2022年3月に日本初となる3Dプリンターハウスが完成しました。
施工開始からなんと23時間12分で完成させたこの家。広さ10㎡の球体状でインフラは電気設備のみ。水道の設備はないもののグランピングや趣味の部屋といった用途で年内すでに6棟の販売が決定しているそうです。
まさに前代未聞の家が誕生したのですが・・・3Dプリンターハウスとは一体何でしょうか?
日本の住宅業界で頭角を現していくのでしょうか?
目次
3Dプリンターハウスとは一体?
ここ数年で3Dプリンターという製品をよく耳にする様になりましたが、実際に使った事ある方は少ないのではないでしょうか?
3Dプリンターとは立体物をあらわすデータを元に立体造形物を作る事ができる機器を言います。様々な方法で樹脂などの材料を空間に積み重ねていき、立体造形物を可視化・実体化することができるのです。
現時点では模型など小さなものを作るのが主流でしたが、原理は一緒。材料の層を重ねて出力させコンクリートの構造物が完成したのが3Dプリンターハウスです。
3Dプリンターハウスのメリットデメリット
3Dプリンター で家を建てるという事について、メリット・デメリットをご紹介します。
まずはメリットから。
メリット
①価格が安い
コンクリートを主として必要最低限の材料で床から屋根まで建築するため安く抑えることができます。価格高騰の要因でもある木材の取引価格に左右されることはありません。
更に建築スピードが早く人件費も抑えられます。
実際兵庫県のスタートアップ企業セレンディクスは、3Dプリンターを使った一般向け住宅「フジツボモデル」を49平米1LDKの平屋建てで2023年春に500万での販売を目指しているそうです。
②建築スピードが早い
冒頭でもお伝えした通りわずか23時間12分で3Dプリンターハウスは完成しました。人でなく機械が動くので24時間稼働することも可能ですし、設計データを読み込ませコンクリートを積み重ねていっても建築スピードは圧倒的に早いです。
③建設業で深刻な労働力不足にも有効な対策になる
機械が設計データに基づいて建築するため、現場作業員や職人さんの数を大幅に減らすことができます。
④特殊なデザインの建築物を作ることができる
3Dプリンターは曲線など形状が複雑な住宅にも対応しやすく、特殊なデザインの建築物も造ることができます。
次にデメリットを紹介します。
デメリット
①建築基準法に対応していない
住宅を建築するためには建築基準法で鉄骨や鉄筋の指定された建築材料を使用する必要がありますが、3Dプリンターハウスはモルタルなどの特殊な原材料を使用しています。指定建築材料を使わない場合は個別に国土交通大臣の認定が必要です。
今後3Dプリンターに関する法整備が整うまでは、建築確認申請が不要な現場に限られてしまいそうです。
②基礎工事に対応していない
現在の法律では鉄筋を入れる事で強度を高めるための基礎工事が必要となっています。しかし3Dプリンターでは鉄筋を入れる建築に対応していません。日本は地震も多いので、地震に耐えられる強固な基礎が必要となるのです。
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現在話題沸騰中の3Dプリンターハウス
セレンディクス株式会社が2022年3月に3Dプリンターハウスを完成したのを皮切りに、3Dプリンターハウスに関するニュースがどんどん飛び込んできています。大手百貨店高島屋が来年正月の目玉企画として「sphere(スフィア)3Dプリンターハウス福袋」を1棟販売すると発表しました。
そして11月4日に発表された「2023年ヒット予測ランキング」(日経トレンディ)では3Dプリンターハウスが20位にランクインしました。
先ほどお伝えした来春発売の「フジツボモデル」も50〜70代の方を中心にたくさんの問い合わせがきているそうです。(こちらは電気・ガス・水道のインフラはもちろん、キッチンバストイレまで完備!)
今まさに話題沸騰中ですが、この先日本で定着していくのでしょうか?
日本に定着するのか?
安価で短期間で短期間に建設できる3Dプリンターハウスは、住宅ローンの破綻や脱炭素化、ウッドショックといった日本が抱える課題を解決する要素が含まれています。
そして少子高齢化が進み、今後さらなる人手不足が予想される日本にはぴったりの住宅とも言えますね。
今の住宅ローンの仕組みではいずれローンが支払えなくなる人が続出するとも言われています。当事者としては車を買う感覚で300万から購入出来るので、住宅ローンに縛られる事なく自由でいながらマイホームが手に入るのが魅力的です♪
不動産業界に変革をもたらす存在になりうる
厳しい法規制をどのように打破するかがポイントになりますが、3Dプリンターハウスは住宅の常識を変える存在になりえますね。10年後には身の回りに3Dプリンターハウスがよく見られるようになっているかもしれません!
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- この記事を書いた人
- 北川 まな
- 娯楽雑誌編集部を経て現在はフリーランスWEBライター。 育児をしながらイベントMCとライターの二足のわらじを履いて活動しています。 子どもの頃から本を読むのが好き、今でも活字を読むことが生活の一部、同時に自分でも文章を書くのが好き。とにかく活字が好きです。 MC、リポーターに経験を活かしてインタビュー記事と取材記事が特技。 「企画・取材・執筆」などを複数のメディアで行っています。
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