防蟻処理は、建物をシロアリの被害から守るために実施します。
シロアリが建物にどのような被害をもたらすか知らないと、処理の重要性をイメージしにくいかもしれません。
しかし、防蟻処理は建築基準法でも触れられる大切な作業です。
なぜ必要か、どのように実施するか、再び処理するタイミングなど、防蟻処理が分かる記事を作成しました。
目次
新築物件で防蟻処理が重要な理由
建築基準法施行令第49条2に、建築物をシロアリなどから守る必要があることが記載されています。
構造耐力上主要な部分である柱、筋かい及び土台のうち、地面から一メートル以内の部分には、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。
引用元:建築基準法施行令第49条2
防蟻処理が欠かせないのは、法令を守るためだけではありません。
柱・土台などの腐朽で、建物の強度を弱めないためにも必要です。
一度シロアリの被害を受けると、被害は広がりやすくなります。
建物を守るにはシロアリが侵入する前、つまり、新築工事の段階の防蟻処理が大切です。
防蟻処理をやらないと想定されること
シロアリの被害を受けると、下記のような症状が見られます。
- 壁や柱を叩くと空洞音がする
- 歩くと床が浮いたりキシキシとした音がしたりする
- 壁や柱などが変色する
- 畳に傷みやカビが見られる
など
シロアリによる被害が広がると、建物の倒壊を引き起こす可能性があります。
建物に異変を感じた時はもちろん、羽蟻を見つけた段階で早めにシロアリを駆除し、最悪の事態を防ぐことが重要です。
防蟻処理はどうやる?
木材に薬剤を塗布、または、加圧注入します。
ただし、日本農林規格に基づく防蟻処理が不要な製材を使用する場合、薬剤の塗布などはしなくても問題ありません。
原則、薬剤の注意事項に沿って処理します。
なければ、以下の流れで進めます。
1.薬剤をつける箇所の汚れ・付着物をとる
2.表面積1平方メートルあたり300mlほどの薬剤をつける
- ムラにならないよう、2回に分けて薬剤をつける
- 2回の合計で300ml程度になるようにする
3.1度目の処理した箇所が十分に乾いたら2度目の処理
建築基準法施行令に則ると、地面から1メートル以内の壁と床の土台、柱、筋交いなどの処理は必須です。
加えて、浴室のような湿気の多い場所は、天井や梁までやることをおすすめします。
洗面所・キッチンなどは床板まで、出入り口があってシロアリの侵入しやすい玄関なども、処理できると理想的です。
防蟻処理は専門性が必要とされる作業であるため、専門の会社に任せると安心です。
防蟻処理もメンテナンスが必要です!
処理に用いる薬剤の効果は、永久には続きません。
よって、家を建ててから何もしないと薬剤の効果がなくなり、経年と共にシロアリの被害を受ける可能性が高まります。
薬剤によりますが、5~10年おきに防蟻処理が必要になります。
シロアリを発生させないために自分でできることは?
防蟻処理に使う薬剤は、時間と共に効果が薄れます。
つまり、普段からシロアリにとって快適な環境をつくらないことが重要ということです。
シロアリは、湿気を好みます。
木材や紙は、エサになります。
シロアリの特徴から、下記を心がけてください。
- こまめに換気する
- エアコンの室外機などで基礎換気口をふさがない
- 床下・家の周囲などに木材を置かない
- 段ボール・新聞・雑誌などはすぐに処分する
- 雨漏り・水漏れ・ヒビの修繕
など
防蟻処理は建物の劣化を抑えるのに欠かせない
シロアリの被害を受けた建物は、強度の低下が懸念されます。
防蟻処理はシロアリの発生リスクを減らせます。
ただし、処理の効果がずっと続くわけではありません。
こまめな換気など、シロアリが発生しにくい環境づくりも欠かせません。
- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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