エンジニアリングレポートと不動産鑑定評価書とは?何が分かるか解説します!

不動産投資をしている方でも、投資計算やエンジニアリングレポート、不動産鑑定評価書に詳しい方は少数派です。

不動産投資を開始するために不動産会社から手渡される資料以外にも副次資料が存在します。

本記事では、エンジニアリングレポートと鑑定評価書の紹介を通して不動産評価について広く深く紹介します。

リスクを考慮した資産運用をしたいという方におすすめの内容です。

エンジニアリングレポートと不動産鑑定評価書の比較

エンジニアリングレポート(ER) 不動産鑑定評価書
建築物・設備などの専門知識を持つ人による不動産の状況の調査報告書 不動産の鑑定評価に関する法律第39条に基づき不動産鑑定士が作成する文書

※鑑定評価:不動産の経済的価値を判定し結果を価額で表したもの

エンジニアリングレポートは、ERとも略されます。

災害で土地・建物に想定されるリスク、法律を守って建てられた建築物かなどが分かります。

鑑定評価書からは、いくらの価値のある建築物か分かります。

ローンを回収できるかなど、金融機関が金銭面のリスクを測る時の参考にもされます。

エンジニアリングレポートから分かること

  • 建物の状況
  • 建物環境リスク
  • 土壌汚染リスク
  • 地震リスク

上記がまとめられています。

土地・建物のリスクを理解した上で投資を考えられます。

レポートを見る際の参考になる調査項目について、詳しく解説します。

建物の状況

  • 物件概要
  • 劣化状況
  • 適法性
  • 修繕更新費用
  • 再調達価格

上記がまとめられています。

どのようなことが調査・記載されるかまとめました。

物件概要 立地条件、建築・設備の概要、建築確認の履歴など
劣化状況 躯体・内装・外装などの建築と、電気・給排水・空調などの設備の状態

※目視で分かる範囲の調査

適法性 建築関連の法律が守られているか確認します。

たとえば、用途地域で認められた建築物か、手続きを経て増改築されているかなど

修繕更新費用 劣化状況の結果を基に、短期的な費用と中長期的な費用が計算されます。

※修繕:機能・美観を維持するために行うこと

※更新:著しく劣化した建築物の機能・美観を一定以上の状態まで戻すこと

再調達価格 調査対象の建築物を、調査時に建築したらかかる建設費用額

設計費・解体撤去費などは含みません。

調査時点で使われていない部品・資材・システムなどは、同じ質の別製品を参考に計算します。

建物環境リスク

土地・建築物に環境汚染の要因となる物質が含まれていないか調査します。

建築図面・建築配置図、地質調査報告、登記簿の確認の他、現地の目視やヒアリングで評価します。

下記を調査します。

  • アスベスト
  • PCB
  • 地下室の換気設備(ラドンガス)
  • オゾン層破壊物質
  • ばい煙等排出ガス
  • 空気環境
  • 空気調和設備用水質
  • 雑用水質
  • 害虫・害獣防除
  • 排水関係
  • 産業廃棄物

など

有害物質が疑われたら、写真と共にどこで確認されたか記録します。

土壌汚染リスク

土壌汚染によるリスク、たとえば汚染調査・処理対策費用の負担など、売買で不利になるリスクを診断してまとめます。

以下のようなリスクを想定します。

売り手 買い手
  • 売買機会の制限
  • 契約時の特約付加事項
  • 土地の品質に関する情報開示

など

  • 計画の見直しや中止
  • 価値の低下、キャッシュフローの見直し
  • お客様や近隣の方への情報開示

など

地震リスク

地震で不動産の補修などが必要になった時、どれくらいの損失があるか表したものです。

「地震PML」という指標が用いられます。

数値が高いほど被害が大きく、経済的損失が高いことを意味します。

鑑定評価書から分かること

下記の項目がまとめられます。

  • 対象不動産
  • 対象となった権利
  • 鑑定評価額
  • 価格時点
  • 依頼目的
  • 鑑定評価の条件
  • 価格の種類
  • 縁故または利害関係の有無
  • 鑑定評価額の決定の理由

