都市緑地法とは?改正で運用指針・対象地域・緑化率などがどのように変わるかわかりやすく解説します!

都市緑地法とは、都市の環境を守るために欠かせない法律です。

平成29年、昨今のまちづくりの課題を解消できるよう、内容が一部改正されました。

法改正で、関連する法律や制度も変わり、対象地域や緑化率なども変わっています。

改正後の運用指針などをわかりやすく解説します。

都市緑地法とは

都市の緑地を守り、緑化を進めることで、良好な都市環境を目指すことを目的とした法律です。

都市の緑地保全と緑化の推進に関する制度などについて定めています。

昭和48年「都市緑地保全法」として制定されてから複数回の一部改正を経て、平成29年に改正されました。

平成29年の改正理由

緑の多いまちづくりを進める中で明るみになった課題を解決しながら、街の緑を守り、緑化を確実に進めるためです。

以下のような課題が浮き彫りになりました。

 

  • 市民1人あたりの公園面積が少ない地域の存在
  • 住宅のための土地に転用できる農地の減少
  • 都市で緑が守られる貴重な空間とも言える公園の老朽化、公園を上手に活用できていない
    (地方公共団体の財政・職員数の減少による影響です)
  • 緑地の維持に有効な土地・空間が減る一方、空地は増えている

都市緑化法改正で関連する法律・制度はどう変わった?

  • 緑地保全・緑化推進法人(みどり法人)制度の拡大
  • 民間の企業などが市民緑地を整備できる制度の新設
  • 緑化地域制度の改正
  • 緑地の定義を農地まで拡大
  • 緑の基本計画の記載事項の追加

 

それぞれどのように都市の緑化に貢献するのか解説します。

 

緑地保全・緑化推進法人(みどり法人)制度の拡大

財政・人員面で、地方公共団体だけで緑地の保全・整備をするのが難しくなっています。

一方、緑地の保護や緑化の推進に積極的なNPO法人や企業が増えています。

そこで、自治体との連携で民間団体が主体となって都市の緑を守る活動ができるよう、みどり法人の指定対象が広がりました。

 

下記の表の太字の団体が、新たに指定を受けられるようになりました。

改正前 改正後
指定する人 都道府県知事 市区町村長
指定を受けられる団体
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人
  • NPO法人
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人
  • NPO法人
  • その他の非営利法人
  • 都市の緑地の保全と緑化の推進を行う企業

 

みどり法人の指定を受けると、指定を受けた市区町村で以下のようなことを行えるようになります。

 

  • 市民緑地の設置と管理
  • 特別緑地保全区域内の緑地管理※管理協定に基づく
  • 都市計画区域内の緑地の買取り、買取った緑地の保全

など

みどり法人が市民緑地の設置や緑地の買取りで、土地の所有者様にも以下のようなメリットがあります。

  • 固定資産税・都市計画税の軽減

みどり法人の設置によって市民緑地が設置された土地の所有者が受けられます。

  • 譲渡所得の控除

みどり法人が買取った特別緑地内の土地所有者が受けられます。

 

民間の企業などが市民緑地を整備できる制度の新設

緑地が足りない都市がある一方、空地が増えているのを解決するために市民緑地認定制度がつくられました。

※緑化施設整備計画認定制度は廃止されます。

新しい制度で、NPO法人や企業などが主体となり、空地を市民のための緑地スペースとして活用できるようになります。

管理できる団体や緑地の条件をまとめました。

対象地域 設置・管理できる団体 緑地の条件
緑化地域内・緑化重点地区内

※緑化重点地区とは、緑化地域以外で緑化を特に進めるべきと定められた地区。

たとえば、緑の少ない住宅地、防災上緑地の確保が必要な地区などです。

NPO法人、企業、住民団体など

※みどり法人も含まれます。

面積300平方メートル以上

緑化率20%以上

設置管理期間5年以上

 

管理・設置がみどり法人なら、市民緑地の土地の固定資産税と都市計画税が軽減されます。

 

緑化地域制度の改正

緑化地域制度とは、緑が不足するエリアで一定以上の緑化を市町村が義務づける制度です。

改正前、緑化率は「敷地面積の25%」「1-(建ぺい率+10)%」いずれか小さい方の数値以上と定められていました。

しかし、商業地域など建ぺい率の高い都市の緑化を進めるために、緑化率の最低限度が25%のみとなりました。

屋上や壁面の緑化が普及したためです。

改正前は敷地内の空地の緑化を想定していたため、建ぺい率の高い地区の緑化率は低く設定されていました。

緑地の定義を農地まで拡大

食の安全意識、農業体験などで、都市農業への関心は高まっています。

人口減少で農地を農業以外の土地、たとえば住宅用の土地などに変える必要がなくなってきています。

そこで、農地を緑地に含め、地域のために保護・活用しやすくしました。

都市緑地法と運用指針に、緑地の定義に「農地を含む」ことが追加されます。

緑の基本計画など、「農地を含まない」記載があるものは、記述が削除されます。

下記は、農地が緑地と定義されるメリットの一例です。

  • 棚田、茶畑などの景観保護
  • 希少生物の生息地になる
  • 地域住民が交流を深められる農園として活用できる
  • 災害時の避難場所の確保

など

▼農地活用のひとつの形、生産緑地についてはこちら

緑の基本計画の記載事項の追加

緑の基本計画とは、緑地の保全と緑化の推進のための方法や目標を市町村が定めたものです。

公園の老朽化の進行、都市の農地の重要性の高まりを受け、緑の基本計画に公園の管理と農地を守るための内容が追加されます。

たとえば、公園の施設の計画的なメンテナンス、イベントの実施で公園の魅力を伝えて活気を取り戻すなどが求められます。

農地を含め緑の多いエリアは、景観保護をしながら農業体験できる土地にするなどで農地が守られます。

法改正で都市の緑が守られ続けるだろう

都市緑地法は、大きく分けて5つのポイントが改正されました。

公園や空地、農地などを上手に活用し、都市の緑を守りながら緑化が進むようになりそうです。

自然保護や緑化にどこまで厳しいかは、自治体で異なります。

自治体の条例も確認しながら、植栽などで地域の緑化に協力できる賃貸住宅を一緒に作りませんか?

▼見た目だけが効果じゃない?賃貸住宅を緑化する意味とは
この記事を書いた人
星脇 まなみ
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