賃貸住宅新聞社から毎年発表される人気設備ランキングは、不動産会社にFAXでアンケート調査した結果に基づきます。
オーナー様の中には、入居者様が必須と考えているものと業者の感じるものとの違いが気になる方もいらっしゃると思います。
そこで、ホームズと公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が入居者様を対象に実施したアンケートのランキングを紹介します。
ランキング結果から必須と思われる設備なども分析しています。
目次
ホームズ「一人暮らしの方がこだわって良かった設備・条件ランキング」
こだわって良かった設備・条件 | |
1位 | バストイレ別 |
2位 | 駅からの距離 |
3位 | 通勤・通学時間 |
4位 | 賃料・管理費 |
5位 | エアコン付き |
6位 | 室内洗濯機置き場 |
7位 | 最寄り駅 |
8位 | 2階以上 |
9位 | 独立洗面台 |
10位 | 広さ |
こだわらなくても良かった設備・条件のランキングも発表されています。
こだわらなくても良かった設備・条件 | |
1位 | 建物の外観 |
2位 | 追い炊き機能 |
3位 | インターネット無料 |
4位 | オートロック |
5位 | コンロ2口以上 |
6位 | 築年数・新築 |
7位 | 物件の方角 |
8位 | 宅配ボックス |
9位 | 建物の構造 |
10位 | 独立洗面台 |
参考【ホームズ】一人暮らしの設備・条件、こだわってよかったこと・こだわらなくてもよかったこと | 住まいのお役立ち情報
全宅連「重視する部屋の設備」(「一人暮らしに関する意識調査」より)
1位 | バストイレ別 |
2位 | エアコン付き |
3位 | 収納スペース |
4位 | インターネット接続 |
5位 | 室内洗濯機置き場 |
6位 | 防音性 |
7位 | コンロ付き |
8位 | テレビモニター付きインターホン |
9位 | シャワートイレ |
10位 | オートロック |
ホームズと全宅連のランキング分析
両者でランクイン | どちらかのみにランクイン | 全宅連にランクインしている一方、ホームズの「こだわらなくても良かった」にもランクイン | |
ホームズのみ | 全宅連のみ | ||
|
独立洗面台
※こだわらなくても良かったにもランクイン |
|
※コンロ付きは2口以上を指しているか不明 |
両者にランクインした設備・条件
全宅連の調査に回答した方のうち、現在一人暮らしの方は「バストイレ別」、今後一人暮らししたい・一人暮らし予定のある方は「インターネット接続」を重視している傾向です。
全宅連のランキングの傾向を見ると、お風呂とトイレが分かれていないとデメリットを感じる方が多そうです。
追い炊き機能は、ホームズのこだわらなくても良かったランキングで上位です。
家賃を抑えられるならお風呂を妥協できる方が多いのかもしれません。
よって、今後一人暮らしをしたい方にはシャワールーム+トイレのニーズの余地もあると考えられます。
洗濯機を外に置くと、洗濯物を干すのが簡単などのメリットがあるものの、劣化が早まります。
室内洗濯機置き場は、洗濯機を保護し、好きなタイミングで洗濯するのに欠かせません。
仲介会社対象のアンケートでも、「この設備がないと入居が決まらないランキング」で2018年・2021年共に1位でした。
ホームズのランキングでは下記を理由にエアコン付きの評価が高いです。
- 引っ越し時に買うのが面倒
- 初期費用を抑えたい
- 新しいエアコンだと光熱費を抑えられる
入居者様の「家賃を抑えたい」「簡単に引っ越しを済ませたい」を叶えられる設備だからかもしれません。
評価の分かれた設備・条件
- 独立洗面台
- オートロック
- インターネット無料
上記について分析します。
独立洗面台
ホームズのランキング内で意見が分かれました。
全宅連でTOP10に入っていないところを見ると、必須とまでは言えないかもしれません。
以下を理由にこだわって良かったと評価しています。
- 身支度しやすい
- 鏡の中に収納できる
鏡の中にも収納できると収納が増えます。
全宅連のランキング3位の収納スペースにも通じます。
一方、家賃が上がることを理由にこだわらなくても良かったと回答した方もいます。
この設備がないと入居が決まらないランキングで2018年は3位、2021年は5位でした。
2021年家賃が高くても入居が決まるランキングでは6位でした。
独立洗面台を入れたことで周辺の物件の相場からかけ離れない、デザイナーズや駅から近いなど家賃を払うだけの価値があれば、検討する価値はありそうです。
オートロック
全宅連のランキングにオートロックがランクインしている一方、ホームズではこだわらなくても良かったランキングにランクインしています。
1階は防犯の点で避けられやすいなどを考えると、一人暮らしならオートロックは必須と考えているのではと思っていたため意外でした。
- オートロック付きの物件が限られる
- 治安の良いエリアなら自分で管理すれば平気だと思う
などを理由に妥協できる条件に挙げる方がいました。
仲介会社へのアンケートでも必要設備で上位というわけではありません。
ただし、家賃が高くても入居が決まる設備ランキングでは3位です。
「防犯性が高い賃貸」など周辺と差別化を図るために取り付けても良いでしょう。
オートロック付き物件が多く、付いているのが当然と思われるエリアなら、あった方が良さそうです。
インターネット無料
こだわらなくて良かった理由として「モバイルWi-Fiがあるから」「自分で好きなサービスを選びたい」などが挙げられています。
この設備がないと入居が決まらないランキングを見ると、インターネット無料は2018年から2021年でランクアップしました。
新型コロナでリモートワークなどが広がったためと予想されます。
2023年3月13日から屋内でもマスクの着用は原則個人に委ねられるようになったこと、イベントの声出し解禁など、コロナ前の生活に戻りつつあります。
リモートワークやオンラインイベントなどの継続状況によっては、ニーズが少なくなるかもしれません。
2023年以降インターネット無料の順位が下がってきたら、独立洗面台やオートロックほど家賃を上げてまで欲しいと思う人は少ないと言えそうです。
時代に関係なく便利な設備の選択を
一人暮らしの方は、下記の設備は必須と考えているようです。
- バストイレ別
- エアコン付き
- 室内洗濯機置き場
複数のランキングでTOP10に入っていないもの、こだわって良かった・こだわらなくて良かったの評価の分かれるものは、競合や想定するターゲットを見て取捨選択する必要がありそうです。
たとえば以下のような設備です。
- オートロック
- 独立洗面台
- インターネット無料
- テレビモニター付きインターホン
- シャワートイレ
入居者様を対象としたアンケートは毎年実施されているわけではありません。
最新版が発表されたら何度かチェックしていくと、入居者様のニーズの変化の有無が分かり、外せない設備の傾向が見えてきます。
- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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