ESG不動産とは?投資のメリット・国の方針など事例と共に解説します

国土交通省の資料を読むと、日本もESG不動産を広めようとしていると分かります。

国内外の事例から大きなリターン以外にも投資のメリットがありそうです。

ESG不動産とはどのような不動産を指すのか、投資のメリットと政府の取り組みなどを本記事で解説します。

ESG不動産とは

ESGへの取り組みが実施された賃貸住宅・ビルのことです。

ESGとは、Environment「環境」、Society「社会」、Governance「ガバナンス」の頭文字です。

 

ESGに配慮された投資先を選ぶことが欧米を中心とした世界の流れになっています。

投資のうまみ

環境・社会の課題を解決し、中長期的なリターンを得られる可能性があることです。

中長期的に見た大きなリターン

たとえば、省エネ性能の高い建物は光熱費を削減でき、長い目で見て価値の高い不動産と言えます。ZEHなどが当てはまります。

一部の企業は電気使用量をどれだけ減らしたかなどを公表しています。開示情報を見ることも投資家には重要です。

働く人の健康や快適さに配慮したオフィスビルは、働きやすい環境づくりや優秀な人材確保などにつながり、テナントへの大きな還元を期待できます。

オフィスに限らず、利用者の健康・快適性の向上を目指す不動産は、来店客にも好印象です。

賃貸住宅なら入居者様に快適な住環境を提供できるでしょう。

 

不動産開発・運用・投資は、地域や社会の発展と密接に関わります。

開発で街の魅力が向上すると、個々の不動産への大きなリターンが期待されます。

建物の新築や改築で周辺も歩きやすく整備されるなど、建物周辺にも良い影響をもたらします。

たとえばニューヨークのタイムズ・スクエア周辺。

街路空間の再整備の結果、1912年から2012年にかけて犯罪数が低下しました。テナント賃料は10倍、不動産価格は2.8倍になりました。

空き家問題の解決

空き家・空き店舗の改修により暮らしやすい街になれば、転入・新規出店などによる人口増を見込めます。

地域社会の発展につながれば、空き家が価値の高い不動産となります。

災害への対応

日本は過去に大震災に見舞われました。将来的にも大規模地震が予測されています。

建物への被害の大きかった地域では企業の撤退が相次ぎ、新規参入が進んでいない所もあります。

街の活気・経済への影響も少なからずあると思われます。

 

耐震性の確保など万が一への対策がされていると、同じ場所で事業を継続できないほどの被害は免れます。

不動産価値の大きな下落を避けられるだけではなく、地域の安全確保に協力できるのも強みです。

ビルで働く方やお客様、周辺にいる方が帰宅困難となった時の一時滞留施設としても活用できるためです。

政府の方針

不動産分野の二酸化炭素排出量は日本全体の二酸化炭素排出量の1/3を占めます。

持続可能な環境価値の高い不動産(環境不動産)の供給と利活用を進めることが重要と考えています。

環境への負荷が小さく、働く人の健康や快適さなどが優れた不動産への注目が高まっています。

ESGに配慮した不動産への投資と供給を進めるため、快適性などの評価の見える化に取り組んでいます。

不動産鑑定評価にも反映させる仕組みがつくられています。

 

取り組みのひとつが、働く人の健康・快適性などに関するオフィスビルの認証制度です。

新築・既存のオフィスビル(自社ビル・賃貸ビル)を対象に、健康と快適性・利便性・安全性を評価します。

たとえば内装、音や光、空調などオフィスのスペースに関する要素からは健康と快適性、災害時の対応やセキュリティなど建物の安全性に関わる要素からは安全性を査定します。

建物の維持管理に関わる計画や、メンタルヘルス対策といった従業員の健康などを確保するためのプログラムを実施しているかも評価対象です。

 

申請者はビルオーナー、設計段階か運用段階で評価されます。

※区分所有者はビルオーナーとテナント両者の申請が可能です。

事例

京橋二丁目再開発

東京駅に近いエリアでありながら、区指定有形文化財の歴史的建造物が残っていました。

区画の細分化などのために建て替えが進まない一方、建物の老朽化は進んでいました。

 

地域の魅力向上・活気のある街にすると共に、防災性の向上も求められました。

歴史的建造物のリノベーションと防災性を高める整備を実施して誕生したのが「京橋エドグラン」です。

重要伝統的建造物群保存地区とは?選定基準・実際の取り組みなどをご紹介! | 賃貸知識BANK

京都ゼロカーボン・フレームワーク

ESG投資・融資の促進を目的とした京都の全国初の取り組みです。

府内の中小企業の脱炭素化を進めるため、府と地域の金融機関が連携し、脱炭素に取り組む中小企業の融資金利を優遇します。

サステナビリティ・リンク・ローン(借り手が環境対策などを実施する際に重要な指標の達成を推奨するローン)の組成には第三者評価が必要です。

京都府温暖化対策条例等に基づく「事業者排出量削減計画・報告・公示制度」を適用して報告書などを府に提出すれば、第三者評価にかかる費用の負担なくローンを組成できます。

 

府が環境問題への対策の一環でESG投資を進めています。

条件を満たす事業者なら不動産にも適用されるのであれば、環境にやさしい不動産が増えるのではないでしょうか。

 

適用されなくても、府内で不動産投資を考える方なら京都の取り組みをご存じのはずです。

環境に配慮した不動産に関心のある投資家からも注目されると予想されます。

建築する側も環境にやさしい不動産を意識するようになり、ESG投資向きの不動産が増えるかもしれません。

京都市で始まる空き家税とは?課税対象者・計算方法・導入理由などを解説

ESG不動産投資は社会貢献にもなるでしょう

環境や社会問題に配慮されたESG不動産。

環境への負荷を小さくしたり、災害時の避難場所や空き家を有効活用できるなどのメリットがあるだけではなく、長い目で見て大きなリターンを期待できます。

社会貢献しながら不動産投資するためには、ESGの観点から評価することが大切です。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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