劣化対策等級について。最高等級を取得したアパートなら資産運用計画を立てやすい?

皆さんは「劣化対策等級」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

アパート経営で資産運用を考えている方は、安全性の高い住宅を持ちたいと考えるでしょう。

入居者様が安心して住める物件であることを評価する項目の1つが、劣化対策等級。

不動産経営の要となる銀行融資に影響を与えます。

高い等級ほど、建物が満たさなければならない基準は多くなりますが、劣化を抑えられるため資産運用で有利に働きます。

そこで、資産価値が長く続く物件を購入するのに覚えておきたい、劣化対策等級の評価基準・取得のメリット・最高等級を受けられる建物の条件を解説します。

劣化対策等級とは?それぞれの等級の評価方法は?

劣化対策等級とは、住宅性能表示制度で定められた、住宅の評価基準の1つ。

住宅性能表示制度は、平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、同年10月から始まった制度で、住宅の性能に関する共通ルールが定められています。

国土交通大臣によって、ルールは「日本住宅性能表示基準」、評価方法は「評価方法基準」として制定されました。

劣化対策等級は、建物の劣化を遅らせる対策がどの程度とられているかを「3級」「2級」「1級」で評価します。

劣化対策等級の評価方法

3級
一般的に想定できる自然条件・維持管理下で、大規模な改修工事を必要とする期間を3世代(75~90年ほど)まで延ばせる対策がされている
2級
一般的な自然条件・維持管理下で、大規模な改修工事を必要とする期間を2世代(50~60年ほど)まで延ばせる対策がされている
1級
建築基準法の対策がされている

評価方法から、等級が高いほど建物の安全性確保に求められる対策が多い分、耐用期間が長くなります。

評価は、柱・梁などの構造に用いられる材料によって異なりますが、木造住宅の場合、通気・換気の工夫で腐食による劣化やシロアリの被害が最小限になるようにしているか、耐久性の高い木材を使用しているかなどがチェックのポイント。

劣化対策等級を取得するメリット

劣化対策等級をはじめ、住宅性能表示制度の基準を満たすと、融資を受ける際に有利に働きます。

たとえば、劣化対策等級2級以上の評価を受けると、木造住宅でも、銀行から最長35年の借入も可能です。

3級の基準に加え、小屋裏と全ての部屋の床下に点検口を設置するといった、長期優良住宅の基準を満たすと、金利の引き下げ期間が長くなり、5年から10年間に。

住宅性能表示制度に則った住宅は、トラブルが起きた場合も安心です。

性能評価を行い、施工・完成段階の検査結果をまとめた「建設住宅性能評価書」が交付された住宅で、建物に不具合がある・工事費用が見積もりと異なるなどの理由で紛争が生じた場合、指定住宅処理機関に、裁判を起こさずスムーズに専門的に処理できるよう申請することができます。

申請手数料は、1件につき1万円です。

有利な条件で融資を受けられることを考えると、不動産投資の物件は、劣化対策等級2級以上のものを購入すると良いでしょう。

トラブルが発生した時のことを考慮しても、住宅性能表示制度の基準を満たす物件はおすすめです。

木造アパートで最高等級を取るための対策

弊社が建築管理を行う「シエスタシリーズ」は、劣化対策等級2級の評価を受けています。

等級3級と等級2級では構造躯体が3級では3世代(75~90年)もつこと、2級では2世代(50~60年)もつことが性能上求められることに違いがあります。

木造住宅の劣化対策等級2級の基準

地面の高さから1mの外壁の軸組等
  • 外壁が通気構造
  • 下記いずれかの対策
    一定の薬剤処理
    耐久性の高い樹種か、一定以上の径の部材が用いられている
  • 上記と同等の防腐防蟻処理と、建物が長期にわたり維持・保全できる対策
土台
  • 一定の防腐防蟻処理、または、耐久性の高い樹種
  • 下記を全て満たす
    外壁が通気構造
    上記と同等の防腐防蟻処理
     建物が長期にわたり維持・保全できる対策
浴室、および、脱衣室
下記いずれかを満たすか、同等の対策

  •  一定の防水仕上げ
  • 日本工業規格A4416規程の浴室ユニットの設置
基礎
  • 基礎高さ40cm以上
  •  下記を全て満たす
    基礎高さ30cm以上
    雨はね防止措置
    建物が長期にわたり維持・保全できる対策
地盤
  • 鉄筋コンクリート造のべた基礎
  • 布基礎と鉄筋により一体化された防蟻コンクリートと布基礎
  • 有効な土壌処理
  • ひび割れがない、建物の維持保全対策ができているなどで、防蟻性能を認められる
床下
  • 厚さ60mm以上の防湿コンクリートか0.1mm以上の防湿フィルムで覆われている
  • 下記いずれかを満たす
    4mごとに300㎠以上の床下換気措置
    5mごとに300㎠の床下換気措置と、建物が長期にわたり維持・保全できる対策
小屋裏
  • 一定面積以上の換気口の設置
  • 下記全てを満たす
    2つ以上の換気口の設置
    小屋裏の木部が湿っていない
    建物が長期にわたり維持・保全できる対策

等級が高い物件なら資産価値を長く維持できる賃貸のオーナーになれます!

劣化対策等級の等級が高いと、建物が長持ちする対策が多くとられているので、劣化が緩やか、融資を長期間受けやすいといった点で、不動産投資計画を立てやすいのがメリットです。

収益物件を建築依頼する場合には、等級を見ておくと融資の期間、劣化速度が分かります。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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