若者に増えている金融トラブルとは?事例や相談窓口などを知っておこう

2022年に高校で「金融教育」が義務化され、若者も資産形成や家計管理の方法などお金・金融の仕組みについて学ぶ機会が生まれました。

金融教育が義務化された理由は複数ありますが、そこには「インターネットの普及による生活変化に伴う、金融トラブルの多発・低年齢化」も含まれています。

そのため金融教育のプログラムとして、若者がトラブルに巻き込まれることを防ぐための知識も教えられているのです。

 

そこで今回は金融教育に含まれている金融トラブルの知識について、具体的な事例・防止策・消費者を守る法律や相談窓口などを紐解きながら解説していきます。

大切な子供たちはもちろんご自身を守るためにも重要な情報となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

若者の間で多発する金融トラブルとは

2022年4月より成年年齢が18歳に引き下げられたことで、20歳未満の若者でもクレジットカードやローンなどの契約が可能となりました。

元より金融トラブルに巻き込まれた20代の若者が消費生活センターへ相談するという事例は多かったこともあり、今後は18歳・19歳の若者にもトラブルが拡大しかねないと懸念されています。

現代の若者たちを守るために早い段階から金融リテラシーを身に付けさせる必要性が高まり、成年年齢引き下げと同時期に高校で金融教育の義務化が施行されたのです。

 

まずは金融教育のプログラム「金融トラブル」でも挙げられている、若者の間で多発するトラブルの事例から知っておきましょう。

金融トラブル事例① マルチ商法

「絶対に儲かる」「すぐに元が取れる」などの甘い言葉で勧誘を受けて加入してしまう若者が多くいますが、実際に大きな利益を得られるのは組織の上位にいる一部の販売員だけです。

仕入れのための代金は非常に高額なケースが多く、なおかつそのすべてを販売することも容易ではないため、借金と大量の在庫を抱える結果となります。

金融トラブル事例② 個人間の融資トラブル

今や多くの若者にとって欠かせない存在となっているSNS。

SNSや掲示板などから、個人を装った悪質な金融業者から「審査不要でお金を貸す」と話を持ち掛けられるケースもあります。

結果的に法外な金利で貸付が行われたり、個人情報の悪用で犯罪に巻き込まれたりするトラブルにつながります。

金融トラブル事例③ 多重債務

クレジットカードは気軽に利用できるぶん、買い物で一時的にお金を使いすぎてしまうリスクがあります。

そこで生活費が不足し、審査に通りやすい高金利な消費者金融からお金を借りることで起こりうるトラブルです。

高金利な借金の返済に追われて再びお金が不足し、別の業者からお金を借りて返済に充てる…という流れで多重債務に陥ってしまいます。

金融トラブルに巻き込まれたらどうすればいい?

万が一金融トラブルに巻き込まれても、場合によっては消費者を守る法律により契約や取引を取り消せる可能性があります。

また、ご自身がトラブルに遭った際は決して1人で抱え込まず専用の相談窓口へ相談することが大切です。

金融トラブルから消費者を守る法律の種類

悪質な業者と取引をしてしまった際に役立つ主な法律は、以下の通りです。

 

  • 民法

民法第5条では、未成年者が親の同意を得ずに行った法律行為を取り消せることになっています。

すでに悪質業者との取引契約を行っていても、17歳以下の未成年かつ親の同意がなければ取り消しが可能です。

参考:民法 | e-Gov法令検索

 

  • 金融サービスの提供に関する法律

金融商品販売業者が金融商品の販売・勧誘を行う場合、契約前に元本割れの可能性があるなどの重要事項を消費者へ説明することが義務付けられています。

業者側が重要事項説明を怠ったため消費者に損害が生じた場合、消費者は業者へ損害賠償の請求が可能です。

参考:金融サービスの提供に関する法律 | e-Gov法令検索

 

  • 消費者契約法

業者と消費者の間にはどうしても情号の質や量、交渉力に格差が生まれてしまうため、業者の勧誘方法によっては消費者に不当な取引が強いられる恐れがあります。

その対策として施行された消費者契約法では、不当な勧誘行為により消費者が誤認または困惑した場合、消費者は契約の申込みや意思表示を取り消せることになっています。

参考:消費者契約法 | e-Gov法令検索

 

  • クーリング・オフ制度

クーリング・オフとは、特定商取引法や割賦販売法などいくつかの法律を根拠として成立している制度です。

特定商取引法では、「契約の申込みの撤回等」や「契約の解除等」といった言葉で表現されています。

訪問販売・電話勧誘販売・マルチ商法・特定継続的薬務(エステや語学教室など)・保険契約など、計12種類の取引において一定期間内であれば取り消すことが認められています。

参考:クーリング・オフ(テーマ別特集)_国民生活センター

金融トラブルに遭った場合の相談窓口

金融トラブルに遭った場合、ケースに応じて以下の電話窓口が設けられています。

 

  • 消費トラブル全般:188番(消費者ホットライン)
  • 金融サービス全般:0570-016811(金融庁金融サービス利用者相談室)

金融トラブルを回避するための対策

金融教育の「金融トラブル」プログラムでは、トラブルを回避するための対策として以下3つの鉄則を挙げています。

  • ・おいしい話には注意すること
  • ・相手側から近寄ってきても遠慮なく断ること
  • ・万が一トラブルに遭っても決して諦めず相談すること

どんな取引でもリスクとリターンの高さは比例しており、「楽で安全だけど確実に大儲けできる」ケースはほとんどありません。

 

甘い言葉で誘われても、親しい人から誘われても勇気を出して断る意思を伝えましょう。

また、万が一トラブルに遭ってしまっても救済の糸口となる法制度や相談窓口は複数あるため、早めに相談することが大切です。

金融トラブルから身を守るには情報が重要!

金融トラブルの多くは、業者と消費者の間に生じた情報量の差や消費者側の金融リテラシーの低さが原因で起こります。

20歳未満の学生にも悪質な業者に狙われるリスクがある中、具体的なトラブル事例や法制度などの情報を教えてくれる金融教育は重要な科目です。

もちろん若者だけでなく、私たち大人の世代にとっても決して他人事ではありません。

事例・法制度・相談先・対策法と複数の観点から金融トラブルへの情報を多く身に付け、ご自身や家族を守りましょう。

この記事を書いた人
浦野 瞳
様々なジャンルで執筆経験があるフリーランスWEBライターです。 執筆時はリサーチにリサーチを重ね、複雑な不動産関係の知識も分かりやすくお伝えしています。 読者の皆様に、「痒い所に手が届く記事」と感じていただけていれば幸いです。 住宅やインテリアの情報に対しては特に関心が強く、情報の正確性を高めるため個人的にも勉強をして知識をつけています。 実際に賃貸暮らしを続ける中での経験・所感も活かし、オーナー様・入居者様どちらの視点も考慮しながら情報を発信いたします!
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