なぜ新電力会社の倒産が増えた?事業撤退による契約者への影響とは?

電力自由化で、新たに電力を小売りする新電力会社が登場しました。

ところが、2022年夏現在新電力会社の倒産が増えています。

どのくらいの事業者が廃業しているのか、事業の撤退理由とあわせて解説します。

3社の事例から契約者への影響についても予想してみました。

新電力会社の倒産・事業撤退の原因とは?

原油・液化天然ガスの高騰による影響を受けたためです。

新電力会社は、電気料金の安さが特徴です。

しかし、原油などの価格が高騰すれば、電力卸売価格も高くなります。

結果、利益が減り、事業を続けるのが難しくなります。

電力会社が事業を止めたらどうなる?

契約予定だった電力会社が倒産などになっても、従来の電力会社に切り替えれば、電気が使えなくなることはありません。
新しい契約先が見つかるまで、地域の電力会社から電力供給されることになっているためです。

ただし、電気料金は予定より高くなるかもしれません。

従来の電力会社からも新規契約を断られ、切り替え先が見つからない事例は、高圧電力(50kwh以上)の契約で多いです。

 

契約済みの方に電気を安定供給できるよう、新規申し込みを停止する事業者も出てきました。

既に契約している方は、電気料金が値上げされます。

管理会社は、入居者さんに料金変更のお知らせが必要になりました。

倒産した事業者のデータから予想される契約者への影響

帝国データバンクによると、2021年4月時点に登録されていた新電力会社は706社です。

そのうち104社が倒産・廃業・事業停止・撤退しました。

内訳は以下の通りです。

・契約停止69社

・撤退16社

・倒産・廃業19社

本記事では3社の状況を紹介します。

ISエナジー

負債総額 約5.73億円(債権者14名に対し)
販売電力量 1,568kwh(2021年1月時点)

沖縄県を除く全国が対象の事業者です。

SNSで「不動産会社に言われて契約した」という書き込みがありました。

オーナー様・入居者さんどちらにも影響があったのではと考えられます。

電力事業終了のお知らせが遅かったとの声が多く、新たな契約先に困った方が多かったと予想します。

ISエナジーは、都市ガス事業も展開していました。

都市ガス事業は、関連会社に移されています。

アンフィニ

負債総額 86.87億円
販売電力量 21,901kwh(2021年1月時点)

新電力事業や太陽光発電を手がける事業者です。

被災地の雇用のため、福島県に工場もつくっていました。

 

電気事業は、吸収分割で継承されています。

SNSでも「今のところ問題なく使えている」との声もあり、ISエナジーより契約者への影響は小さかったのではと考えられます。

太陽光も、事業継承の予定です。

ホープエナジー

負債総額 約300億円
販売電力量 182,414kwh(2021年1月時点)

電力小売り事業に参入したホープが設立した事業者です。

自治体・公共施設などを中心に、約500ヶ所に電力供給していました。

供給先は公共施設などが中心のため、集合住宅など一般家庭への影響は少なかったのではと予想します。

どのような新電力会社が倒産すると影響が大きそう?

・事業が引き継がれない

・契約者へのお知らせが遅い

上記に当てはまる会社と契約している場合、新たな契約先を見つけるのが大変そうです。

従来の電力会社を含め、電気を供給する会社は複数あります。

契約先が見つかるまで地域の電力会社を利用できるなど、電気を使用できないことはないはずです。

※契約内容、契約したい人が殺到するなどで、断られる可能性はあります。

 

ただし、社会情勢などの関係で、電気料金値上げの影響は受けそうです。

倒産・事業撤退のリスクの低い電力会社を見極めましょう

お得な電気料金が売りの新電力会社は、電力卸売価格の影響を受けやすいです。

自社の発電施設がないと、電力需要が高まった時、対応できないことも懸念されます。

安心してお得に電気を使い続けるには、自社の発電施設を持つなど、電力を安定供給できる可能性の高い会社との契約がポイントです。

▼関連記事

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
「暮らす」カテゴリの最新記事