ペアローンのメリット、デメリット。どんな人でも生きやすい社会へ不動産会社ができること

平等に2人で支払い義務を負いたい方や減税メリットを受けたい方が使うことのあるペアローンは単独ローンと違ったメリットデメリットがあります。

自分事にならないとなかなか関わらない住宅ローンを簡単に解説します。

合わせて、2022年から変わった住宅ローン減税制度、東京都が始めた東京都パートナーシップ宣誓制度と住宅ローンのかかわりをご紹介します。

ペアローンとは

ペアローンとはローンの組み方の一つです。

自身の居住用建物で活用する住宅ローンで使われます。

ペアローンとそれ以外の契約方法との違いは主債務者になることができる人の数にあります。

単独契約や収入合算では、支払う義務のある人物(主債務者)は1名です。主債務者が支払えなくなった場合に支払いの義務が発生する人物は連帯保証人となり主債務者とは別の義務を負います。

しかし、ペアローンではローンを組む2名どちらもが主債務者となる組み方です。

平等に支払い責任を持ちたい関係の2名や、両者に安定した収入がある場合などに選択されます。

ペアローンのデメリットは?団信はどうなる?

ペアローンのデメリットは主に下記の3つです。

・団信で完済されるのが片方のみ

・離婚した場合、片方の単独ローンに変更する可能性がある

・諸経費(登記費用、印紙代など)が2名分かかる など

ローンを組む際には団体信用生命保険(以後:団信)を組みます。

団信とは、ローンを組んだ主債務者の身に万が一のことが起きた場合、住宅ローン残高がゼロになる保険です。

住宅ローン残高は、生命保険会社が銀行に代わりに支払う仕組みとなっています。

団信をかけることで、家と家族を守ることができます。

しかし、ぺアローンの場合、主債務者の2名どちらかに万が一のことが起きた場合、1名分の住宅ローン残高は団信によりゼロになりますがもう一人の住宅ローン残高は残ったままになります。

ペアローンのメリット

ペアローンのメリットは主に下記の3つです。

・借入可能額が増える

・金利プランをそれぞれ選べるためリスクに応じて各々返済プランを選ぶことができる

・住宅ローン控除を2名分申請できる など

住宅ローン控除は2022年に改正され条件が変更になっています。変更点は以下の通りです。

【2021年12月まで】

・最大10年間適用できる

・控除率は1%

【2022年1月以降】

最大13年間適用される(既存住宅は10年、新築住宅は13年)

・控除額は0.7%

・2024年以降に建築確認を受ける住宅は、省エネ基準適用を要件化

・環境性能の高い住宅の借入限度額の上乗せ

・所得要件を合計3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げ

東京都パートナーシップ宣誓制度と住宅ローン

かつては、親子や婚姻届けを役所に提出する法律婚以外のパートナー同士ではローンを組めなかったりとLGBTの方には住宅ローンに手が届かない状態でした。

しかし近年では、LGBTの方向けの住宅ローンが多くの金融機関から出るようになっています。

収入合算や、ペアローンなど様々なプランがありすべての方へ差がなく手が届くような社会になりつつあります。

例えば、三井住友銀行のクロスサポートは、ペアローンのデメリットを解消できるプランですが、このようにWEBサイトにも表示があります。

  • 親子、法律婚、事実婚、同性パートナーのいずれも含む

要件として、出てくるのが「東京都パートナーシップ宣誓制度」受理証明書の提示です。

【東京都パートナーシップ宣誓制度とは】
東京都パートナーシップ宣誓制度(以下、「宣誓制度」といいます。)とは、人生のパートナーとして歩む性的マイノリティ(LGBT等)のお二人の生活上の困りごとを軽減するなど、当事者の方々の暮らしやすい環境づくりにつなげるための制度です。引用:東京都総務局人権部ページより

制度へ登録し、証明書を提示することで通信会社の家族割りプランやクレジットカードの家族カードの発行などこれまでできなかったことが可能になる制度です。

不動産会社ができること

どのような人でも住宅を借りれる、買える、ローンを組める制度は私たち不動産会社にとって身近な話題です。

賃貸住宅の入居者様を仲介、管理しているとLGBTの方だからと入居を拒否される事案が思ったより多いことに気が付きます。

当社の賃貸営業スタッフの中にも担当したお客様が門前払いをされてしまう経験のあるものもいます。

どのような方でも安心して賃貸住宅を探すことができるように、安心して入居いただけるようにするには私たち不動産会社の心がけが必要だと思っています。

どのような方でも住みよい社会というのは、自分自身も住みよい社会であるはずです。

ペアローンの話題から飛んでパートナーシップ制度と話題が変わってしまいましたが、社会の良い変革を一つご紹介いたしました。

この記事を書いた人
賃貸知識BANK編集部
不動産市場や投資に関する情報を専門的な視点で解説しています。資産形成や投資戦略に役立つコンテンツを実務的な目線でお届けします。
「暮らす」カテゴリの最新記事