新築の断熱性能は等級4が義務化されます!等級・地域別の基準値は?

建築物省エネ法の改正で、新築・改築に際して断熱性能の等級4が義務化されます。

そもそも等級はどのように分かれているのでしょう。

また、長い目で見た時に等級4を満たせば断熱性の高い家と言えるのでしょうか?

そこで、等級別に求められる基準を分かりやすくまとめました。

どの程度の断熱性が必要か分かるよう、今後の流れや地域ごとの違いも紹介しています。

断熱性能の等級とは

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)で、賃貸住宅を含め、建築物の新築の際、国土交通省が定める建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)を満たさないといけません。

 

省エネ基準のひとつが断熱性能です。

等級は断熱性能の高さを表します。

等級の数字が大きいほど、断熱性能が高いことを意味します。

建築物省エネ法は建築物の省エネ性能向上のため、2015年7月8日に制定されました。

カーボンニュートラルと脱炭素社会の実現に向け、住宅の省エネ性能をさらに高める必要から、2022年6月に改正され2025年からは省エネ基準への適合が義務化されます。

断熱性能の等級4・3とは

2025年度に義務化されるのは等級4です。

等級3など他の等級はどの程度の断熱性が求められるかまとめました。

等級4 熱損失(建物から逃げる熱の量)などを大幅に減らすための対策がされている
等級3 一定程度の熱損失などを抑える対策がされている
等級2 熱損失をわずかに減らす対策がされている
等級1 上記以外

2022年4月、国土交通省は等級5を、同年10月1日からは等級6と7を追加しました。

2030年度までには等級5の義務化が検討されています。

 

等級5は熱損失などをより大きく減らすための対策が求められます。

等級6は「著しい」削減、等級7は「より著しい」削減と説明されています。

断熱性能の基準

文字だけでは人によって感じ方が異なるため、数値の基準が定められています。

ただし、どこまで対策しないと十分な断熱性能を得られないかは地域ごとの気候で異なります。

そこで、気象条件で日本を8つの地域に分類し、地域別に基準を定めています。

 

下記が地域区分です。

  • 1地域・2地域:北海道など
  • 3地域:北関東など
  • 4地域:東北・北関東など
  • 5地域・6地域:関東・東海・近畿・四国・北九州など
  • 7地域:南九州など
  • 8地域:沖縄など

数値の基準となるのはUA値です。

UA値とは室内と外気の熱の出入りのしやすさを数値にしたものです。

数値が小さいほど、熱の出入りが少ないことを表します。

各等級を満たすには、UA値を下記の数値以下にしないといけません。

1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域
等級7 0.20 0.20 0.20 0.23 0.26 0.26 0.26
等級6 0.28 0.28 0.28 0.34 0.46 0.46 0.46
等級5 0.4 0.4 0.5 0.6 0.6 0.6 0.6
等級4 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
等級3 0.54 0.54 1.04 1.25 1.54 1.54 1.81
等級2 0.72 0.72 1.21 1.47 1.67 1.67 2.35

参考住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設

 

8地域、特に沖縄では暖房を使用する機会がほとんどないため、断熱性能の基準が設けられていません。

等級4の断熱性能では物足りない未来が来るかもしれません

2025年には新築・改修時に等級4を満たさなくてはいけなくなります。

しかし、等級の追加、等級5の義務化が見込まれることを考えると、将来的には等級4でも断熱性が十分とは言えなくなりそうです。

急に等級を満たす住宅へ変えるとすると時間と手間、費用が掛かります。

光熱費の上がる昨今、断熱性能を上げる手っ取り早くあげる手段として窓サッシ選びから始めてみてみるのも良いでしょう。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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