置は都がやっている」と会見で説明しました。
廃棄物処理業者も巻き込み、再利用などの仕組みを明確にする予定です。
現時点でどのように環境に優しい形で処理しているのか知られていないのが、反対意見の多さにつながっているのではないでしょうか。
本当に無駄な廃棄は出ていないか、新しい処理の形と環境への配慮などをもっと公開した方が良いかと思います。
「義務化するなら補助金が必要では」という意見に対して
住宅生産団体連合会(住団連)は、設置の必要性に理解を示しています。
一方で、「建築主・住宅購入者へ行政からの補助が必要」との見解です。
東京都は既に、新築住宅で太陽光パネルを設置する場合、12万円/kW、最高36万円/棟の補助金を設けています。
※省エネ対策予算の増加で、令和4年着工分からは最高500万円/棟となる予定です。
しかし、設置が必須となれば、さらに予算が必要と見込まれます。
有識者検討会でも「税金が使われることから補助金を出し続けるのは適切でない」との意見も出ています。
民間資金で補助金パネルを設置する代わりに電力を電力会社などに売る「屋根貸し」といった仕組みの普及も提案されています。
詳細な情報が待たれます
- 廃棄が問題にならない形で処理していること
- 市民への負担は小さくする対策に取り組んでいること
上記を発信しないことには、義務化の理解は得られないのではないでしょうか。
賃貸住宅の方針が未定など、太陽光パネルの設置で不動産経営がどこまで影響を受けるのかはまだ分かりません。
太陽光パネルは本当に環境にやさしいのかなど、疑問や不安を抱く方が多いのが現状です。
事業者は、設置義務化に備えるだけではなく、賃貸住宅のオーナー様への情報共有も大切になりそうです。
- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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