高齢者向け賃貸とは?サ高住など4例の条件・住みやすい工夫を紹介!

ご高齢で体が不自由な方が住みやすいように作られた賃貸住宅が存在します。

それが、高齢者向け賃貸住宅です。入居者に特別な配慮が必要なため、住宅設備に工夫が必要です。

サ高住の条件やURの物件の特徴を見ると、必要な工夫も分かってきます。

この記事では、空き地や空き家対策を兼ねながら、ご高齢の方や障がいのある方のために貸す物件に求められることを解説します。

高齢者向け賃貸とは

概ね60歳以上の方を対象とした、バリアフリー対応などの条件を満たす住宅です。

 

一般の賃貸住宅だと借りられないと悩むご高齢の方は少なくありません。

理由として、孤独死で事故物件となるリスクを考え、貸すのに前向きになれないオーナー様がいることが挙げられます。

でも、部屋の中で誰かが亡くなったら必ず告知しないといけないわけではないんです。

事故物件のガイドラインが発表されました!告知義務のあるものと伝える時の注意点は? | 賃貸知識BANK

高齢者向け賃貸と聞いてサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

サ高住以外にも元気なご高齢の方を想定した賃貸があり、URは特に充実しています。

 

住宅によって入居者様へのサポートが違います。

本記事では以下を取り上げます。

  • サ高住
  • 高齢者向け優良賃貸住宅
  • 旭化成ホームズ「へーベルViliage(ヴィレッジ)」
  • 高齢者等向け特別設備改善住宅

サ高住

60歳以上の単身・夫婦のみの方か、要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方が入居できる、下記の特徴を持つ住宅です。

  • 床面積が原則25平方メートル以上の専有部(居室)

※居間・食堂・台所などが共同の場合は18平方メートル以上

  • 台所、水洗トイレ、収納設備、洗面設備、浴室付きの居室

※台所・収納設備・浴室は居室にない場合もあります。

  • バリアフリー対応
  • 安否確認、生活相談サービスの提供

高齢者向け優良賃貸住宅

団地の一部をご高齢の方も使いやすいよう改良されたURの賃貸住宅です。

以下に該当する方が入居できます。

  • 60歳以上の単身の方、60歳以上の申込者と配偶者
  • 60歳以上の申込者と60歳以上の親族、同居が必要とURが認めた申込者の親族

 

URの定める基準以上の毎月の平均収入が必要です。

ただし、一定の所得以下の方には「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、家賃負担軽減措置を受けられます。

URが家賃を軽減した場合、国が補助する制度が取り入れられているためです。

 

以下が高齢者向け優良賃貸住宅の特徴です。

  • 床の段差をほとんど無くす
  • 手すりが適宜設置されている
  • 緊急時対応サービスの加入が必須

 

緊急時対応サービスは、事故・急なケガや病気の際に提携事業者に通報できるサービスです。万が一の時も安心です。

旭化成ホームズ「へーベルヴィレッジ」

ご高齢の方が安心・快適に暮らせる、旭化成ホームズの以下のような賃貸住宅です。

  • 全室40平方メートル以上の居室
  • バリアフリー対応
    • ・手すりとベンチ付きの玄関
    • ・寝室に近いトイレ
    • ・集合住宅の玄関のスロープ、段差が色分けされた階段(段差を見やすくして転倒しにくくするため) など

 

駅から近い、物件の近くにスーパーや公園があるといった立地も特徴です。

60歳以上の方が対象の賃貸ですが、同居者の年齢は問いません。

 

同じ広さで比較すると、へーベルヴィレッジはサ高住より賃料を抑えられます。

へーベルヴィレッジがサ高住よりサポートを限定しているためです。

※生活相談サービス、警備会社の見守り、駆けつけサービスは必須です。

サ高住の賃料で広い部屋に住めるというところは入居する方にとって魅力を感じるところでしょう。

高齢者等向け特別設備改善住宅

高齢者と障がい者の方のために一部の部屋の設備の改善などが行われたURの賃貸住宅です。

 

  • 60歳以上の方
  • 障がいのある方
  • 60歳以上の方・障がいのある方を含む世帯の方

上記に該当し、毎月の平均収入額がURの定める基準以上の方が申し込めます。

 

ご高齢の方や障がいのある方も暮らしやすいのは、以下のような工夫をしているためです。

  • 浴槽と洗い場の段差の緩和
  • 台所のコンロ台の高さ調整
  • 浴室内やトイレ内などに手すりを設置
  • 連絡通報用装置の設置

 

連絡通報用装置は、緊急時に事前に登録した連絡先にボタンひとつで通報できる仕組みです。

介護・介助が必要なご高齢の方の住まいとは

たとえば特別養護老人ホーム(特養)です。

要介護3以上の認定を受けている方が対象の施設です。

建築費の8割を国が負担します。

 

介護保険施設(介護保険の認定を受けた公的な施設)のため、介護付き有料老人ホームやグループホームなどと比較して利用料金が安いです。

看取りまで対応可能な点で人気があります。

 

需要は高いものの、経営は自治体と社会福祉法人に限定されているため民間企業が参入しにくいです。

人手不足も相まって、供給が増えません。

障がいのあるご高齢の方の中には「障がい者グループホーム」を選ぶ方もいます。

障がい者グループホームとは、障がいのある方が家庭のような空間で共同生活を送るための以下のような住まいです。

  • 必要設備を備える
    • 収納設備を除いて7.43平方メートル以上の居室(原則個室)
    • 居間・食堂
    • 風呂
    • トイレ
    • 洗面所
    • 台所

など

  • 居室と居室に近い所に入居者同士で交流を図れるスペースを設ける

供給不足ですが参入のハードルは低いです。

サービス管理責任者を1人置けば、他のスタッフの資格は必須ではないためです。

 

さいたま市内では、空き家や空き地を社会福祉法人などに貸すことでグループホームを増やすための協力を募っています。

高齢者向け賃貸は多くの人がメリットを感じられる

部屋探しで困った経験のあるご高齢の方は少なくありません。

サ高住をはじめ、ご高齢の方を対象とした住まいはありますが、供給が十分とは言えません。

 

ご高齢の方や障がいのある方でも、賃貸での生活を求める方は多いです。

ご高齢の方の部屋探しが大変な実情と供給量から、高齢者向け賃貸は長く住んでもらえて、長期的な安定収入を見込めそうです。

不動産投資の可能性を見出せるだけではなく、社会貢献している実感も得られるでしょう。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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