賃貸物件において、トラブルになりがちなのが、退去時の原状回復費用です。
借主側と貸主側の折衷案を見つけ出すのが非常に難しいです。
そこでトラブルにならない様に知っておきたいのが「善管注意義務違反」
一般的な良識のある方は、こんな義務がなくても大丈夫!ですがこれは契約書にも掲載されています。
「善管注意義務」とは一体どんな義務なのでしょうか。その概要と、実際に賃貸で起こりえるその違反内容について、解説します。
目次
「善管注意義務」の概要
「善管注意義務」とはどんな義務なのでしょう。
「善良な管理者の注意義務」の略。
つまり
社会通念上あるいは客観的に見て当然要求される注意を払う義務のことです。
より分かりやすく言うと、
一般常識的に守るべき注意は怠らないようにしてくださいね。
といった意味合いになります。
賃貸物件を借りる場合、契約書に書いてありますので「知らなかった」では済まされないのです。
「善管注意義務違反」の具体例!非常識な行為、不具合をそのまま放置して悪化させるのはNG
言葉では概要を理解したけど、では一体どんなことが善管注意義務違反に値するのでしょうか?
- 結露を放置していてフローリングにカビが生えている
- ドアを殴ったり蹴ったりしてぶち破った跡
- エアコンからの水漏れを放置し、壁や床が腐食したりシミが出来ている
- 水回りの掃除を怠り、水アカやカルキがこびりついて取れない
- たばこのヤニが壁に染みついている
- 風呂の水を出しっぱなしにして水漏れを起こした(洗濯機もしかり)
- 鍋を火にかけているのを忘れて壁を焦がした
- トイレや風呂に流してはいけないものを流し詰まらせた
- たばこを床に落としてクッションフロアシートや畳を焦がした
いずれも、普段から手入れに気を付けたり、生活する上で気を付けておけば防げると考えられる内容ばかりです。
賃貸物件は自分自身の物が溢れて、自分の空気感になり、「自分の部屋」と思ってしまいがちですが、人から借りている物です。
人に貸したものが、不注意や故意によってボロボロになって返って来たら、貴方はどう思うでしょうか?
私の見解ですが、物事の本質を見れば、不要な義務なのでは??と常々思ってしまいます。
ですが原状回復においてトラブル解決のための必要な取り決めです。
ちなみに、そのまま退去している人達の内、2割は、どう言う環境下で生活してたの!?ってくらいすごく汚いまま退去してるみたい
「クリーニング費用がどうせ取られるのなら掃除してもしなくても変わらない。」と思う人が増えてしまったのが背景のようです。
しかし現実はそうではありません。
クリーニング費用は、部屋の汚さによって上下することがあります。
例えば、掃除を怠ったことで特別清掃が必要になった場合はプラスで清掃費が請求項目にあがってきます。
原状回復費用を安く済ませたい人はお掃除必須です。
トラブルにならないように普段から気をつけること
善管注意義務となる例はその境界線を設定するのが難しく、物件やオーナーさんによっても考え方が違います。
ただ、基本的には「借りた部屋を、自分の物と思って自分の物と同等、またはそれ以上に丁寧に大切に扱ってくださいね」といったことになります。
「わざとじゃないから」と言って汚れや不具合を放置した結果、さらに部屋の状態を悪くしてしまったということであれば、善管注意義務違反になります。
賃貸住宅は借り物 大切に扱って、気持ちのいい新生活のスタートを切ろう!
引越しとなると、新たな生活の門出となるイベント。
莫大な原状回復費を請求されて、悶々としたままスタートを切りたくありませんよね。
契約書にないような法外な原状回復費用を請求するケースは外部団体から協力をもらうと良いでしょう。
しかし、気を付けたいのが善管注意義務違反。この情報は、借り手にとって話題になることがありません。
賃貸住宅は借り物です。大切に使っていれば、善管注意義務違反にはなりません。その上で偶然出来てしまったものはもちろん、請求されることはありませんから安心してください。
- この記事を書いた人
- 菊地 はる
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