安全性が担保されないブロック塀には倒壊の危険があるため撤去や改修に、国や地方から補助を受けられます。
ただし、自治体によって金額や条件が異なります。
本記事は、9つの自治体の助成制度を紹介します。
どれくらいの支援が受けられそうか知っておくと、不動産経営の運用計画を考える時の参考になり安心です。
目次
ブロック塀の倒壊事故を覚えていますか?
2018年6月18日、大阪北部地震がありました。
地震の影響で小学校のブロック塀が倒れ、児童が犠牲となる事故が起きました。
民家のブロック塀の倒壊でも、犠牲者がいます。
事故のあった高槻市の調査によると、事故の主な原因は内部構造の施工不良とのこと。
不良箇所として、接合筋(差し筋)の激しい腐食と、地震が原因と考えられる破断が挙げられています。
事故が起きなかった小学校でも、ブロック塀の内部に劣化が見られたということです。
参考:第2章 事故原因の検証
地震や地盤の特性などによっては、劣化したブロック塀の放置で、大きな事故がいつ起きてもおかしくありません。
内部構造の劣化は、目視や日常点検などで確認できません。
ブロック塀は他の工作物と比較すると、劣化が早い傾向です。
重大な事故が起きる前に、ブロック塀の所有者は、撤去などの安全策をとることが求められています。
ブロック塀の撤去などの地方自治体の補助金制度について
大阪の事故を受け、国土交通省はブロック塀の撤去・改修などの支援制度を設けました。
内容は、基準に満たないブロック塀の撤去・改修費用の補助金が国・地方自治体から出るというものです。
費用の負担が軽減されることで、撤去などに取り組みやすくなったのではないでしょうか。
金額・条件は自治体で異なりますが、どのような制度があるのかイメージできるよう、9つの内容を取り上げます。
宮城県仙台市
対象 | 撤去 | |
---|---|---|
補助金額 | スクールゾーン外 | スクールゾーン内 |
いずれか低い方 |
|
|
限度額 | 15万円 | 18.7万円 |
静岡県静岡市
対象 | 撤去、新設 | |
---|---|---|
補助金額 | 撤去 | 新設 |
いずれか低い方 |
いずれか低い方 |
|
限度額 | 10万円 | 25万円 |
高知県高知市
対象 | 撤去、改修 |
---|---|
補助金額 |
いずれか低い方 |
限度額 | 20.5万円 |
大阪府大阪市
対象 | 撤去、新設 | |
---|---|---|
補助金額 |
いずれか低い方 |
|
限度額 | 撤去 | 新設 |
15万円 | 25万円 |
限度額単価を、以下にまとめました。
撤去 | 新設 | ||
---|---|---|---|
基礎撤去あり | 基礎撤去なし | 基礎新設 | 基礎再利用 |
1平方メートルあたり12,800円 | 1平方メートルあたり7,800円 | 1平方メートルあたり27,000円 | 1平方メートルあたり25,400円 |
東京都武蔵野市
対象 |
|
||
---|---|---|---|
補助金額 | 撤去 | 補強 | 改修 |
1メートルあたり8,000円 | 1メートルあたり8,000円 | 1メートルあたり16,000円 | |
限度額 | 64万円 | 32万円 | 128万円 |
東京都練馬区
対象 | 撤去 | |
---|---|---|
補助金額 | 限度額以内の場合、全額 | |
限度額 | 危険性の高い塀 | 安全性に疑いのある塀 |
1メートルあたり17,000円 | 1メートルあたり8,000円 | |
1メートルを超える部分 | ||
10センチメートルごとに1メートルあたり1,000円プラス | 10センチメートルごとに1メートルあたり500円プラス |
▼関連記事:耐震性能の調査に補助金が出ます
生垣などの設置で貰える補助金
街の緑化に力を入れる自治体は多いです。
街のみどりを増やすことを目的に、ブロック塀を撤去し、生垣などを設置する場合の費用を助成する自治体もあります。
3つの自治体の生垣などの設置で交付される補助金について紹介します。
東京都墨田区
対象 | 道路に面する沿道部分に設置された生垣や植樹帯 | |
---|---|---|
補助金額 | 生垣 | 植樹帯 |
いずれか低い方 |
いずれか低い方 |
|
ブロック塀の撤去跡に植える場合、1メートルにつき+1万円 | ||
限度額 | 40万円 |
神奈川県横浜市
対象 | ブロック塀の撤去とセットで行う生垣の設置
※幅員4メートル未満の道路は対象外 |
---|---|
補助金額 |
いずれか低い方 ※撤去は下記の低い方
|
限度額 | 生垣の新設と撤去あわせて30万円 |
和歌山県串本町
対象 | 生垣の延長2メートル以上の垣根の整備 |
---|---|
補助金額 |
いずれか低い方 |
上限額 | 10万円 |
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補助金をうまく使って安全な環境を作りましょう
ブロック塀の事故防止のため、自治体ごとに撤去・改修などの費用の助成制度が設けられています。
撤去跡につくる生垣に活用できる補助金もあります。
安全確保にも緑化にも貢献したいオーナー様は、所有している塀のある自治体の制度を確認してみてください。
当社は、補助金を活用したアパート建築と土地利用の実績があります。
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- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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