最近、テレビ番組でも「不動産価格は上がっているのか下がっているのか」について議論が交わされている場面を見るようになりました。
これまでなかなか話題になりにくかった不動産投資に陽が当たり始めた気配を感じます。
ということで、本記事は、推移をどこで調べられるか、何をチェックしていくかなどを解説しながら、市況を分析していきます。
目次
不動産価格指数とは
不動産価格指数は、不動産価格の予測の参考になります。
年間約30万件の不動産の取引価格情報を基に、不動産価格の推移を表すものです。
毎月、国土交通省によって発表されます。
価格を分析する目的は、投資環境の整備です。
価格の動向は、全国・地域別に確認できます。
不動産価格指数とあわせて公表されるのが、所有権移転登記情報を基にした「不動産取引件数・面積」です。
不動産価格指数も不動産取引件数・面積も、国土交通省のWebサイトから最新情報を確認できます。
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データの見方のポイント
データは、住宅用・商業用に分かれています。
たとえば、住宅用不動産からは、「戸建住宅」「マンション(区分所有)」「住宅地」別の価格指数を確認できます。
対前月比(商業用不動産は対前期比)も確かめられます。
不動産価格が上がるか下がるか予測するのに、過去の指数は参考になります。
同時に、経済情勢を考慮することも重要です。
2021年8月発表のデータから見る戸建とマンションの市況予測
不動産価格指数は住宅・商業用共に対前月比(対前期比)で上昇しています。
参考:不動産価格指数、住宅は前月比 1.1%上昇、商業用は前期比 0.7%上昇
5年前10年前の同じ時期と比較しても指数は上がり続けているので、上昇はしばらく続くと考えられます。
コロナ禍で、店舗と商業地は下降傾向です。
2019年と2020年の全国の店舗と商業地の不動産価格指数(季節調整値)
店舗
2019年 | 不動産価格指数 | サンプル数 |
---|---|---|
第1四半期 | 141.0 | 624 |
第2四半期 | 145.7 | 551 |
第3四半期 | 147.6 | 685 |
第4四半期 | 146.6 | 558 |
2020年 | 不動産価格指数 | サンプル数 |
---|---|---|
第1四半期 | 140.5 | 663 |
第2四半期 | 135.7 | 465 |
第3四半期 | 131.3 | 508 |
第4四半期 | 136.6 | 566 |
商業地
2019年 | 不動産価格指数 | サンプル数 |
---|---|---|
第1四半期 | 100.0 | 1,496 |
第2四半期 | 103.2 | 1,566 |
第3四半期 | 100.8 | 1,730 |
第4四半期 | 105.3 | 1,802 |
2020年 | 不動産価格指数 | サンプル数 |
---|---|---|
第1四半期 | 103.6 | 1,635 |
第2四半期 | 97.6 | 1,477 |
第3四半期 | 97.2 | 1,538 |
第4四半期 | 95.1 | 1,919 |
一方、戸建、マンション(区分所有)、マンション・アパート(一棟)は、上昇傾向のままでした。
よって、住居の価格は下がりにくいと考えられます。
長期にわたる推移を見ていくと、区分所有マンションは特に上昇率が高いです。
国交省の発表や売却価格を査定できるサイトの数値から、不動産価格が高くなるか安くなるか予想していきます。
戸建
下記は、2021年1~5月の全国の不動産価格指数(季節調整値)です。
2021年 | 不動産価格指数 | 対前月比(%) | サンプル数 |
---|---|---|---|
1月 | 102.9 | -0.5 | 4,324 |
2月 | 103.9 | 1.0 | 5,622 |
3月 | 104.2 | 0.2 | 8,071 |
4月 | 102.8 | -1.3 | 5,149 |
5月 | 105.3 | 2.4 | 3,130 |
同月の推移も見るため、2016年~2021年の5月の不動産価格指数(季節調整値)もまとめました。
不動産価格指数 | サンプル数 | |
---|---|---|
2016年5月 | 101.6 | 6,310 |
2017年5月 | 101.7 | 5,006 |
2018年5月 | 101.5 | 4,875 |
2019年5月 | 103.4 | 4,653 |
2020年5月 | 100.6 | 4,326 |
2021年5月 | 105.3 | 3,130 |
戸建住宅は、マンションほど指数は上がっていません。
しかし、月単位・年単位で見ても、上昇傾向であることは確かです。
よって、集合住宅ほどではないにせよ、不動産価格は上がると予測します。
