工業のための地域は3種類!準工業地域・工業地域・工業専用地域に住宅は建つ?

用途地域を専門家でなくても分かるように説明していく本シリーズ、

前回は、あらゆる店舗・事務所の営業を目的とした2種類の地域について紹介しました。

前回の記事はこちら

住居地域ほど用途制限が厳しくない地域でも、工場や工業に関する施設は建てられない所が多いです。一方、工業のために土地利用できる地域もあります。

今回は、工業のための地域を解説します。

準工業地域・工業地域・工業専用地域の制限

工業のための多くの施設を建てられる地域は、「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」の3種類です。

準工業地域について

危険性や環境悪化のリスクが高い工場・施設以外は建てられる地域です。

建てられる建築物

  • 住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿
  • 店舗・事務所との兼用住宅※非住宅部分の床面積50平方メートル以下かつ建築物の延べ床面積1/2未満のもの
  • 店舗
  • 事務所
  • ホテル・旅館
  • ボーリング場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場
  • カラオケボックス
  • 麻雀屋・パチンコ屋・射的場・馬券や車券販売所
  • 劇場・映画館・演芸場・観覧場・ナイトクラブ
  • キャバレー
  • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校
  • 大学・高等専門学校・専修学校
  • 図書館
  • 巡査派出所・一定規模以下の郵便局
  • 神社・寺院・教会
  • 病院
  • 公衆浴場・診療所・保育所
  • 老人ホーム・身体障がい者福祉ホーム
  • 老人福祉センター・児童厚生施設
  • 自動車教習所
  • 単独車庫
  • 建築物附属自動車車庫
  • 倉庫業倉庫
  • 自家用倉庫
  • 畜舎
  • 作業場の床面積50平方メートル以下の次のような建築物
    • ・ パン屋
    • ・ 米屋
    • ・ 豆腐屋
    • ・ 菓子屋
    • ・ 洋服店
    • ・ 畳屋
    • ・ 建具屋
    • ・ 自転車店

※原動機の制限あり

  • 危険性や環境悪化のリスクの極めて低い工場※原動機・作業内容の制限あり
  • 危険性や環境悪化のリスクの低い工場※原動機・作業内容の制限あり
  • 危険性や環境悪化のリスクのやや高い工場※原動機・作業内容の制限あり
  • 自動車修理工場※原動機の制限あり
  • 火薬・石油類・ガスなどの危険物の貯蔵や処理量が非常に少ない施設
  • 危険物の貯蔵や処理量少ない施設
  • 危険物の貯蔵や処理量がやや多い施設
  • など

 

建てられない建築物

  • 個室付浴場
  • 大きな危険性と環境悪化のリスクの高い工場
  • 火薬・石油類・ガスなどの危険物の貯蔵・処理量が多い施設

など

建築できない工場・施設の詳細は、建築基準法別表第1で確認できます。

建築基準法

 

容積率・建ぺい率・建物の高さ制限

容積率 100~500%

※前面道路幅員12m未満の場合、前面道路幅員×0.6%

(特定行政庁指定区域では前面道路幅員×0.4%か0.8%)

建ぺい率 50~80%
道路斜線 勾配1.5
日陰規制 対象 高さが10mを超える建築物
平均地盤面からの高さ 4mまたは6.5m
規制時間 敷地境界線からの水平距離10m以内 敷地境界線からの水平距離10m~
4時間 2.5時間
5時間 3時間

道路斜線・日影規制をはじめとした建物の高さの制限についての詳細は、建築基準法第56条で確認できます。

建築基準法

▼関連記事:日照権について知るにはこちらの記事がおススメです。屋根を見たら方角が分かる?

工業地域について

どのような工場も建てられ、住宅も建設可能な地域です。

建てられる建築物

  • 住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿
  • 店舗・事務所との兼用住宅※非住宅部分の床面積50平方メートル以下かつ建築物の延べ床面積1/2未満のもの
  • 床面積10,000平方メートル以下の店舗
  • 事務所
  • ボーリング場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場
  • 10,000平方メートル以下の次のような遊戯施設
    • ・ カラオケボックス
    • ・ 麻雀屋
    • ・ パチンコ屋
    • ・ 射的場
    • ・ 馬券・車券販売所
  • 図書館
  • 巡査派出所・一定規模以下の郵便局
  • 神社・寺院・教会
  • 公衆浴場・診療所・保育所
  • 老人ホーム・身体障がい者福祉ホーム
  • 老人福祉センター・児童厚生施設
  • 自動車教習所
  • 単独車庫
  • 建築物附属自動車車庫
  • 倉庫業倉庫
  • 自家用倉庫
  • 畜舎
  • 作業場の床面積50平方メートル以下の次のような建築物
    • ・ パン屋
    • ・ 米屋
    • ・ 豆腐屋
    • ・ 菓子屋
    • ・ 洋服店
    • ・ 畳屋
    • ・ 建具屋
    • ・ 自転車店

