「モルタル」という言葉を目にしたことはありますか?
昔は家造りに多く使われていたモルタル。外壁や階段に使われていました。
では、モルタルとはなんなのでしょうか?
この記事では、モルタルの解説と、モルタルと一緒によく比較•使用されるタキロンシートについて記しています。
また、不動産賃貸業をするにあたって、モルタルとタキロンシートはどちらが適しているのか、考察していますので是非参考になさってください。
目次
モルタルとは?
モルタルは、住宅などの建築現場でよく用いられる建材の一種です。
セメントと砂を水で練ったもので、セメントに比べて強度がやや劣り、柔軟性に優れている材料です。
レンガを積む際の接着剤やレンガやブロックの目地材などによく用いられているといえば、イメージしやすいでしょう。廊下や階段にもよく使用されている、いわゆるコンクリートのようなものです。
(厳密に言えばコンクリートとは違いますが、ここでの説明は割愛します。)
モルタルには以下のようなメリットがあると言われています。
モルタルのメリット
デザインの幅が広がる
塗装の際に、職人が施していくので、唯一無二のオリジナリティ溢れるデザインにすることが可能となります。
耐火性がある
壁に一定の厚さを塗れば防火構造として適用。建築基準法では、「不燃材料」の1つとして定められています。
コーキングによるジョイントがない
タイルなどの貼り付けと違い、モルタルを塗り付けているため、結合部がなくどこまでも続くので、ジョイント部が現れない仕上がりになります。
次にモルタルのデメリットをお伝えします。
モルタルのデメリット
材料費や人材費が高い
コンクリートの場合は砂利で量増しが出来ますが、セメントの量をたくさん使うため、材料費が高くつきます。
施工期間が長い
施工後24時間程度の乾燥が必要。その上ひび割れ対策として何度も繰り返し塗りこむ必要がある。
ひび割れ(クラック)が生じやすい
モルタルはコンクリートより水分の量も多くなり、その分乾燥による収縮が大きく、クラック(ヒビ)が入りやすい。
汚れやすい
最近SNSでインテリアやルームツアーを見ていると、モルタル調の家や壁紙をよく見ます。
昔は外壁によく使われていたモルタルですが、最近のリノベーションでは、形もサイズもオリジナルのキッチンを作ったり、室内の壁に採用する例も増えてきているようです。
タキロンシートとは
一方、モルタルがよく使用される設備箇所に使用されているのがタキロンシートです。
マンション開放廊下、バルコニー、階段など。
タキロンシートの効果は以下の通りです。
タキロンシートのメリット
「耐候性」紫外線・直射日光に強い
独自の特殊配合技術により紫外線に強く、変色や劣化しにくい
防滑性
表面の防滑エンボスと滑りにくい素材特性により転びにくく快適な歩行感を与えます。
耐摩耗性
タキストロンは中間層にガラス繊維マットを採用し、長期使用における製品の伸縮を抑制します。
防汚性•坊カビ性
「クロスネット処理」を施す事で、上地層の緻密性を向上し生活ゴミなどの汚れを軽減してくれ、物陰に発生しやすいカビや水カビを防ぎます。
まとめると、
耐久性・耐候性に重点を置き、歩行による摩擦や傷・紫外線・直射日光に強く色やエンボスが消えにくい
それがタキロンシートです。
デメリットはこちら。
タキロンシートのデメリット
- 既存の床面の勾配を引き継ぐので水たまりが発生する場合がある
- 鉄板下地の場合は消音効果はあまりない
- 初期費用が高くつく
タキストロンについて詳しく解説した記事があるので、興味のある方はこちらも覗いてみて下さい。
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モルタルとタキロンシート賃貸物件に採用するならどっちがいいの?
それでは、実際に紹介したモルタルとタキロンシート、どちらの方が不動産運営をするにあったって賃貸物件に適しているのでしょうか。
モルタルよりもタキロンシートのほうが、①滑らない、②汚れが自然に落ちる加工がある
すなわち
メンテナンス費がかかりにくいという理由で優れています。
その反面、タキロンシートはモルタルよりも設置するときの初期費用が高くなります。
初期費用を抑えてメンテ費がかさんでもいい運用を好むか、
初期費用をかけても将来のメンテ費と手間を節約する運用を好むか。
人それぞれの考え方によります。
実際に過去、当社で扱った物件のモルタル階段はシンプルでありながら重厚感や力強さが感じられるますが、築4年経った今、クラックや亀裂が入り、少し黒ずんでいたため塗り直しをしました。
ただ、モルタルのクラックや亀裂への印象は、美観を損ねると捉える人もいれば、味わいのあるものと捉える人もいます。
捉え方は人それぞれなので難しいですね。
仕上げの職人さんの技術によって経年劣化の早さや美観につながってくるようです。
まとめますと、
- モルタル•••初期費用が安い、メンテナンスが大変
- タキロンシート•••初期費用が高い、メンテナンスが楽
賃貸物件は人の出入りが多く、色々な価値観の入居者様がいらっしゃるので、万人受けする清潔感のある外観がより好まれます。
モルタルの経年劣化を味わいと捉える人がいれば、一定数は黒ずみやひび割れにマイナスなイメージを持つ方もいるのです。
モルタルのテイストが好きな方は、モルタルとタキロンシートを併用するのも一つのアイディアです。
そうすることでモルタルで吸音し、タキロンシートで劣化予防ができ、美観が保たれ快適性が生まれます。
片方でデメリットのある部材でも組み合わせることで費用も予算に応じてうまく調整できます。
快適な美しい物件のために
モルタルには、その独特な温かみや意匠性、デザイン自由度の高さというメリットがありますが、ひび割れが発生するというデメリットもあります。
経年劣化しにくいタキロンシートと併用することで入居者様にとってもオーナー様にとっても、快適性のある美しい物件になることでしょう。
モルタルとタキロンシート、それぞれのメリットデメリットを把握し取り入れることで満足度の高い賃貸物件が実現します。
- この記事を書いた人
- 菊地 はる
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