こんにちは、若林浩太郎です。
今回は、小平にある道路なのか公園なのか不思議な構造についての話題です。
東京西部の謎の一直線、多摩湖自転車歩行者道をご紹介します。
おかしな区割りの公園
航空写真を見ているとき、また車で道路を走っているときに、明らかにおかしな形の区割りを発見することがあります。
特に、不自然に円形の区割りとなっている場所は「ミステリーサークル」と呼ばれ、テレビ等で取り上げられることもあります。
ニュージーランド北島のタラナキ火山を中心としたエグモント国立公園は、公園として保全されている部分と、農地として利用されている土地との境界がはっきりわかる場所です。
初めて見たときは少し感動しました。
地図上の円形や直線はよく目を引きますよね。
小平の建設現場に行った際にも不自然に一直線な公園を発見しました。
多摩湖自転車歩行者道
小平の踏切近くに公園を発見しました。
やたらとまっすぐな公園で、多くの人が歩いていたり、自転車に乗っていたり・・・
ここまでの説明では普通の公園のようですが、この公園、やたらとまっすぐにはるか向こうまで続いています。
しかもよく見ると、この公園は周囲と比べて謎に小高くなっています。
廃線?廃道?この公園いったい何者なんでしょうか?
階段があることから少し高まった土地であることがわかります
正体は都道?
先程の公園について家に帰って地図で確認してみると、青い6角形が書かれていました。
青い6角形というのは都道府県道の標識です。
改めて、現地に行ってみると確かに都道の標識が立っています。
(ちなみに国道の標識である青い逆3角形は、マニアの間では「おにぎり」と呼ばれることがあるようです。)
この公園は都道253号保谷狭山自然公園自転車道線(通称:多摩湖自転車歩行者道)という名前の都道で、西東京市保谷から東村山市の多摩湖までの約22kmを結ぶ自転車・歩行者専用道路です。
都道ですが、その名の通り歩行者と自転車専用であり、自動車通行不可となっています。
調べてみると、自転車・歩行者専用道である都道府県道は、全国に多数あるようです。
東京にも多摩湖自転車歩行者道のほかに、芝川自転車道(埼玉県道255号の一部が東京都に位置する)がありました。
ただし、その大半が川沿いの堤防上を活用した道路となっており、その線形は川の流路と一致しているため、多摩湖自転車道のように一直線ではありません。
つまり、多摩湖自転車歩行者道には他の顔があるということです。
一直線である真の理由は?
では、多摩湖自転車歩行者道が一直線は何なんでしょうか?
その理由は水道にありました。
この道路は貯水池である狭山湖・多摩湖と、東村山浄水場・境浄水場・和田堀給水場の3つの水道施設を結ぶ水道上に整備されているのです。
上水道は、貯水地・浄水場・配水池などの水道設備を最短距離である一直線で結ぶように設計されています。
加えて、水質・安全性を確保するために、水道管を敷設した場所の上の開発は原則許可されていませんでした。
しかし、首都圏の拡大に伴う人口増加により周辺地域は都市化され、水道上のみが直線状の空き地として残ることになりました。
その後、水道管上の土地も補強された上で利用されることになりましたが、直線で細長い土地は、他道路との接続が確保できないため住宅地には適さず、自動車道とするには幅が狭いため適しません。
そこで、この細長い土地を自転車道として整備して、緑地にすることになったのです。
その結果誕生したのが都道253号線多摩湖自転車歩行者道です。
なぜか土地がふくらみを持つことも、この下に水道管が埋まっているのだと考えれば納得です。
多摩湖自転車歩行車道のように、水道管の上を補強して整備された道路を水道道路と呼び、首都圏にも多数存在しています。
地図で示した井の頭通りも水道道路の1つです。
最近「水」について調べることが多いですね・・
この記事を書いていて気が付いたのですが、私の書いた記事は水に関係する記事が多いですよね。
代田橋の和田堀給水場や、石神井公園の記事でも、今回同様に水に関係する土地利用をご紹介しています。
それほど、東京は水との関係が深い街ということでしょうか?
▼関連記事
- この記事を書いた人
- 賃貸知識BANK編集部
- 不動産市場や投資に関する情報を専門的な視点で解説しています。資産形成や投資戦略に役立つコンテンツを実務的な目線でお届けします。
- 「暮らす」カテゴリの最新記事