※原動機の制限あり

  • 危険性や環境悪化が懸念される工場※原動機・作業内容の制限あり
  • 自動車修理工場※原動機の制限あり
  • 火薬・石油類・ガスなどの危険物を貯蔵・処理する施設

など

 

建てられない建築物

  • 床面積10,000平方メートルを超える店舗
  • ホテル・旅館
  • 劇場・映画館・演芸場・観覧場・ナイトクラブ
  • キャバレー・個室付浴場
  • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校
  • 大学・高等専門学校・専修学校
  • 病院

など

容積率・建ぺい率・建物の高さ制限

容積率 100~400%

※前面道路幅員12m未満の場合、前面道路幅員×0.6%

(特定行政庁指定区域では前面道路幅員×0.4%か0.8%)

建ぺい率 50~60%
道路斜線 勾配1.5

工業地域は、日陰規制の対象外です。

工業専用地域

どのような工場も建てられる一方、店舗・事務所との兼用も含め、住宅が一切建設できない地域です。

店舗も建てられるのは限定的で、遊戯施設はほとんど建てられません。

建てられる建築物

  • 物品販売店・飲食店を除く床面積10,000平方メートル以下の店舗
  • 事務所
  • 10,000平方メートル以下のカラオケボックス
  • 巡査派出所・一定規模以下の郵便局
  • 神社・寺院・教会
  • 公衆浴場・診療所・保育所
  • 老人福祉センター・児童厚生施設
  • 自動車教習所
  • 単独車庫
  • 建築物附属自動車車庫
  • 倉庫業倉庫
  • 自家用倉庫
  • 畜舎
  • 作業場の床面積50平方メートル以下の次のような建築物
    • ・ パン屋
    • ・ 米屋
    • ・ 豆腐屋
    • ・ 菓子屋
    • ・ 洋服店
    • ・ 畳屋
    • ・ 建具屋
    • ・ 自転車店

※原動機の制限あり

  • 危険性や環境悪化が懸念される工場※原動機・作業内容の制限あり
  • 自動車修理工場原動機の制限あり
  • 火薬・石油類・ガスなどの危険物を貯蔵・処理する施設

など

 

建てられない建築物

  • 住宅
  • 店舗・事務所との兼用住宅
  • 床面積10,000平方メートルを超える店舗
  • ホテル・旅館
  • ボーリング場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場
  • 麻雀屋・パチンコ屋・射的場・馬券や車券販売所
  • 劇場・映画館・演芸場・観覧場・ナイトクラブ
  • キャバレー・個室付浴場
  • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校
  • 大学・高等専門学校・専修学校
  • 図書館
  • 病院
  • 老人ホーム・身体障がい者福祉ホーム

など

容積率・建ぺい率・建物の高さ制限

容積率 100~400%

※前面道路幅員12m未満の場合、前面道路幅員×0.6%

(特定行政庁指定区域では前面道路幅員×0.4%か0.8%)

建ぺい率 30~60%
道路斜線 勾配1.5

工業専用地域も、日陰規制の対象外です。

工業系地域にはどんな建物がある?

弊社のある東京都東久留米市の準工業地域を調べました。

工業地域と工業専用地域は、市内にありません。

工業地域は、東久留米市の隣の小平市で確認できました!

工業専用地域はなかなか見つからず…

京浜工業地帯の大田区を調べたところ、人工島の昭和島が工業専用地域に指定されていると分かりました。

準工業地域リサーチ結果

東久留米駅から車で10分ほどの、野火止1丁目と八幡町1丁目のエリアが指定されています。

製造業・加工業などの工場を確認できます。

準工業地域は店舗が制限されないこともあり、ショッピングモールもあります。

工業地域リサーチ結果

東京都小平市には、タイヤメーカーの工場を中心とした工業地域があります。

メーカー関連の工場が多いですが、博物館・スポーツジムなども建てられています。

学校や病院が建設できない地域なので、保育園・小学校・病院などは隣接する第一種中高層住居専用地域に建っています。

工業専用地域リサーチ結果

街全域が工業専用地域なので、鉄工所・工業所・印刷工場など、さまざまな分野の製造拠点が見つかります。

国内最大の水再生センターが印象的です。

大規模な工場が立ち並んでいれば、住宅・宿泊施設・学校などを建てるのは難しく、建てられないのも無理ありません。

事務所・公共施設以外は制限の多い地域ですが、公園と野球場はあるようです。

工業の発展を支える地域も大切!

製造業・メーカーには、工場が欠かせません。

しかし、扱う製品によっては、周辺住民や店舗への影響が懸念されます。

そこで、工場や施設の種類によって、周辺の建築物を厳しく制限する必要があります。

リスクが非常に高いと判断される工場・施設のある地域では、住宅も建てられないほどです。

所有する土地を上手に運用するには、地域の用途制限はもちろん、周辺地域についての把握も大切です。
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この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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