サッシは木製の時代があった!アルミサッシの普及までの歴史って?

サッシとは、窓の枠の部分のことです。

現代だと金属製のサッシが主流です。しかし、少し前までは木でできていました。

実際アルミサッシが普及したのは、1960年後半から。しかし、1930年代からサッシにアルミを使う試みがされていたようです。

普及まで30年もかかったとは驚きですね。

この記事では、木製やスチールに取って代わるまでの歴史と、アルミサッシになって変わったことを紹介していきます。

アルミサッシの導入から普及までの歴史

はじめに、日本で最初に押出成形アルミサッシが使われ始めたと言われる1950年から1960年代半ばまでを紹介します。

次に、木造住宅用アルミサッシの基礎とされる製品が発売された1965年から現在までを見ていきます。

1950年~1960年半ばはスチールサッシ全盛期

1950年 昭和電工赤松発電所で日本初の押出成形アルミサッシの使用
※押出成形以前のアルミサッシが日本で初めて使われたのは1931年近三ビルです
1952年 日本相互銀行で近代的アルミサッシ最初の本格使用
1957年 那須アルミニウム工業(後に親日軽に社名変更)がアメリカのゼネラルブロンズ社と技術提携
※日本がスチールサッシの最盛期だったのに対し、アメリカは住宅でもアルミサッシが一般的でした
1958年 新潟市庁舎で、海岸から近い場所の腐食対策としてアルミサッシが採用
1959年 不二製作所(後の不二サッシ)がビル用初の既製サッシを発売
※同じ年、前年にアルミサッシに参入した日本建鉄も既製品を発売しています。
1959年から1960年代後半、さまざまな会社がアルミサッシ業界に参入しました。
1961年 不二製作所が家庭用初の既製サッシを発売
※現在のアルミサッシとは大きく異なります。
1963年 日本建鉄がアメリカのハップ社と技術提携※翌年、一貫製造体制が完成します。

安定供給が可能になりました。

住宅にもアルミサッシの普及が加速したと考えられる出来事が、1961年と1962年にあります。

1961年 現在の積水ハウスの軽量形鋼構造の住宅に引違いアルミサッシが採用
1962年 現在のレスコハウスのビル用サッシを打ち込んだWPC工法が公営住宅で採用

1960年後半から一気に普及

1965年 片引きサッシ(1961年不二製作所から発売された家庭用サッシ)の改良版が発売。木造住宅用サッシの基礎に。
※当時は、日本の住宅事情に合わないという理由から、普及には至りませんでした。
1966年 住宅用スチールサッシの発売と、アルミサッシの生産量急増
※既製のスチールサッシは1956年に製品化されています。
ただし、アルミの方がスチールより製品化はスムーズでした。
1968~1969年 アルミサッシとスチールサッシの生産量が逆転→以降、アルミが主流に
※公団の建築ラッシュも、普及を後押ししたと考えられます。
1970年~ 木製サッシからアルミサッシの交換が増える
現在 二重窓による断熱性アップ、バリアフリー・高齢化社会に配慮した製品の誕生(ノンレールサッシなど)

木製からアルミサッシになって起きた変化

木製からアルミサッシに代わった理由から、サッシの新設・交換や住宅建築で、以下のような変化が起きたと分かります。

  • 木製よりアルミの方が安く建設できる
  • 木材資源を守れる
  • 品質の安定したサッシを取り付けられる(木製は、木材の質に左右されるため)
  • 安定した価格と納期
  • 耐久性が高く、メンテナンスがラク(木材は経年と共に反り・変形などが起き、すき間が生じる可能性があります)

一見、アルミサッシは木製よりメリットが多そうです。

しかし、アルミの方が木製より結露ができやすいというデメリットがあります。

一方で、結露ができやすいというのは、住宅の気密性が高まったとも言えます。

ただし、最新の木製サッシの気密性は、アルミサッシと変わらないと言われています。

アルミサッシは時代と共に変化してきた!

アルミサッシが住宅で一般的になるまで、長い年月がかかりました。

経済や技術の変化と共に私たちの住んでいる住宅も進化してきています。

賃貸住宅も入居者さんのニーズに合わせてデザインや機能も進化していく必要があります。

バリアフリーや高齢化社会に配慮した製品も販売されていることから、アルミサッシはまだまだ進化し続けるでしょう!

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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