賃貸借契約の流れ。入居までに不動産会社が行う手続きと用意する書類は?

オーナーになると関わる賃貸借契約。賃貸に住んだことがなくイメージしづらいという方もいらっしゃるのでは?

賃貸借契約はオーナー様と入居者様をつなぐ重要な契約です。

オーナー様に代わり管理会社がどのような手続きをしているのか解説します。

1. 申し込みと審査

入居希望者が入力できるように申込書の形式を作成します。必要な書類と申込書案内資料も作成します。

 

保証会社と契約する場合、保証会社の審査に通します。

当社では以下のような流れです。

  1. 保証会社のシステムに保証会社申込申請書類を送信
  2. 結果を確認
  3. 審査結果を入居希望者へ伝える

2. 社内システムに情報を登録

現在は多くの会社が不動産業務支援システムを活用して業務を行っています。

どのようなサービスなのか、当社で使っているいえらぶのサービスを簡単に紹介します。

 

いえらぶCLOUD(クラウド)は仲介から管理まで業務効率のアップに役立つシステムです。

たとえば広告掲載する物件の登録、顧客管理、内見の予約対応、必要書類の作成、入出金管理、更新・解約日の通知などが効率的にできます。

3.初期費用の見積書作成、送付

入居に必要な初期費用を計算して見積書を作成します。

下記のような項目を記載してお客様へ送付します。

 

  • 家賃(1or2ヶ月分。契約日が月の途中の場合、日割り家賃が加算される。)
  • 敷金・礼金
  • 仲介手数料
  • 保証料
  • 火災保険料
  • 鍵の交換費用※新築以外

4.入金確認

指定された方法(銀行振込など)で期日までに初期費用の支払いが完了していることを確認します。

5.  ライフラインの手続き

空室時のライフラインの契約名義はオーナー様です。入居が決まった時にオーナー様から入居者様に変更します。

 

使用開始の手続きは通常は入居者様に行ってもらっています。ただし、依頼された時には水道・電気・ガスの契約・使用開始手続きを管理会社で行うこともあります。

6.契約書等の書類作成、返送書類の捺印など不備がないように確認

当社では下記の書類を作成しています。

  • 住宅賃貸借契約書 1部
  • 重要事項説明書、賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書、ハザードマップ 2部
  • 契約書類返送チェックシート 1部
  • 個人情報のお取り扱いについて 2部
  • 家財保険申込書 2部
  • ペット飼育契約書 1式※ペット飼育可の場合
  • 24時間対応サービス概要 1式
  • 家賃保証サービス契約書等 6部
  • 郵便局転居届について 1部
  • Jcom新入居時初期メンテナンス対応依頼書 1式
  • ライフライン手続きのご案内 1部
  • オートロック取扱説明書 1部
  • ダイアルポスト開け方のご案内 1部
  • お客様お問い合わせ窓口のご案内 1部

 

書類にお客様の捺印が必要な場合、付箋で捺印箇所を記載、角印を捺印します。

7.契約日のスケジューリング

契約日が指定されていない場合、審査が終わってから1週間~10日後を目安に契約日(家賃が発生する日)を決めます。

 

宅地建物取引士(宅建士)は契約する前に重要事項説明(初期費用や毎月発生する費用、入居中と退去時のルール、原状回復の考え方)などを説明する義務があります。

重要事項説明をできるのは宅建士のみなので、宅建士が契約日の調整を行う場合もあります。

8.契約

重要事項説明の内容に問題がなければ契約へ進みます。

賃貸物件の契約形態は普通借家契約と定期借家契約の2種類です。ほとんどは普通借家契約が結ばれます。

9.鍵のお渡し

下記の書類と共にお渡しします。

  • 鍵預かり証
  • 家財保険領収書
  • 入居時チェックシート
  • ごみの捨て方ご案内

 

郵送の場合は契約日前日までに、来店の場合は来店当日に手続きします。

10.入居

契約手続きが終わり、鍵が渡されたら引っ越しできます。

11.質問対応

よくある質問

ライフライン契約の仕方は?誰が手続きするの?

原則、入居者様自身で手続きしてもらいます。

水道 電気 ガス
新住所の管轄の水道局に利用開始の申し込み 契約したい電力会社に利用開始の申し込み

※物件によっては電力会社が指定されています。

利用開始の申し込み※申し込み前に都市ガスかプロパンガスか確認してください。

※開栓には立ち会いが必要です。

水道・電気・ガス共に、現在地の契約解除が必要です。

 

鍵はいつもらえるの?

契約日に受け渡しが行われるのが一般的です。

 

引っ越し業者の紹介ある?

不動産会社と提携の引っ越し業者を紹介します。

 

紹介した業者に依頼しないといけないわけではありません。相見積もりをとって良さそうな業者を見つけた、以前依頼した業者が良かったのでまたお願いしたいという方もいます。

 

何の書類が必要?契約者以外の親が家賃を支払っても良い?

  • 住民票
  • 収入を証明できる書類(源泉徴収票など)
  • 身分証明書
  • 印鑑証明
  • 連帯保証人に関する書類(連帯保証人の身分証明や収入証明など)

 

たとえば学生のひとり暮らしの方など、親が家賃を支払うケースは想定されます。

契約者を親、入居者を本人という形にすれば、入居者以外の支払いが可能です。

契約書の内容と重要事項

借主と貸主の権利と義務の確認

契約書に具体的に書かれているので、双方じっくり確認し、心配な点や不明点は不動産会社に質問することが大切です。

 

一般的な内容をまとめました。

権利 義務
借主
  • 契約書に明記された条件(家賃など)で住む
  • 経年による設備の修繕を依頼できる

など

  • 期日までに家賃を支払う
  • 修繕が必要な時にはすぐに管理会社(自主管理の場合は貸主)に報告する

など

貸主
  • 家賃を受け取る
  • 契約内容に基づいて入居者に要求できる

など

  • 契約に定められた条件で住まいを提供する
  • 入居者が原因でない不具合の修繕をする

など

 

交渉のポイントと注意事項

契約を結ぶにあたって明確にしておきたい事項がある場合、締結前なら交渉の余地があります。

たとえば内見時に不具合を見つけたので入居までに修理してほしいなどです。

賃貸借契約の締結までには多くの段階がある

申し込みがあったら審査を行い、通過後は契約締結のための書類の用意、初期費用の計算と入金確認、ライフラインの名義変更、重要事項説明、鍵の受け渡しなど、賃貸借契約でやるべきことは多いです。

オーナー様で管理するとなると全部をご自身でやらなくてはなりません。

管理委託なら全て不動産会社に任せられます。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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