成年年齢が引き下げられたこと、そして若い世代に安定的で豊かな暮らしをしてもらうことなどを目的に、2022年から高等学校で「金融教育」の実施が義務化されたことはご存知でしょうか?
その教育プログラムを紐解いてみると、私たち大人の世代も知っておきたい重要な金融知識が様々なカテゴリに分けて記載されています。
今回は金融教育におけるプログラムのひとつ、「資産形成」の内容についてわかりやすく解説していきます。
将来の暮らしを少しでも豊かにするために必要な知識となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
資産形成とは?その必要性について
「資産形成」とは、様々な手段を用いてゼロから資産を築いていくことを指します。
その手段とは投資の他、銀行口座に少しずつお金を入れて貯金することも資産形成のひとつです。
資産形成が必要な理由は複数ありますが、その中でも大きなポイントとなるのが「老後生活に向けた蓄え」です。
人生において大きな出費となる3大支出に、教育費用や住宅費用と並び老後費用も挙げられています。
しかし老後費用は教育費用・住宅費用のように第三者から融資(ローン)を受けることができないため、公的年金や個人資産を頼りにしなければならないのです。
近年は預貯金における金利の低下や物価上昇の傾向により、自身の貯蓄と公的年金の受給額だけで老後生活の費用が賄えない可能性も考えられます。
万が一老後生活の費用が不足した際、それを補えるようにするためにも事前の資産形成が重要となります。
資産形成で知っておきたい「利息・利率」と「単利・複利」
資産形成で利用する金融商品の種類によって異なりますが、多くの場合「元本」と呼ばれる自己資産で購入や投資などをして、そこに付く利息でお金を増やすことになります。
どれだけの利息を得られるかは、金利がどのくらいあるかによって変わります。
- ・利息(利子):貸したり借りたりしたお金に、対価として一定の割合で支払われるお金
- ・利率(金利):貸したり借りたりしたお金に対する対価の割合
例えば2023年2月時点における普通預金の金利は0.001%とされていますが、そこで100万円を銀行に預けると利息として10円を得られるということです。
また、金融商品における利息の付き方は「単利」と「複利」の2つに分けられます。
この2つには、それぞれ以下のような違いがあります。
- ・単利:元本に対して利息が付く
- ・複利:元本だけでなく、その利息も運用すればさらに利息が発生する
多くの利息を得られる複利の方が資産形成において有利となり、長く運用するほど効果がより高まります。
元本が倍になるのは何年後?「72の法則」で計算シミュレーション
元本が2倍になる年数を求めることで、資産形成の効果を測る際の指標となります。
その年数を求める際に活用できる計算法が、「72の法則」です。
金利を72で割り算することで、複利での運用において元本を倍にするために必要な年数を求められます。
例えば元本10,000円で運用する場合、元本が20,000円になるまでに必要な年数は以下のような計算で求めます。
- 金利5%の場合
72÷5=14→20,000円になるまでに14年かかる
- 金利10%の場合
72の法則で求めた年数はあくまで概算に過ぎませんが、シンプルな計算式で年数の目安を測れるため、金融商品を選ぶ際に便利な計算法です。
資産形成に必要な金融商品の種類
先述の通り、資産形成の手段として利用できる金融商品には様々な種類があります。
どの金融商品を利用するか検討する際に注目したいポイントが、以下3つの性質です。
- ・収益性:どのくらい利益に期待ができるか
- ・安全性:元本が減るリスクはないか
- ・流動性:必要なときに現金化できるか
上記を踏まえ、代表的な金融商品の種類を比較してみましょう。
金融商品 | 特徴 |
預金・貯金
(金融機関にお金を預ける) |
・金利の低下により収益性は低い
・元本保証があり、安全性は最も高い ・銀行の他にコンビニにもATMがあり、流動性も高い |
債券
(国や会社にお金を貸す) |
・預金や貯金と比較して収益性が高い
・国債なら安全性は高いが、社債は元本保証がないため安全性が低い ・一般的に流動性は低い |
株式
(株券を購入する) |
・株券を購入した会社の利益に応じた配当を受け取ることができ、収益性が最も高い
・元本は保証されていないため安全性が低い ・取引の参加者が多く取引高も大きいため、流動性は高い |
投資信託
(多くの投資家からお金を集めて株式や不動産などに投資する) |
・収益性や安全性は、投資対象によって低いこともあれば高いこともある
・一般的に流動性は高い |
各金融商品の特徴を見て分かる通り、3つの性質すべてに優れた金融商品はありません。
そのため、目的や個人資産の状況などに応じて使い分けることが大切です。
今や貯蓄だけの資産運用では足りない可能性も
最も実施しやすい資金形成の手段としては、貯蓄が挙げられます。
家計管理をしっかりと行ったうえでの貯蓄は重要であり、ひと昔前の日本であれば金利により預金だけでお金が増えていったことも事実です。
しかし金融庁が公開している「金融経済統計月報」によると、2007年時点の普通預金における金利は0.198%であったのに対し、2016年~2023年2月に至るまでは0.001~0.002%を往復している傾向にあります。
将来を見据えた貯蓄をより盤石なものとするならば、預金・貯金に加えて他の金融商品の検討もおすすめします。
【注意】資産運用で損失が生じても自己責任
各金融商品において、リスク(利益と損失の振れ幅)とリターン(利益と損失)の大きさは異なります。
リスクが大きい金融商品であればそれだけ大きな利益を望めますが、逆に大きく損をする可能性も潜んでいることに注意しながら運用する必要があります。
リスク・リターンは、「預金・貯金<債券<投資信託<株式」といった順に大きくなるケースが一般的です。
いずれにしても金融商品は自分の意思で選択するため、どれだけの利益・損失が生じようとそれは自己責任になります。
資産形成の仕組みや種類は年代問わず理解を深めておきたい知識
預金や貯金・株式・投資など、金融商品の種類やおおまかな内容は分かっているつもりでも、利息の付き方や金融商品における3つの性質までは初めて知った方も多いのではないでしょうか?
金融に関わる知識は難しいように思えて、基本的なポイントから着実に押さえていけば学生から大人まで理解を深められる内容になっています。
将来の暮らしに備えた資産形成のため、今回の内容だけでなく他の金融知識についてもぜひ調べてみてください。
なお、高校で義務化された金融教育の内容は下記の記事にまとめています。
- この記事を書いた人
- 浦野 瞳
- 様々なジャンルで執筆経験があるフリーランスWEBライターです。 執筆時はリサーチにリサーチを重ね、複雑な不動産関係の知識も分かりやすくお伝えしています。 読者の皆様に、「痒い所に手が届く記事」と感じていただけていれば幸いです。 住宅やインテリアの情報に対しては特に関心が強く、情報の正確性を高めるため個人的にも勉強をして知識をつけています。 実際に賃貸暮らしを続ける中での経験・所感も活かし、オーナー様・入居者様どちらの視点も考慮しながら情報を発信いたします!
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