【事例付き】おとり広告とは?景表法違反をなくす不動産業界の取り組みとは?

最近、飲食店の広告表示で再度「おとり広告」が話題に上がりました。

消費者に不利益を及ぼすおとり広告、該当と見なされる事例は、いくつかあります。

キャンペーンメニューが販売していなかったことを問題視された某回転ずしチェーン店のように、おとり広告は不動産業界以外にも起こり得ます。

本記事は、3つ事例を紹介しながら、おとり広告の定義と、おとり広告を行う事業者が被ることを解説します。

合わせて不動産業界からおとり広告をなくす仕組みも紹介しています。

おとり広告とは

実際は購入できない商品・サービスにもかかわらず、購入できるように表示されている広告などのことです。

景品表示法第5条第3項の規定に基づいて定められています。

不動産業では、以下のような内容・行為が当てはまります。

  • 実在しない物件の掲載
  • 賃貸契約済み・売却済みの物件の掲載
  • 他に契約してほしい不動産の案内のために、お客様が希望する物件の取引をしない

など

虚偽広告との違い

宅地建物取引業法第32条の国土交通省の指針がヒントになります。

第32条は、誇大広告の禁止を明記したものです。

 

宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索

指針によると、誇大広告にはおとり広告と虚偽広告が含まれます。

おとり広告は、売りたい物件を売るために契約意思のない物件を載せたものを指します。

虚偽広告は、存在しない物件が載ったものです。

宅建法では、物件が存在するか否かでおとり広告と虚偽広告を分けていると言えそうです。

おとり広告の事例

ポータルサイトから申し込んで店舗に行く

「ちょうど埋まってしまって…」と希望より賃料の高い部屋を勧められた

 

部屋探しの経験のある方なら、上記のような話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

不動産業界以外でも、おとり広告に該当する事例は起きています。

おとり広告をイメージしやすい3つのケースを紹介します。

不動産業界のケース

公益社団法人全日本不動産協会でも、気になった物件が取引できる状態になく、違う物件を紹介された例を取り上げています。

回転ずしチェーン店のケース

期間限定でウニを特別価格で販売するキャンペーンを宣伝していました。

ところが、キャンペーンが始まってすぐに、ほとんどの店舗でウニは提供されていませんでした。提供できない店舗が多い間も、CMは続いていました。問題になる前の別のキャンペーンでも、初日からキャンペーンメニューが提供されない事態が発生していました。

スーパーマーケットのケース

「神戸牛3割引き」とチラシに載せていたにもかかわらず、神戸牛は仕入されていませんでした。

おとり広告と見なされたらどうなる?

景表法違反をしていることになります。

違反すると、消費者庁から「誤解を招く内容の削除」「再発防止策の実施」などの措置命令を受けます。

宅建業法にのっとると、違反した不動産業者には、業務停止や免許取り消しといった処分が下されます。

6ヶ月以下の懲役や100万円以下の罰金を科されることもあります。業界紙など業者間メディアでも盛んに取り上げられ悪名高い会社として同業者からもオーナー様たちからもみなされることになります。

おとり広告を掲載しないための不動産業界の取り組み

SUUMOなどのポータルサイトに1ヶ月以上広告を掲載できなくなります。

対象は、首都圏不動産公正取引委員会から「厳重警告・違約金」の措置を受けた事業者です。

 

おとり広告は、事業者にもメリットがありません。

よって、情報の更新忘れなど、故意でなくてもおとり広告にならないよう気をつけます。

たとえば、仲介会社と管理会社で連携して物件の状況を正確に把握し、最新の情報を公開するなどです。

定期的に同じ仲介会社から物件確認の電話が何度も来るのは取引のできない物件を削除するためです。

違法な広告をなくすために通報制度もあります。

違法性を疑われる広告を見つけたら、都道府県の宅地建物取引業免許事務担当課や自治体の宅建協会へ連絡、通報が多発すれば調査が入り、指導や行政処分が下ります。

おとり広告は今や誰も得しません

物件情報を見て問い合わせしてくれた方に広告の物件を紹介できないのは、大変申し訳ないことです。

おとり広告を打っていると判断されると、事業者はポータルサイトに情報を載せられない期間が発生します。

お客様・オーナー様・不動産会社全てにメリットがないので、業界的におとり広告は注意するべきものという認識です。

おとり物件を掲載するような業者をなくせば、信頼できる事業者だけが残り、業界のイメージアップにつながるのではないでしょうか。

法規を守り誠実な取引がどの仕事においても大事です。

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この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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