サ高住は老人ホームなどと同じく、ご高齢の方に合わせて作られた住まいです。
それぞれ受けられるサービスなどに違いがあります。
安心して暮らすためには、見学して部屋や周辺環境のチェックが大切です。
本記事は、サ高住の部屋や設備の基準、入居条件、選び方のポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
サ高住とは
サービス付き高齢者向け住宅の略で、単身・夫婦のみのご高齢の方が安心して住める賃貸などの住宅です。
「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」に登録してある住宅なら、入居にかかる費用やサービス内容などをチェックできます。
「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」は、全国のサ高住の情報が掲載された唯一のサイトです。
下記以外に都道府県独自の基準もありますが、サ高住の特徴や契約に関する概要をまとめました。
住宅の床面積や設備について
- 各専有部分の床面積は、原則25平方メートル以上
- 居間・食堂・台所などが共同の場合、18平方メートル以上
- 専有部分に台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備える
- 台所、収納設備、浴室は部屋についていない場合があります。
- バリアフリー構造
利用できるサービス
- 安否確認サービス
- 生活相談サービス
サービスは、ケアの専門家によって提供されます。
専門家は、少なくとも日中は、住宅の敷地か隣接・近接する建物に常駐することになっています。
ケアの専門家とは、社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所などの以下に該当する方のことです。
- 職員
- 医師
- 看護師
- 准看護師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 介護支援専門員
- 介護職員初任者研修課程の修了者
契約について
- 書面による契約
- 専有部分が明記されている
- 敷金、家賃、サービス費以外の支払いがない
事業者は、敷金、家賃、サービス費以外の金銭を受け取れないことになっています。
- 工事完了前に前払金を支払わない
事業者は、工事完了前に受け取れません。
家賃などの前払金を支払う場合、以下が守られているかチェック
- 前払金と返還債務(賃貸住宅では敷金)の計算方法が明示されていること
- 入居後3ヶ月以内に契約を解除・入居者の死亡による契約終了の際は、前払金から「契約解除までの日数×日割り家賃等」額を返済すること
有料老人ホームなど特定施設との違い
サ高住と同時に検討されることがあるサービスを比較します。
有料老人ホーム | 特別養護老人ホーム | ケアハウス |
---|---|---|
下記いずれかを提供する施設
サービスによって「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」に分かれます。 食事の提供などをするサ高住は、有料老人ホーム扱いです。 |
寝たきり・認知症で常に介護を必要とし、在宅での介護が難しい方が入所できる施設
入所者のために、以下を実施します。
など |
無料または低額な料金で入所でき、下記のようなサポートを受けられる施設
など 介護サービスを受けるには、個別で契約が必要です。 |
どこまでのサポートが必要な方の入所を想定しているかは、特定施設ごとで違います。
しかし、特定施設は食事などのサポートが必要な方、サ高住はある程度自分でもできる方を想定していると言えそうです。
施設ごとの特徴から、それぞれどのような方におすすめか見えてきます。
サ高住 | 有料老人ホーム | 特別養護老人ホーム | ケアハウス |
---|---|---|---|
|
衣食住に関するサポートや介護などが一部必要な方 | 介護を必要とする方 | 衣食住のサポートは必要だが介護は不要な方 |
サ高住と特定施設は、契約形態に大きな違いがあります。
特定施設は「利用権契約」がほとんどです。
利用権契約は、施設で暮らすこととサービスを利用できるための権利に支払うことです。
サ高住は賃貸借契約なので、一般的な賃貸住宅と同じ契約です。
食事・介護などのサービスは基本的に含まれないことから、入居者が住むための権利を得られるよう、賃貸借契約が採用されます。
賃貸借契約だと、入居者様が原因で原状回復工事が必要になったら、敷金から工事費用が引かれます。
原則、原状回復にかかる費用は、貸主の負担です。
故意でない限り、入居者様の負担はありません。
更新や退去については、一般の賃貸住宅のように、契約で定められた期間内の通知と手続きが必要です。
事業者が終身建物賃貸借の手続きをしていれば、入居者様が亡くなった時に、契約終了になります。
サ高住の入居条件。何歳から入れる?
以下に該当する単身の方
- 60歳以上の方
- 要介護・要支援認定を受けた方
- 60歳以上か要介護・要支援認定を受けた方の同居人(配偶者、60歳以上の親族、要介護・要支援認定を受けた親族、特別な理由で同居が必要と認められた方)
家賃の補助を受けられる自治体もあります
特別養護老人ホームなどの介護費などの自己負担分は、医療費控除の対象ですが、サ高住は対象外です。
しかし、基準に該当する方に家賃を補助する自治体もあります。
東京都では、中央区・港区・品川区・江戸川区に、家賃補助を受けられる住宅があります。
補助金の要件は以下の通りです。
- 都内在住
- 月額38.7万円または48.7万円以下
その他、市区町村ごとの条件もあります。
サ高住の選び方・見学のポイント
- 複数の住宅を比較
- 事業者から受け取った書類は必ず確認
- かかる費用はいくら?どこまでサービスを受けられる?
家賃・敷金・共益費・サービス費以外の費用の支払いがないかなどを確認します。
- 最寄り駅へのアクセス
- 病院・役所・スーパーなどへアクセスしやすい立地か
- 部屋の広さ・設備
- 日当たりや騒音などの心配はないか
- 共用部分は使いやすそうか
- 入院・認知症の悪化などを理由に退去させられないか
体験入居できると、職員の対応もチェックできてより安心です。
契約にあたり重要事項説明を受け、疑問や不安なことは担当者に確認するようにしてください。
重要事項説明とは、契約期間や賃貸物件に住む際の決まり・注意点などの説明です。
▼重要事項説明とは何か知るにはこちらがおすすめ
サ高住の現状と今後
2017年12月末時点で、225,374戸がサ高住として登録されています。
登録された住宅のうち94.2%は徒歩で医療機関にアクセスできます。
一方、最寄り駅まで徒歩圏内なのは、32.3%にとどまりました。
これから単身・夫婦のみの高齢者が増えると予測されています。
要介護認定率の高い75歳以上の後期高齢者の対象となる方の増加も見込まれています。
しかし、民間の賃貸住宅は、高齢の方の入居が厳しいのが現状です。
空き家なども活用しながら、ご高齢の方が住みよい部屋の供給が求められています。
東京都は、2030年度末までに33,000戸のサ高住の整備を目標にしています。
市町村と協力しながら、医療機関・公共交通機関とのアクセスも考慮した住宅が、サ高住の増加と共に増えることを期待します。
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サ高住は単身・夫婦のみの高齢の方の住まいの選択肢のひとつ
サ高住は、衣食住に関することを自分ででき、介護も必要でない方に合わせた賃貸住宅です。
バリアフリー構造が必須、プロに生活相談できるなどは一般的な賃貸と異なりますが、契約形態は共通します。
特に、原状回復費用のトラブルが多いので、費用負担についてはあらかじめしっかり確認することが大切です。
部屋探しで、自分にとって快適に住める部屋か?よく行く施設にアクセスしやすいか?という視点が大切です。
「賃貸に住みたいのになかなか見つからない」という方は、サ高住も選択肢として加えるのも手です。
▼医療費が気になる年度に活用したい医療費控除について書きました
- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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