全国で空き家は増えており、少子高齢化・人口減少などで増え続けると予測されています。
空き家問題解決のため、京都市は全国ではじめて空き家税(非居住住宅利活用促進税)を2026年度に導入予定です。
空き家税は自治体独自の法定外税のため導入には総務省の同意が必要ですが、2023年3月に同意を得られました。
本記事では空き家税にまつわる以下のことを解説します。
- 課税対象者
- 計算方法
- 免税・減税条件
- 導入理由
- 空き家税への疑問の声
京都市の資料から、いわゆる空き家以外の所有者にも課税されると分かります。
京都市が生活拠点でないものの市内の物件を所有している方にもご一読いただきたい内容です。
空き家税(非居住住宅利活用促進税)とは
課税対象 | 京都市の市街化区域内にある非居住住宅の所有者
※別荘も対象 非居住住宅を空き家・別荘・セカンドハウスなど生活の本拠を置いている人のいない住宅と定義しているため |
計算方法 | 家屋価値割と立地床面積割の合計
家屋価値割=固定資産評価額×0.7% 立地床面積割=敷地の土地にかかる1平方メートルあたりの固定資産評価額×家屋床面積×税率 |
立地床面積割の税率は固定資産評価額で決まります。
固定評価額 | 税率 |
700万円未満 | 0.15% |
700万円以上900万円未満 | 0.3% |
900万円以上 | 0.6% |
以下は課税されません。
- 事業用に使われている・1年以内に使用を予定している
- 賃貸・売却の予定がある※募集開始から1年の免除
- 固定資産税で非課税か課税免除とされている
- 景観重要建造物その他歴史的な価値を有する建造物
固定資産評価額20万円(空き家税の導入から5年間は100万円)未満の家屋も課税されません。
以下は減税されます。
- 災害や盗難で損失を受けた
- 納税者が生活保護制度で定められた生活扶助を受けている
- 国・都道府県・市町村・特別区などの買収・収納か、都市計画法に基づく事業で使用収益できなくなった
- 一時的に使用されていない(居住者が老人ホームに入所したなど)
居住者・所有者が亡くなった場合、住宅の処分や利活用を進める期間として徴収まで最大3年間の猶予があります。
なぜ空き家税を導入することに?
住宅不足による市外への人口流出を防ぐためです。
京都市中心部はマンション価格が高騰しています。
子育て世代をはじめ、若年層が市内で家を買えない・見つけられないという問題が生じています。
京都の景観条例との兼ね合いによる高さ制限、山に囲まれているなどで住宅地を広げられないために解決を難しくします。
一方、市内には10万戸を超える空き家があります。
空き家でも維持には固定資産税などがかかります。
2026年度からは既にかかっている税金に加えて空き家税もかかるようになります。
つまり、税金が上がるということです。
空き家税の導入で空き家の所有者が税負担軽減のため賃貸や売却を進めれば、若者世代のための住まいも増えるのではと期待されています。
京都市は空き家税で見込まれる税収を空き家対策に活用予定とのことです。
税収が目的ではなく、空き家を減らして住みやすい街づくりを目指します。
空き家税で空き家が有効活用されるか疑問視する声も
市内の中古物件より市外の庭付き新築の方が魅力的という子育て世代は少なくないようです。
所有者にも処分できない事情があるか、税負担が上がっても支払う余裕のある方もいるのではと分析する方もいます。
国も空き家の対策を全くしていないわけではありません。
たとえば、空き家を相続した方が空き家を売却した場合、3,000万円の譲渡所得控除を受けられる特例措置などです。
- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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