賃貸住宅管理業者が義務化される登録制度とは?内容・法制化の背景について

皆さんは2021年6月から賃貸住宅管理業にかかる登録が義務化されるのをご存知でしょうか?

登録を受けた業者は、オーナー様から預かる家賃・敷金などを、法律で定められた方法で管理しなくてはなりません。

登録を受けた賃貸住宅管理業者が、預かり金の管理以外にも義務付けられる業務、登録が必須となった理由などをご紹介します。

賃貸住宅管理業者の登録制度とは

賃貸住宅管理業者登録制度は、平成23年12月に国土交通省が創設した、賃貸住宅の管理業務に関するルールを定めたものです。
管理業務を適切に行い、オーナー様の財産を守ることを目的につくられました。
登録を受けた管理会社は、以下の業務が義務付けられます。

業務管理者の配置
管理受託契約締結前の重要事項の説明
分別管理
定期報告

業務管理者は、営業所、または、事務所ごとに1人以上配置しなければなりません。
管理受託契約締結前の書面の交付・説明と、締結時の書面交付の管理・監督責任があります。
他の営業所、または、事務所と兼任できないこと、管理者がいない間は、管理受託契約を締結できない点に注意が必要です。
管理者になるには、2年以上の実務経験と、下記いずれかを満たす必要があります。

登録証明事業による証明を受けている(「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」施行日から1年以内に国土交通大臣指定の講習を修了すれば、同じ扱い)
宅地建物取引士で、国土交通大臣指定の管理実務の実務講習を修了している

重要事項とは、管理業務の実施方法・契約期間・報酬などの他、取り決めがある場合は契約の更新・解除についても説明が必要です。

分別管理は、管理受託契約に基づいて受け取った家賃・敷金・共益費・その他の金銭の口座と、業者の固有財産の口座を分け、帳簿作成(電磁的記録も可)して管理すること。

預かり金の正しい管理方法として、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律で業者に求められます。

参考:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第16条

管理会社は、オーナー様に管理業務の実施状況、入居者からのクレームの有無、苦情が寄せられた場合の対処法などを、契約締結日から1年を超えない期間ごとと、契約満了後に報告しなければなりません。
報告は、管理業務報告書を作成、オーナー様と共有した上で説明する形で行います。

ルールに基づく管理業務によって、オーナー様、入居者様、管理会社間で信頼がおけるようになります。
登録事業者が公表されることで、オーナー様が信用できる管理会社を選べるだけではなく、賃貸を探している方が安心して暮らせる物件を決められるメリットもあります。

2021年6月から賃貸住宅管理業者は登録が義務化!

2020年6月19日公布の賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律で、2021年6月から賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録が義務化されます。

参考:賃貸住宅管理業について|建設産業|国土交通省 関東地方整備局

賃貸住宅の環境を守り、不良業者をなくし、業者の質を高めるために、登録が義務付けられました。

物件が増えるほど、管理は大変になります。
管理物件の増加以外にも、管理内容の複雑化などで、オーナー様自身で管理するのが難しくなり、管理会社に委託する方が増えています。

管理会社への委託の増加と共に、家賃の持ち逃げなど管理会社とオーナー様・入居者様間のトラブルも見られるようになりました。
そこで、賃貸住宅管理業者の登録義務化によって、問題解決が期待されます。

登録が必須となるのは、管理戸数200戸以上の賃貸住宅の維持保全・金銭管理を委託された業者です。
200戸未満の場合、登録は強制されていませんが、登録申請はできます。

登録に9万円、5年ごとの更新が必要です。

しかし、以下のような場合には登録できません。

・賃貸住宅管理業に必要と国土交通省が定める損益の基準を満たしていない
・業務管理者の選任が難しいと見なされる
・破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない
など

新法に基づく登録申請・受付などについては、2021年4月以降に発表予定です。

義務化によってずさんな不動産管理の減少見込まれる

2021年6月以降、賃貸住宅管理業に係る登録が義務化されます。

5年ごとの更新が必要で、家賃入金口座、オーナー様報告事項の徹底がされます。

登録のない会社は管理業を行うことができません。

この義務化により、これまでずさんな不動産管理を行っていた会社が淘汰され正しく業務遂行を行う会社の判別がしやすくなることが期待されています。

収益物件の建築、管理を行う当社も賃貸住宅管理業の登録を行っています。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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