実際の物件を調べると、価格の動きがより分かりやすいです。
そこで、SUUMOのサイトで売却価格の推移を調べました。
リサーチしたのは、2021年住みたい街として人気が高まっている本厚木(厚木市)と所沢(所沢市)です。
2021年8月前年比 | 2021年8月前月比 | |
厚木市 | 90.3% | 100.0% |
---|---|---|
所沢市 | 100.0% | 100.0% |
2都市とも、上昇はありませんでした。
しかし、全国の指数を見ると、価格が上がっている地域はあるはずです。
たとえば、高層マンションを建てられないなど、戸建のニーズの多い地域であれば、増価を実感できるかもしれません。
マンション(区分所有)
2021年1月~5月の全国の不動産価格指数(季節調整値)
2021年 | 不動産価格指数 | 対前月比(%) | サンプル数 |
---|---|---|---|
1月 | 158.5 | 3.8 | 3,613 |
2月 | 160.0 | 5.6 | 4,170 |
3月 | 161.2 | 5.1 | 6,109 |
4月 | 162.3 | 5.6 | 4,667 |
5月 | 165.7 | 7.0 | 3,083 |
2016年~2021年の同月の不動産価格指数(季節調整値)
不動産価格指数 | サンプル数 | |
---|---|---|
2016年5月 | 128.7 | 3,992 |
2017年5月 | 130.5 | 3,552 |
2018年5月 | 140.4 | 3,858 |
2019年5月 | 146.8 | 4,198 |
2020年5月 | 154.9 | 2,871 |
2021年5月 | 165.7 | 3,083 |
厚木市と所沢市の売却価格相場推移
2021年8月前年比 | 2021年8月前月比 | |
厚木市 | 117.2 | 100.0% |
---|---|---|
所沢市 | 105.8% | 100.9% |
不動産価格指数も売却価格相場の推移も、戸建より大きいことが分かりました。
自然災害や新型コロナのように、予測できない事態で景気が落ち込み、マンション価格に影響を及ぼすリスクは否めません。
しかし、コロナ禍でも、マンションの不動産価格指数は上昇を続けました。
また、1回目の緊急事態宣言時から経済活動は戻りつつあります。
よって、しばらくは大きな不況もなく、マンション価格は上がり続けると考えられます。
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マンション・アパート(一棟)
商業用不動産は、四半期ごとのデータが公表されます。
そこで、直近の推移は2020年第1四半期~2021年第1四半期をまとめました。
同じ時期の推移を見るのに、2017年~2021年の第1四半期を比較しました。
2020年第1四半期~2021年第1四半期の不動産価格指数(季節調整値)
不動産価格指数 | 対前期比(%) | サンプル数 | |
---|---|---|---|
2020年第1四半期 | 131.9 | 0.4 | 1,834 |
2020年第2四半期 | 135.2 | 2.5 | 1,319 |
2020年第3四半期 | 134.7 | -0.4 | 1,593 |
2020年第4四半期 | 139.0 | 3.3 | 1,802 |
2021年第1四半期 | 139.6 | 0.4 | 1,701 |
2017年~2021年の第1四半期の不動産価格指数(季節調整値)
不動産価格指数 | サンプル数 | |
---|---|---|
2017年第1四半期 | 134.4 | 1,926 |
2018年第1四半期 | 135.5 | 1,856 |
2019年第1四半期 | 135.0 | 1,670 |
2020年第1四半期 | 131.9 | 1,834 |
2021年第1四半期 | 139.6 | 1,701 |
商業用のマンション・アパートは、商業用不動産の中では順調な推移です。
ただし、住居用マンションのようにずっと上がり続けたり、大幅な上昇が見られたりはありません。
商業用の集合住宅に関しては、価格を上げたり下げたりしながら微増で動くのではないでしょうか。
不動産価格指数も取引の際のデータとして使える
不動産価格指数は、不動産価格の予測に役立ちます。
社会の動きも参考にしながら、取引の参考にしてみてください。
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- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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