単身者の方に人気のエリアに土地を持っている方で、ワンルームの賃貸経営が一番効率がいいという解が出る方も多いはず
しかし、ワンルームの集合住宅は自治体の条例に制限があり部屋数が増えると手続きも増えるなど、自由に建てるのが難しいです。
この記事では、ワンルームの制限について解説します。
目次
ワンルーム集合住宅は条例で規制されることがある
自治体によって、一定規模以上のワンルームの集合住宅を建てる際、事業者に手続きが求められます。
単身で賃貸に住む方は地域とのつながりが弱く、ゴミ出しや駐車などで、近隣住民と揉めるのではと心配する方もいます。
近隣の方とトラブルにならないよう、自治体との協議、定められた基準を満たした建築計画が必要になります。
条例に該当するマンション・アパートは、部屋の床面積の下限や駐輪・駐車台数などの基準を満たさなければなりません。
ただし、制限を廃止する例もあります。
神奈川県横浜市は、令和3年4月1日にワンルームの集合住宅の基準を廃止しました。
基準を設けた時から社会情勢が変わってきたためです。
よって、確認申請が令和3年4月1日以降の建築物は、届出も不要になりました。
ワンルーム形式集合建築物に関する指導基準及び同施行細目(R3.4.1.廃止) 横浜市
規制は自治体によって異なる!練馬、西東京の条例は?
東京都練馬区と西東京市でワンルームの集合住宅を建てる際の規制内容と手続きを紹介します。
練馬区
「練馬区まちづくり条例」で規制されます。
ワンルーム住戸15戸以上の集合住宅を建築する場合に制限があります。
練馬区では、専用床面積40平方メートル未満の住戸をワンルームと定義します。
専用床面積にベランダ、バルコニー、パイプスペース、メーターボックスなどは含みません。
店舗、事業所も規制対象です。
ただし、児童福祉施設老人福祉法および障害者総合支援法で定めたグループホームは、対象外です。
規制の対象になった場合、下記の基準を満たして建築しなければなりません。
- 最低25平方メートルの専用床面積
- 居室の天井の高さ2.3メートル以上
- 出入口付近に車寄せワンルームマンション・アパートは引っ越しが多いです。
駐車で近隣とトラブルにならないよう、車寄せが必要とされます。 - 総戸数以上の駐輪場
ただし、駐輪場の台数の1/10以上は、原付用の駐車場が必要です。
など
管理や廃棄物の保管に関しても、決まりがあります。
30戸以上の住戸は、ファミリー住戸の設置が必要と定められています。
練馬区は、2室以上の居室のある55平方メートル以上の住戸をファミリー住戸としています。
手続きが必要なワンルーム集合住宅を建設するとなると、以下のような手続きが必要です。
- 開発事業の届出
- 特定用途建築物に係る届出
※特定建築物は、ワンルームの集合住宅などです。 - 説明会の開催、協議
- 協議の申請
※近隣住民の意見書と事業者の見解書を提出します。必要があれば、区の意見も示されます。 - 協定の締結
西東京市
「西東京市人にやさしいまちづくり条例」で規制されます。
床面積30平方メートル未満のワンルーム10戸以上の集合住宅を建築する場合、事業者は近隣住民への説明などが求められます。
以下が西東京市のワンルーム条例の基準です。
- 最低25平方メートル以上の床面積
- 戸数に応じた台数を停められる駐輪場・駐車場・駐輪場
駐輪場は、部屋数以上の台数が必要です。
駐車場は、戸数×1/3以上の台数を停められるようにしないといけません。
たとえば、部屋数15戸なら15×1/3=5台以上が必要です。
など
管理に関する規定もあります。
たとえば、近隣からの苦情に迅速に対応する、ごみ収集、入居者に違法駐車させないなどです。
規制に該当するワンルーム集合住宅を建てる事業者は、練馬区同様、手続きが複雑です。
- 市に開発事業の事前相談
- 開発事業事前協議書の提出
必要があれば、「人にやさしいまちづくり推進協議会」から意見をもらいます。 - 近隣への説明
- 開発事業審査願を提出
- 協定の締結
実際の建築例
練馬区の条例に抵触しないように建築した例
Siesta Duo上石神井アルボルハウスが建つ土地は、ワンルームアパートの建築計画もありました。
しかし、ワンルームのアパート(弊社の物件ではシエスタヴィラタイプ)にすると、練馬区の条例が適用されると判明しました。
土地が広く、ワンルームで土地を上手に活用できる規模の建物にしようとすると、条例の15戸を超えるためです。
広い土地なら複数の物件を建てれば良いのでは?と考えるかもしれません。
しかし、東京都建築安全条例で定められた「窓先空地」を確保できないため、複数棟は建てられないと分かりました。
窓先空地は、共同住宅で窓に面する何も建てられない敷地のことです。
火災などの避難経路確保のために必要な空間です。
賃貸を建てるほど建築費がかさみます。
家賃収入からどれくらい利益を出せるかシミュレーションし最適な経営を目指すのが安定への近道です。
広い土地の活用と収益性を考え、条例で規制されない1LDKの部屋が17戸ある3階建てのアパートが完成しました。
西東京市の条例対策の参考になるお部屋の例
シエスタヴィラひばりが丘ブリックハウスでは、当初ワンルーム10戸のアパートを計画していました。
しかし、ワンルーム10部屋で建築してしまうと、西東京市の条例が適用されます。
そこで、最上階の1部屋をなくし、ルーフバルコニー付きの部屋になりました。
ワンルーム条例の対策はさまざま
自治体の条例で、ワンルームの集合住宅の部屋数は自由に増やすことができません。
しかし、オーナー様に無理のない資産運用や、需要のある建物を提案できる不動産会社なら、法律に則りつつも収益性のある賃貸を考えられるはずです。
横浜市のように条例の規制を止める自治体は出てくるかもしれませんが、周辺環境とのバランスは大切です。
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- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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