壁紙の起源と日本における壁紙の歴史とは?現代で進化した壁紙の種類も解説!

お部屋の雰囲気を決める大きな一因と言っても過言ではない壁紙。

不動産に関わる人の間では通称「クロス」と呼ばれています。

壁紙選びでは、「どんなデザインか?」「汚れやキズは付きにくいか?」という外見や機能性に関することを考える方は多いはず。
しかし、そもそも壁紙はいつから始まりどのようにして日本へ伝わってきたのか…と考える機会は多くないですよね。

そこで今回は、壁紙の起源や日本に伝わるまでの歴史などについて解説いたします。

壁紙の種類や特徴もご紹介していますので、参考にしてみてください。

壁紙の発祥地について

壁紙の起源は諸説ありあますが、中国で壁紙の文化が発祥したという説が有力と言われています。

明(1368年~1644年)の時代には内装デザインとして壁に紙を貼って楽しむ習慣があったとされており、その頃訪れた宣教師によって壁紙文化がヨーロッパへ伝えられました。

ヨーロッパでは8世紀頃からデザイン性のある印刷が施された紙を文房具や壁面に貼るという行為が記録されていますが、この時点の製紙技術や印刷技術は普及に進歩が必要とされるレベルでした。
そして16世紀頃、製紙技術や印刷技術の進歩により「印刷された内装仕上げ材」としてヨーロッパ主要国で壁紙が普及し始めたのです。

なお、1509年にイギリスで作られたザクロ模様の壁紙が「世界最古の壁紙」と言われています。

日本における壁紙の歴史

日本には、平安時代頃に中国から壁紙文化が伝わったとされています。
しかし現代のようにそれぞれの家屋の壁に貼り付ける…という手段ではなく、屏風・襖・障子の装飾材料という形で独自に発展していきました。
特に屏風は水墨画が描かれるなど、当時からデザイン性が重要視されていた傾向にあったようです。

江戸時代になると屏風に金箔を使用するなどデザイン方法が進化していき、贅沢品や芸術品として認識されるようになります。

日本国内で本格的に壁紙の製造が始まったのは明治時代。
イギリスの鉄道技師から教えられた日本橋の紙問屋が和紙による金唐革調の壁紙がつくられ、ウイーン万国博に出展したところ大好評となり、その後壁紙の輸出ブームにつながりました。
ただし、輸出の動きが拡大しただけでこの時点では未だ一般の住宅に普及したわけではありません。

日本で壁紙が一般向けに普及したのは、戦後と言われています。
日本の復興需要や東京オリンピックに伴うホテル建設、高度成長期による住宅建築ラッシュにより、壁紙が普及し始めます。

マンションブームの起こった1960年代は、住宅都市整備公団が供給した団地型のマンションが新しい居住の形として注目を集めていました。
大量かつ画一的な住宅づくりに最適な壁紙は、団地型マンションの建設において重宝されたことからさらに普及が拡大していきました。

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現代で使われている壁紙の種類

壁紙が登場する前、ヨーロッパではフレスコ画や毛織物、革壁などが室内装飾材料として用いられていました。
一方、日本では戦後の住宅において壁に麻布を貼るという仕上げ方法がブームとなっていたようです。

では、壁紙が完全に普及した現代ではどのようなものが使われているのでしょうか?

ビニールクロス

塩化ビニール樹脂などを主な原料としており、ビニールシートに紙を裏打ちして作られた壁紙です。
低コスト・優れた耐久性・お手入れがしやすい・豊富なデザインとメリットが多く、日本では9割以上もの普及率を誇ると言われています。

紙クロス

紙製は欧米で多く使われており、パルプを原料とした洋紙タイプの輸入品も日本国内で出回っています。
プリント加工やエンボス加工された物、和紙、非木材を原料とした特殊紙タイプなど様々な種類があり、ヨーロッパ風の鮮やかな雰囲気を演出できるデことが特徴です。

織物クロス

木綿や麻などの自然素材を使用した織物、不織布、シルク、サテンなどの素材から作られた壁紙です。
織物の壁紙を張ることで高級感のある雰囲気を演出できるため、美術館やホテルに使われている場合が多いです。

無機質系壁紙

自然素材の土や石、セラミック、ガラス繊維などを原料としている壁紙です。
防火性に優れている他、塗装した壁のような風合いや質感を低コストで実現できるメリットもあります。

オレフィンクロス

プラスチックの一種であるオレフィンを使った壁紙で、ポリエチレンやポリプロピレンといった合成樹脂が主な原料とされています。
表面に傷が付きにくく、焼却の際は煙や塩化水素などの有害物質が発生しないため機能的かつエコな壁紙です。

壁紙の歴史と進化から分かる室内装飾材料の重要性

壁紙の歴史を遡ってみることで、壁紙がどのようにして世界へ普及を遂げていたのかがお分かりいただけたかと思います。
壁紙だけでなく様々な種類の室内装飾材料が出回っている現代の部屋づくりにおいては、どのようなものを選ぶかによって住み心地が大きく左右されます。

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この記事を書いた人
浦野 瞳
様々なジャンルで執筆経験があるフリーランスWEBライターです。 執筆時はリサーチにリサーチを重ね、複雑な不動産関係の知識も分かりやすくお伝えしています。 読者の皆様に、「痒い所に手が届く記事」と感じていただけていれば幸いです。 住宅やインテリアの情報に対しては特に関心が強く、情報の正確性を高めるため個人的にも勉強をして知識をつけています。 実際に賃貸暮らしを続ける中での経験・所感も活かし、オーナー様・入居者様どちらの視点も考慮しながら情報を発信いたします!
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