レンターシップは不動産所有・投資の可能性を広げる!仕組みと作られたきっかけは?

海外のスタートアップが始めた「レンターシップ」という新しい不動産所有・投資の記事を見つけました。

参考:富と貧困の境界線を切り崩す不動産所有の新たな選択肢「レンターシップ」 (@DIME) – LINE NEWS

新型コロナをきっかけに、賃貸と持ち家どちらが良いか考えた方も多いかと思います。

新しい生活様式が拡大したように、住まいと資産形成の新しい形が出来上がることも予想されます。

そこで、レンターシップの仕組みや作ったきっかけを調べました。

本記事では、似ている点がある「タイムシェア」についても取り上げます。

レンターシップとは

家を購入できる支払い能力がなくても、リスクを負わずに自分の家(賃貸)に投資できるようにするしくみです。

賃貸でありながら、物件の一部を所有していることになります。

レンターシップ(rentership)は、rentとownershipを組み合わせた造語です。

アメリカの企業Rhoveによって作られました。

Rhoveのコアバリューから、レンターシップのきっかけが見えてきます。

 

コアバリュー

We must start with the idea that housing is a human right. And so is ownership.

 

家を持つこと、つまり、家の所有権を人間の権利と考えていることが分かります。

企業のホームページのニュースで、新しい形の投資で誰もが家の所有者となれるよう促進していることも書かれています。

参考:Housing is a Human Right—and so is Ownership

誰もが家を持てる仕組みを考えた結果、レンターシップにつながったのではないでしょうか。

Rhoveは、誰もが自分のコミュニティにアクセスできることと、コミュニティを持てる機会の拡大をミッションに掲げます。

 

理由は2つ。

  • 誰もが自分の家に投資する権利があると信じているから
  • 世間の多くの人が不動産所有の難しさを感じる現状を、早急に変える必要があるから

住む場所を心配せずに済むという点で、持ち家のメリットは大きいです。

しかし、持ち家ならではのデメリットもあります。

たとえば、住宅ローンを払い続けられるか(完済できるか)心配、自分で修繕を行う必要があるなどです。

持ち家が一長一短のように、賃貸にもメリット・デメリットがあります。

メリットは、以下のようなことが挙げられます。

  • 初期費用を抑えられる
  • メンテナンス費用がかからない

自分の住む場所を手軽に確保できることが大きなメリットです。

しかし、家賃に対するリターンがないのは、従来の賃貸の最大のデメリットです。

賃貸と持ち家を比較すると、レンターシップは両者の良さを活かしたものと言えそうです。

持ち家と賃貸の良いとこどりとも言えるレンターシップで資産形成できる仕組みを紹介します。

  1. レンターシップを導入している物件に住む
  2. 物件のRentership Units(RNT)を購入する

RNTは株のようなもので、年4回のリターンと売却時の不動産価格の一部が得られます。

また、Rhoveのアプリから、いつでも買い戻しができます。

RNTを持ち続け、不動産が売れるまで毎年現金収入を得ることも可能です。

RNTがいくらになるかは不動産価格と連動するので、利益も変動します。

自分が住んでいる場所が取引商品になることを抜けば既にメジャーなJ-REITと似ています。

タイムシェアとの違いは?ヒルトンのサービスとレンターシップを比較!

レンターシップの仕組みから、タイムシェアを思い浮かべた方もいるかと思います。

不動産の所有権を持てる点は、タイムシェアもレンターシップも似ています。

しかし、レンターシップは普段の住居タイムシェアは休暇中の滞在を想定している点で、仕組みは異なります。

そこで、ヒルトンのタイムシェアを取り上げながら、レンターシップと比べます。

タイムシェアとは、リゾートのマンションやコンドミニアム1室を1週間単位で購入できるシステムです。

購入方法は、「フィックス(固定週)」「フロート(浮動週)」の2種類です。

フィックスなら、1年の決まった週に滞在できます。

フロートは、滞在する週を指定して物件を利用できます。

つまり、リゾートマンションやコンドミニアムに泊まるには、宿泊前に予約が必要です。

最短1週間から滞在できるのは、マンスリーマンションと似ています。

レンターシップは一般的な賃貸なので、1・2年の入居は見越していると考えられる点で、タイムシェアとは違いそうです。

タイムシェアは1棟買いほどの費用は不要で、200~400万円前後でリゾート地の物件を所有できます。

年間の維持管理費などはかかりますが、メンテナンスは自分でする必要がありません。

高額な初期費用や修繕が必要ないのは、賃貸と似ています。

 

特に、1棟買いよりハードルが低いながら所有権を持てるのは、レンターシップと共通します。

各ブランド提携のリゾート地と交換利用できるのは、タイムシェアならでは。

たとえば、今年はホームリゾートのあるハワイに泊り、翌年は提携ホテルのあるフロリダへ、といった旅行を可能にします。

滞在場所を自由に選べるのは、賃貸の引っ越しのしやすさと重なります。

レンターシップの導入物件が増えれば、仕事がある時は都会で、休みの日は地方の物件で、といった2拠点生活を実現しやすそうです。

レンターシップは住んでいる物件に投資することになります。

レンターシップを導入した複数の物件に住めば、分散投資になりそうです。

一部、期限付きの所有権もありますが、相続・贈与できるのも、タイムシェアの特長です。

 

タイムシェアは、購入したオーナーシップに応じてポイントが貯まります。

ポイントは、提携ホテルで利用できます。

ポイントバック以外にも、提携リゾートごとにさまざまな特典があります。

たとえば、ヒルトンのハワイのリゾートには、日本語を話せるスタッフ・コンシェルジュが在駐しています。

何かあっても安心です。

JALバケーションズからヒルトンのタイムシェア物件を購入すると、JALマイルがプレゼントされるのも特典です。

 

ポイントとリゾートごとの特典が、レンターシップのリターンで言うところの毎月の現金収入に似ています。

ただし、どのようなリターンがあるかは異なります。

レンターシップは、利益が多くなることも少なくなることもあり得ます。

対してタイムシェアは、付与されるポイント数やマイルがあらかじめ決められています。

レンターシップは新しい将来への備えになりそう!

不動産価格の上昇で、投資家は恩恵を受けられます。

一方、賃貸の場合住民には影響があまりありません。

賃貸だと家賃を支払い続けても自分の持ち家にならない点で、将来に不安を抱く方もいます。

賃料を支払ってもメリットがないという賃貸のデメリットを緩和したのが、レンターシップです。

レンターシップなら、入居者様に今の快適な暮らしと将来の安心を提供できそうです。

これは海外の事例ですが、不動産にかかわる誰もが幸せになる仕組み、日本でも作りたいですね。

▼関連記事

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
「運用する」カテゴリの最新記事