※法改正で鑑定士・鑑定士補の押印は義務ではなくなりました。

どのようなことが書かれているか項目別に解説します。

対象不動産

対象不動産は、鑑定する不動産のことです。

鑑定する不動産の土地・建物の所在地、面積、用途などを記載します。

対象となった権利

所有権か所有権以外の権利(貸借権など)なのか分かります。

鑑定評価額

不動産鑑定士が導き出した価格です。

鑑定の依頼目的や条件によっては、2つの価格が書かれます。

価格時点

価格を鑑定評価した基準日として確定した日です。

現在時点、過去時点、将来時点に分かれますが、現在時点で評価することが一般的です。

過去時点や将来時点は資料が限られ、現在時点より適正な判断が難しいためです。

依頼目的

評価額を求めるのに必要なものです。

以下のような内容が書かれます。

  • 売買の参考
  • 交換の参考
  • 相続財産の評価
  • 担保評価
  • 資産評価

など

鑑定評価の条件

対象不動産の範囲や、評価を左右する要因を示します。

対象不動産の範囲は「対象確定条件」、評価を左右する要因は「想定上の条件」としてまとめられます。

対象確定条件

不動産の所在、権利などを確定するための条件です。

条件の一例を紹介します。

  • 現状を所与とする鑑定評価
  • 独立鑑定評価
  • 分割鑑定評価

など

  • 現状を所与とする鑑定評価:土地のみまたは、土地と建物で構成された不動産を評価の対象にすること
  • 独立鑑定評価:土地と建物で構成された不動産の土地のみを更地として鑑定評価すること
  • 分割鑑定評価:分割を予定している不動産を独立した不動産と見なして鑑定評価すること

想定上の条件

価格を左右する地域要因と個別的要因のうち、鑑定評価書を利用する方が価格への影響が分からない場合に設定されます。

地域要因は、法律・条例で規制された建築物の大きさ・デザインなどが価格に与える影響です。

条例などの改正で、規制や計画に変更が生じる場合のみ設定が認められます。

たとえば、用途地域の変更で容積率や建てられる建築物の高さが変わるなどです。

個別的要因は、特定の不動産が受ける価格の影響のことです。

埋蔵文化財の有無、土壌汚染の状態などが当てはまります。

▼埋蔵文化財のリスクについて詳しくはこちら

価格の種類

原則、正常価格が用いられます。

依頼目的や条件によっては、「限定価格」「特定価格」「特殊価格」が用いられます。

正常価格

現実の社会経済情勢下の市場で形成されると思われる価格です。

限定価格

不動産の併合や一部を取得する際に、現実の市場価値と乖離していても整合性が認められる価格です。

たとえば、隣地の不動産の併合目的の不動産売買で、個別に購入する場合より高い値をつけられるなどです。

面積が広がり、価値が上がると考えられるためです。

特定価格

法令で要請された鑑定評価で、正常価格の条件を満たさない時に求められる価格です。

たとえば、依頼目的が民事再生法の評価目的で早期売却を前提としている場合などです。

特殊価格

文化財、宗教建築物、公共公益施設などの保存を前提に導き出す不動産の経済的価値です。

縁故または利害関係の有無

対象不動産と不動産鑑定士・鑑定業者や、鑑定評価依頼者と鑑定士・業者間に、親族関係や利害関係があるかないか表記します。

親族や利害関係者だと、公正な評価が難しいと考えられ、鑑定評価の依頼を受けてはいけないことになっています。

しかし、法律で禁止されているわけではないので、関係性を示せば評価できます。

関係性を表記する目的は、鑑定士や業者の評価の客観性の担保のためです。

鑑定評価額の決定の理由

対象不動産が、権利関係含め、書類通りに存在することを確認すると共に、鑑定評価額の根拠調査方法を記載します。

エンジニアリングレポートと不動産鑑定評価書から不動産を客観的に知れる!

エンジニアリングレポートと不動産鑑定評価書は、不動産の状況をまとめたものか経済的価値をまとめたものかという違いがあります。

どちらもプロによる調査結果なので、現実的な不動産経営の計画を考えるのに役立ちます。

建築まで自社で行う当社ですが、数字を自分で見たいオーナー様向けにどちらもお渡しできる状態にしています。

この記事に出会ったあなたは投資という目線で物件を見ていらっしゃる方が多いはず、いい不動産経営を記事を通して応援しています。

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この記事を書いた人
星脇 まなみ
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