建設労働需給調査とは?結果が示す人材の過不足の現状と今後の予測

国土交通省は2023年4月25日、同年3月の建設労働需給調査の結果を公表しました。

最新の過不足率・前月や前年同月との推移の比較から、特に足りない職種や将来的に人手不足が懸念されそうな職種が見えてきます。

収益物件の建築・修繕に欠かせない建設業に携わる人材の現状を本記事で取り上げます。

今後の予想もしてみました。

建設労働需給調査(通称:労働モニター調査)とは

建設技能労働者の需給状況などを職種別・地域別に毎月把握するための調査です。

人材確保や公共事業をスムーズに行うことなども目的です。

1979年7月から実施されています。

 

対象は、建設業法上の許可を受けた資本金300万円以上の法人企業のうち、調査対象職種を直接雇用する約3,000社です。

 

以下の8職種が調査対象職種です。

  • 形わく工(土木)
  • 型わく工(建築)
  • 左官
  • とび工
  • 鉄筋工(土木)
  • 鉄筋工(建築)
  • 電工
  • 配管工

 

1992年10月から電工・配管工が追加されました。

職種別の結果

  • とび工は均衡
  • 鉄筋工(土木)は過剰
  • その他の職種は不足

 

建築業界の人材不足はよく耳にするため、人材の足りている職種があるのは意外でした。

鉄筋工(建築)は2.6%と不足率が特に大きいです。

ただし、前年同月の過不足率と比較すると4.7%から2.6%と不足率は小さくなっています。

左官は前年同月は1.5%過剰でしたが、1.5%不足に転じました。

その他の職種の過不足率は前年同月比でほとんど変わりません。

 

鉄筋工(建築)は人材不足を解消しつつも、他の職種以上に人手不足が続くと考えられます。

不足の数値が大きくなっていること、前月との比較でも0.1%増加していることから、左官の不足が少しずつ進むのではと予想されます。

地域別の結果

  • 沖縄は均衡
  • 北海道と中部は過剰
  • その他地域で不足

特に不足の数値が大きいのは4.3%の四国地方です。

どの地域にも、街の中心部など住みたいと思う人の多いエリアがあるはずです。

人材が十分でないと、需要をまかなえるほどの賃貸物件を建てるのも大変かと思います。

 

残業・休日作業を実施する理由のトップは「前工程の工事遅延(32.8%)」。次いで「昼間時間帯時間の制約(29.5%)」です。

理由を見ると人材不足・働き方改革の影響を感じます。

人手が足りなくなるほど、限られた期間で納期に間に合わせるのは大変になります。

どこかの工程で職人が足りないと、後の工程に影響が出ることは予想できます。

建設業に携わる人の数は不動産業界にも影響がある

労働モニター調査によると、今後の労働者の確保で対前年同月比で比較すると「困難」「やや困難」の回答率が上昇しています。

今後も建築業界の人材不足が懸念され、対策の必要性を感じます。

 

建設業の人材不足の原因のひとつは、労働者の年齢層の高さにあります。

若手が少なく、年齢を理由に職人が退職してしまうと、人手不足に拍車をかけます。

 

建物は建てたら終わりではありません。

時期が来たら実施する修繕には職人さんの手が必要です。

不動産業界側も無理な納期で依頼していないかなど、建設業界の労働環境改善のために見直せることは協力していかないとならないと思われます。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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