最近よく耳にするようになりました「ハウスリースバック」
一言で言うと「住みながら家を売却できる!」という、状況によってはとてもありがたいシステムですが実際のところはどうなのでしょうか?
無用なトラブルを避けるためにも「ハウスリースバック」を正しく理解しましょう!
目次
ハウスリースバックとは?
ハウスリースバックとは、所有不動産を売却した後も退去せずにそのまま住み続けることができるシステムです。
まず不動産会社や身内に売却して現金を受け取ります。その後取引相手との間に賃貸借契約を締結する仕組みとなっています。
所有者としての権利を失いますが、今まで通りそのまま住み続けることができるので「お金が必要だけど引越ししたくない」という時にぴったりです。
そんな「ハウスリースバック」、 近年どんどん注目が集まっています。
「不動産リースバック利用者への総合調査」によりますと、利用者の割合はアンケートを行った全体の3%ですが、前年比から見ると1.5倍となっています。そしてこのままニーズは高まっていくと言われています。
参考不動産リースバック利用者への総合調査/2020年版リサーチ調査
ハウスリースバックが広まった背景
近年でニーズが一気に広まった背景としましては、
①高齢化社会を背景にセカンドライフの資金を備えておきたいという人が増えた
②新型コロナウィルスの影響で住宅ローン返済が困難になった
③不動産の相続トラブルを避ける為の資産整理
などが挙げられます。
背景をみてもニーズが増え続けるのが納得できますね。
ハウスリースバックのメリット
ハウスリースバックのメリットをご紹介します。
①売却後も住み慣れた家に住める
こちらが最大のメリットと言えるでしょう。
売却し、売却収入を得た後もそのまま愛着ある自宅に住み続けることができます。
②将来的に買い戻せる可能性がある
「再売買予約権」をつけて契約できる場合は将来買い戻せる可能性があります。
ただしこの「再売買予約権」は、家を買い取りリースバックしてくれる事業者が認めている場合に限られるので、全てのリースバックで買い戻しが可能という訳ではありません。
③現金化まで時間がかからない
リースバック業者が買主となるため一括現金買取です。
したがって住宅ローン審査などの手間がかかる一般的な不動産売買と比べると現金化までの期間が早いと言えます。
④所有するコストがなくなる
固定資産税や都市計画税、建物の修繕費、火災保険料などの費用は所有者が負担するので不要です。
その代わり毎月一定の賃料を支払います。
ハウスリースバックのデメリット
次にデメリットをご紹介します。
①売却価格が周辺相場よりも安くなりがち
リースバック業者が賃貸収入を得る投資用不動産として査定し利回り重視で考えるため、周辺相場の60〜90%になることが多いです。
さらにリースバック期間終了後の不動産市場に変化が生じている可能性もあるため、その損失も考慮された買取価格となる訳です。
②毎月の家賃が周辺の家賃相場より高くなることがある
家賃価格は周辺の家賃相場から設定されるのではなく、リースバック業者の買取価格に対する利回りを考慮して設定されます。
家賃の目安は売却価格の8〜10%程度になることが多いです。
③買い戻し価格が売却価格より高くなる場合が多い
売買による必要経費や上乗せ利益が買い戻し価格に上乗せされるため、売却時より買い戻し時の価格が高くなるケースがあります。
④修繕費が借主負担と定められている場合がある
通常修繕費は貸主負担ですが、ハウスリースバック 契約の場合は特約で「修繕費は借主負担」と定められていることが多いです。賃貸借契約締結時にきちんと確認する必要があります。
リバースモーゲージとは違うの?
ハウスリースバック と似ているシステムとして「リバースモーゲージ」があります。
「リバースモーゲージ」とは融資商品の一種で、自分の土地や建物を担保にして金融機関から融資を受けることができます。
毎月利息を払いながら住み続けることができ、契約者が亡くなったもしくは約束の期限が到来した時に自宅を処分して借りたお金を返す仕組みとなっています。
ハウスリースバック →自宅を売却 |
リバースモーゲージ→自宅を担保に借り入れ |
ハウスリースバック と違い物件の所有権は移行しないので固定資産税の納税義務はそのままです。
そして、亡くなった後自宅は売却され借金残高を相殺するため利用者の大半は60歳以上のシニア層が多くなっています。(60歳以上といったように年齢条件を設けられていることが多いです)
「自宅を使った資金調達」として混同されやすい2つのシステムですが、仕組みは全く違っています。
不動産売却の選択肢の一つ
いかがでしたでしょうか、話題の「ハウスリースバック 」についてご紹介しました。
捉え方はそれぞれですが、資金調達としては有効な方法と言えますね。
ただあくまで不動産売却手法の一つで注意点もあるため、メリットデメリットをしっかりと理解し自分の利用に適しているかどうか慎重に判断することが大切です。
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- この記事を書いた人
- 北川 まな
- 娯楽雑誌編集部を経て現在はフリーランスWEBライター。 育児をしながらイベントMCとライターの二足のわらじを履いて活動しています。 子どもの頃から本を読むのが好き、今でも活字を読むことが生活の一部、同時に自分でも文章を書くのが好き。とにかく活字が好きです。 MC、リポーターに経験を活かしてインタビュー記事と取材記事が特技。 「企画・取材・執筆」などを複数のメディアで行っています。
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