外国人が賃貸に住むのが難しい理由は?

法務省によると、在留外国人(3ヶ月以上日本に滞在する、外国人登録している人)の数は年々増えています。

さらに、平成27年の国勢調査では、50%の在留外国人が民間の賃貸住宅を利用していることが分かっています。

ところが、入居を断られる経験をした方は少なくありません。

もちろん、賃貸契約や入居中に問題がなければ、日本国籍か否かに関わらず部屋を貸したいオーナー様はいらっしゃいます。

誰にでも住みやすい賃貸の提供は、社会的にメリットがあります。

本記事では、外国の方へのお部屋の賃貸でに注目しオーナー様と借りる方が向き合う現状を解説します。

国籍に関係なくさまざまな人たちに住んでもらいたいと思うオーナー様ができる工夫も紹介します。

外国の方が日本での賃貸借契約は難しいと言われる理由

日本と海外の住宅賃貸事情の違いが影響していると考えられます。

日本 海外
敷金・礼金・更新料 ゼロゼロ物件(敷金・礼金ゼロ円の物件)であっても、更新料はかかる かからない
原状回復 借主の義務 借主に義務がない国もある
保証人 必要

※保証会社の利用も可

不要

費用の仕組みや日本との文化の違いによるトラブルを懸念し、外国の方の入居をよく思わない方もいるため賃貸借契約を結ぶことのできる物件が少なくなってしまうのです。

次に、日本と海外との違いで起こり得ることをご説明します。

初期費用・更新・原状回復費用の違い

賃貸借契約の説明は、対日本人でも難しいものです。

母国語が日本語でない方にとって、契約前や更新、退去時に返還される(または支払いが必要な)費用の理解だけでも大変かと思います。
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借主に義務がないなど、原状回復についても日本ほど厳しくない国もあります。

費用負担でもめたり、大がかりな工事が必要なほど部屋を汚くされるなどが起きています。

中には、家賃滞納したまま帰国してしまう事案も。

保証人/保証会社の有無の違い

保証人不要で部屋を借りられる国も多いです。

その代わり、家賃を滞納したらすぐに退去を命じられてしまいます。

それと違い、日本では入居者が滞納をしたからといって勝手に部屋の鍵を開けて入ると不法侵入となったりと、オーナー様ができることに制限がかかっています。

日本の賃貸借契約は、オーナー様(貸主)よりも入居者様(借主)の権利のほうが強いです。

保証会社/保証人をつけるつけないの違いが出るのには法律の違いが理由の1つにあるのでしょう。

 

保証会社の利用には、家賃と別に保証料がかかります。

保証人/保証会社を使わなくても部屋を借りれるのが当たり前だった方にとっては、違和感を感じる方もいるかもしれません。

文化の違いによる居住マナーのトラブル

ベトナムのようなルームシェアが盛んな国の方だと、複数人で1部屋を借りることは普通です。

ワンルームは1人で住むものと伝わっていないと、知人とのルームシェアを考えるかもしれません。

しかし、「ルームシェアが一般的」といった文化の違いによるトラブルは予想しにくく、外国の方を敬遠するオーナー様もいるかもしれません。

文化の違いによるトラブルは、外国で部屋を借りる日本人の事例を見ると想像しやすいかと思います。

よく聞かれるのは、「お風呂が長すぎる」という声です。

海外の賃貸物件は、バスルームが共同のことが多いです。

水がタンク貯蔵式のためその日に使える量が有限だったり、普段はシャワーを浴びるのが一般的な国の方からすると、入浴習慣は珍しい文化です。

ゆっくりお風呂に入っていないつもりでも、その国の人にとって長いため「バスルームを使えない」という苦情が来ることがあるようです。

日本での住まいが決まらないと困ること

日本での住まいが決まらないと、銀行口座の開設や携帯電話の契約ができず、給与振込などでも問題が起こります。

 

在留外国人が携帯電話を契約する時、国内の銀行口座が必要です。

銀行口座の開設時、本人確認に加えて電話番号が必要なこともあります。

在留カードはもちろん本人確認書類に使えます。

ただし、入国時には住所地が「未定」となっています。

本人確認書類は契約者本人であると確認できることに加え、居住実態も大切です。

住まいが確定する前だと本人確認書類として不十分で、銀行口座の開設や携帯電話の契約などに支障をきたします。

社会貢献を考えるオーナー様ができること

  • 「外国人可」をアピールする
  • 家具・家電付き物件にする
  • 住宅セーフティネット制度に登録する

「外国人が住めること」をアピールする

外国人というのを理由に入居を断られるケースが少ないとは残念ながら言えません。

仲介会社の側も、ご契約できる物件を探すこと自体に苦労しています。

よって、日本人でなくても快く入居を受け入れてくれる、外国人の住んでいた実績のある物件は、外国の方の仲介に力を入れる会社で名が通ります。

外国の方が多く働くエリアにアクセスしやすい街など、外国の方が多く住む特定の街があります。

外国の方に人気の街に物件を所有しているなら、外国人のご契約ができることをアピールすると効果的でしょう。

家具・家電付き物件にする

海外の賃貸住宅は家具が付いていることがほとんどです。

日本に来たばかりだと家具・家電を揃えることから始まるかと思います。

そこで、他の物件と差別化を図る方法として、家具・家電付き物件は検討する価値アリです。

住宅セーフティネット制度に登録する

住宅セーフティネット制度とは、外国の方など部屋探しに困ることの多い方のために空室や空き家を活用できる制度です。

どんな人にも平等な賃貸住宅業界へ

弊社の物件にも外国の方が入居されています。

契約前から連絡が早いなど、断られた経験があるためか皆さんキチンとされています。

実際に外国の方が入居され、人となりに触れたことで、国籍に関係なくあらゆる方に住んでもらいたいと思うようになったオーナー様もいるかと思います。

契約後には、外国の方が契約や入居時に困らないための不動産会社のサポートも欠かせません。

外国の方の賃貸借契約に不動産会社はどのように寄り添えるのかを記事にしました。ぜひご覧ください。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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