公示地価とは?決め方・路線価との違い・推移などをわかりやすく解説します

公示地価とは、不動産の売値・買値が適正か判断するのに役立つ基準のひとつです。

これまでの推移と上がる・下がる傾向の見方などが分かると、今後を予測する参考にもなります。

令和4年のランキングなどを紹介しながら、公示地価の概要をまとめました。

公示地価とは

適切な土地の価格にするために公表されるものです。

毎年1月1日時点の標準地の1平方メートルあたりの正常な価格が3月に発表されます。

地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が公表します。

令和4年公示の際の標準地は26,000地点あります。

 

正常な価格は、土地を売買した際に売り手・買い手どちらも特殊な事情(急いで売却したいなど)がない時に成立するだろう価格です。

客観的に土地の価値の分かる価格と言えます。

目的

  • 土地取引の指標
  • 不動産鑑定の基準
  • 公共事業用地の取得価格を求める際の基準
  • 土地の相続評価・固定資産税評価の基準

など

決め方

全国の分科会に所属する不動産鑑定士が標準地を選定し、土地の価値に影響を与える要因などを分析・検討して評価します。

令和4年の公示について

最新の公示地価や価格の動きは、今後の予測や土地の価値に影響する要因などを分析する参考になります。

三大都市圏と地方圏の変動率

三大都市圏 地方圏
住宅地 商業地 住宅地 商業地
令和4年 0.5% 0.7% 0.5% 0.2%
令和3年 -0.6% -1.3% -0.3% -0.5%

※三大都市圏:東京・大阪・名古屋圏

地方圏:三大都市圏以外

 

新型コロナの行動制限緩和のおかげで、回復傾向です。

 

低金利などで住宅需要が増えたことに伴い、住宅地の地価も上昇しました。

交通の便が良いなどの住宅地は、上昇が続いています。

上昇した地点が広がっているのも、令和4年の特徴です。

リモートワークなどで、都心でなくても都心部にアクセスしやすい街なども需要が高まっているためと思われます。

商業地は、都心近郊で店舗・マンション用の需要の高まりを受け上昇しています。

日常生活に必要な店舗などの需要の高い場所、再開発が期待されている場所などでも上昇が見られます。

一方、都心のオフィス街、観光客が戻ってきていない地域は、下落のままです。

変動率上位ランキング

住宅地
順位 都道府県 標準地番号 所在地 令和3年→令和4年公示価格(1平方メートルあたり) 変動率
1位 北海道 北広島-1 北広島市栄町1丁目10番3 3.65万円→4.6万円 26.0%
2位 北海道 北広島-4 北広島市美沢3丁目4番8 3.8万円→4.7万円 23.7%
3位 北海道 北広島-6 北広島市東共栄2丁目20番5 2.45万円→2.98万円 21.6%

 

商業地
順位 都道府県 標準地番号 所在地 令和3年→令和4年公示価格(1平方メートルあたり) 変動率
1位 北海道 北広島5-2 北広島市栄町1丁目1番3

(北海道銀行北広島支店)

5.6万円→6.7万円 19.6%
2位 北海道 北広島5-1 北広島市中央2丁目1番2

(べべるい)

3.72万円→4.4万円 18.3%
3位 福岡県 福岡博多5-21 福岡市博多区祇園町335番1

※住居表示は祇園町4-60

(博多祇園プラザビル)

178万円→210万円 18.0%

 

変動率下位ランキング

住宅地
順位 都道府県 標準地番号 所在地 令和3年→令和4年公示価格(1平方メートルあたり) 変動率
1位 福島県 いわき-19 いわき市平下窪3丁目4番5 4.95万円→4.55万円 -8.1%
2位 愛知県 南知多-9 知多郡南知多町大字片名字新師崎23番11 3.17万円→2.94万円 -7.3%
3位 北海道 岩三沢-7 岩見沢市栗沢町最上2番22 4,900円→4,550円 -7.1%
3位 長野県 長野-25 長野市大字赤沼字西通263番1 1.4万円→1.3万円 -7.1%

 

商業地
順位 都道府県 標準地番号 所在地 令和3年→令和4年公示価格(1平方メートルあたり) 変動率
1位 大阪府 大阪中央5-19 大阪市中央区道頓堀1丁目37番外

※住居表示は道頓堀1-6-10

580万円→490万円 -15.5%
2位 大阪府 大阪中央5-24 大阪市中央区日本橋1丁目16番4外

※住居表示は日本橋1-21-6

(食品スーパー千成星)

116万円→99万円 -14.7%
3位 大阪府 大阪中央5-2 大阪市中央区宗右衛門町46番1外

※住居表示は宗右衛門町7-2

(デカ戎橋ビル)

2,110万円→1,880万円 -10.9%

東京圏の最高価格・変動率の最も大きい標準地は?

変動率の大きいランキングを10位まで見ても、東京圏はランクインしていません。

三大都市圏で唯一ランクインしていなかった東京圏の最高価格などは、東京の物価や賃料の高さを実感します。

最高価格

住宅地
標準地番号 都道府県 所在地 住居表示 標準地価格(1平方メートルあたり) 変動率
港-4 東京都 港区赤坂1丁目1424番1 赤坂1-14-11 500万円 3.3%
商業地
標準地番号 都道府県 所在地 住居表示 標準地価格(1平方メートルあたり) 変動率
中央5-22 東京都 中央区銀座4丁目2番4 銀座4-5-6(山野楽器銀座本店) 5,300万円 -1.1%

変動率の最も大きい標準地

住宅地
標準地番号 都道府県 所在地 住居表示 標準地価格(1平方メートルあたり) 変動率
浦安-15 千葉県 浦安市高洲3丁目28番124 高洲3-19-2 23.9万円 7.7%
商業地
標準地番号 都道府県 所在地 住居表示 標準地価格(1平方メートルあたり) 変動率
柏5-5 千葉県 柏市旭町2丁目860番1 旭町2-2-3

(クラーク記念国際高等学校柏キャンパス)

34.4万円 7.2%

一番高い土地は鳩居堂前じゃないの?

鳩居堂前が最も高いと言われるのは「路線価」です。

所在地は中央区銀座5丁目銀座中央通り、令和4年の路線価は4,224万円

路線価とは、道路に面する宅地1平方メートルあたりの価額です。相続税や贈与税、固定資産税の基準となります。

  • どこが公表するか
  • どのように計算するか

上記が公示地価との違いです。

 

公示地価は国土交通省が公開します。

路線価は相続税・贈与税にかかるものは国税局、固定資産税にかかるものは市町村(東京都のみ都)です。

公示地価は不動産鑑定士の評価などで決まります。

路線価は公示地価などを基にした価格の80%程度で評価されます。

公示地価は社会情勢などで左右される

令和4年は令和3年より通勤や通学、オフラインのイベントが増えました。

旅行へ行く人も増えています。

結果、公示地価も上昇傾向です。

一方、下落が続いている地点もあります。

 

通勤・通学に便利なだけではなく、街自体に魅力のあるエリアなら、多様なライフスタイルの人から評価され、価格にも反映されそうです。

 

新型コロナをきっかけに、ライフスタイルや価値観の変わった人は少なくないと思われます。

    • 大規模なオフィスビルが多い
    • ピーク時ほどの観光客が戻ってこない観光地
    • 移住者が増えた

などのエリアは、新たなニーズに対応できるか否かで今後の動向が変わるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
「運用する」カテゴリの最新記事