不動産投資で最初の物件として購入することが多いのが中古物件。
中古物件は建物の劣化状況によって運用後のリスクが変わります。
リスクを知ったうえで購入したいですよね。
そのリスクを知る方法、あるんです。それが「建物診断」
今回は、実際にあった中古物件の売買事例を踏まえて中古物件の建物診断についてご紹介します。
中古物件と新築物件違いは経年劣化リスクにあり
建物は、株式や紙幣と違い経年劣化します。
建物は時間と共に経年劣化をするため維持管理が必要です。
国土交通省が作成した「長期修繕計画作成ガイドライン」には新築物件では30年の期間での修繕計画を立てることと記載があるなど公的にも維持管理が望まれています。
中古物件と新築物件では購入時に既に運用後のリスクに違いがあります。
その違いの理由は建物に劣化するという性質があるためです。
新築物件では構成する部材や設備が新しく経年劣化による修理発生のリスクが低いため費用、手間がかかりづらいです。
しかし、同規模の中古物件と比較すると価格は高いです。
中古物件は新築の建物よりも価格が低い代わりに既に経過した年数に応じて経年劣化をしているため管理の手間と修繕費がかかります。
このように価格に違いがあるため、最初の1棟目として中古物件を購入し、事業規模を大きくしていくというお話もよく聞きますよね。
中古物件は新築と違い購入前に確認しておきたいのがこのように手間や修繕費がかかるというリスクです。
購入前に未知の経年劣化リスクを回避する手段となるのが建物診断です。
新築物件 | 中古物件 | |
価格 | ↑ | ↓ |
建物リスク | 経年劣化による修繕が発生しにくい 修繕費用、手間がかかりにくい |
経年劣化による修繕が発生しやすい 修繕費用、手間がかかりやすい |
建物診断とは
建物診断とは、すでに建っている建物に対し専門家の手で目視、触診などを行い現状の建物に潜むリスクを診断することを言います。
報告は、物件調査報告書という形で提出され、写真と共に診断の詳細な結果が記されているものが多いです。
専門知識のない方でも診断結果をみることで建物にひそむリスクを知ることができる重要な資料です。
簡易建物診断では、専門用具を使い建物の全体の状態を専門家の目により診断します。
本格的な建物診断では、給排水管内部やコンクリート内部の調査までくわしく検査が行われます。費用は建物規模や実施内容によって20万~100万円と幅があります。
購入者本人が住むような実需用物件でも「ホームインスペクション」という形で診断が行われます。
劣化を放置すると退去⇒空室⇒家賃収入減とだんだん状態が悪化していくことから建物の状況をオーナー様自身が把握しておくことには意味があります。
簡易建物診断の内容
以前当社管理物件で簡易建物診断を行った際の資料を元に内容を紹介します。
調査方法は、目視調査と指触調査です。劣化度合いと緊急度がA、B、Cで表記されています。
【項目】
・外壁下地
・シーリング
・外壁・鉄部塗装
・屋根
・階段
【内容】
・状態はどうなのか
・劣化の兆候は起きているのか ex)チョーキング現象
・このままの状態だと何が起きるのか
・推奨する工事は何か
建物診断は診断結果を見て適切な修繕が施されることを目的として作られています。
劣化があればどのように対応すればよいのか専門家のアドバイスが記載してあります。
購入時点での修繕リスク把握がおすすめ
建物診断は、購入時の建物リスク把握にも役立ちます。
建物は建てた後もメンテナンスが必要です。
長期保有を目指すのであれば長期修繕計画を策定し計画的に修繕費を貯めながら賃貸経営をするとより計画的な経営ができます。
注意したいのが、修繕工事が必要という結論前提に診断がされているケースがあることです。
入居者に危険が及ぶような喫緊な部位の修繕はもちろん必要ですが、その他の部分については予算と相談しつつ実施の判断を行うことをお勧めします。
- この記事を書いた人
- 賃貸知識BANK編集部
- 不動産市場や投資に関する情報を専門的な視点で解説しています。資産形成や投資戦略に役立つコンテンツを実務的な目線でお届けします。
- 「運用する」カテゴリの最新記事