横浜スタジアムの増設は法改正が必要だった?座席の傾斜が急な理由は?横浜らしさを感じるスタジアムなのは市の景観計画との関係!

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横浜スタジアム(通称:ハマスタ)は、急傾斜の座席が特徴のひとつ。

行ったことのある方なら、「横浜っぽい」「おしゃれ」とも感じたのではないでしょうか。

どちらも、法律や横浜市の景観計画が関係しています。

街並みを上手く取り入れて印象に残る建築物の計画の参考になる事例を紹介します。

横浜スタジアムは法改正で増築できた?座席の傾斜が急なのはなぜ?

横浜スタジアムは、横浜公園内にある球場です。

故に、本来なら横浜市の公園条例の建ぺい率が適用されます。

しかし、建設当時は国の了承を得て、スタジアムの地面に接した部分のみ建築面積と見なす特例で建ぺい率が定められました。

そこで、建ぺい率をクリアしつつ座席数も確保するために、傾斜をつけることになりました。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築物の面積です。

ところが、他の市内の公園と同じく「横浜市公園条例」の建ぺい率が適用されることになりました。

適用されるようになったタイミングは、東京オリンピックの会場に使用するために増設が必要となった時です。

公園条例にのっとると、建ぺい率に地面に接していない部分も含まれます。

横浜市公園条例では、運動施設などは特例で建ぺい率の上限が上乗せされます。

法改正で、横浜公園のみは建ぺい率の上乗せ分が大きく増え、上限も上がりました。

法改正前 法改正後
通常の建ぺい率 特例の建ぺい率 通常の建ぺい率 横浜公園の建ぺい率
2% 12%(10%上乗せ) 7% 38%(31%上乗せ)

おかげで、座席数は6,000席ほど、延床面積は12,000平方メートルほど増えました。

増築部分には、エレベーターや多目的トイレも設置されたので、収容人数不足への対応とバリアフリー対応を実現しました。
▼建ぺい率とは何か、解説はこちら

横浜公園周辺の景観計画について

横浜スタジアムは、以下の点で横浜らしい印象を受けます。

  • 開放的で港のさわやかさを感じられる
  • 歴史的建造物の特徴が取り入れられている

おそらく、横浜市が景観を守るためエリアごとに決まりを定めているからだと思われます。

横浜市は、横浜らしい景観をつくる10のポイントを挙げています。

横浜スタジアムと横浜公園に特に関係のある項目を紹介します。

  • 街の個性と調和の取れた魅力的な街並みの形成
  • 歴史的景観資源の保全と活用による景観づくり
  • 水と緑の保全・活用と創出による景観づくり
  • 人々の交流や賑わいの景観づくり
  • 街の個性を引き立たせる夜間景観
  • 周囲に比べ、高さや大きさのある建築物の景観的工夫
  • 想像力がかきたてられ、物語性が感じられる景観づくり

引用元横浜市公式情報

関内地区の街並み・建築行為について

横浜公園は、歴史的・文化的資産を保護・活用しながら、商業・観光・文化芸術活動などで活気にあふれる関内地区に位置します。

関内地区の街づくりの指針から、スタジアムの横浜らしさが見えてきます。

以下が、関内地区の街並みのポイントです。

  • わかりやすく、奥行きと賑わいのある界隈を巡り歩いて楽しめる街を創る。
  • 関内地区の街並みの特徴を生かし、ミナト横浜を感じる眺望が楽しめる街を創る。
  • 開港の歴史や文化の蓄積を活かしながら新しい文化を生み出す街を創る。

引用元横浜市公式情報

関内地区の街並みが活きる建築物はもちろん、人々が快適に歩いたり積極的に交流できる空間も求められます。

建築行為の重要項目をいくつか取り上げます。

  • 通りの低層部のしつらえを工夫して、連続性のある賑わいを創出する。
  • 緑化や水際の活用により、まちに潤いを創出する。
  • ミナト横浜の歴史を大切にし、関内地区の魅力・個性を伸ばす。
  • 中層、高層の建築物は、デザインを工夫し、魅力ある街並みを形成する。
  • 港や丘などからの眺望景観が魅力的になるよう工夫する。

引用元横浜市公式情報

 

その他、以下のような制限もあります。

  • 建築物の新築・増築に限らず、外観を大きく変える時にも届出が必要
  • 建物の素材、高さ、デザイン、色彩などの決まり

たとえば、横浜公園近くの日本大通りの特定地区は、レンガの使用、歴史的建造物に調和する高さ・デザインなどが求められます。

横浜公園の景観について

横浜公園は、以下のような景観を目指します。

開港当時からの歴史と、日本大通りに隣接する関内地区の中心という立地を生かして、横浜を代表する良好な景観を形成する公園とする。

引用元横浜市公式情報

横浜公園は、関内地区の緑の保護に役立っています。

都市公園の整備に関する事項及び都市公園法にのっとり、公園と公園内の施設のデザインなどには基準が設けられています。

いくつか紹介します。

 

  • 公園内の設備及び施設などは、関内地区の中心に立地する歴史ある公園としてふさわしい形態意匠とする。
  • 公園周囲のスクラッチタイルの塀が形成する、周辺の建築物と調和した景観を維持する。
  • 公園内の設備、施設及び占用物は、横浜公園から港への通景の視点場や港から見た際のアイストップとして支障のない位置に配置し、関内地区の中心に立地する歴史ある公園としてふさ わしい形態意匠とすること。

引用元横浜市公式情報

横浜スタジアムは景観計画をどのように取り入れた?

  • 公園内にある
  • 周辺は歴史的建造物が建っている
  • 海側からの眺めに配慮が必要

 

上記の理由で、スタジアムは周囲になじみ、横浜を感じるよう計算されたデザインです。

周辺に高い建物がなく、空がよく見えるため、空の色と調和するブルーが使用されています。

港に浮かぶ船を連想させる白も使われています。

ブルーとの組み合わせで、港も連想させそうです。

日本大通りとのつながりを感じられる「スクラッチタイル」も用いられています。

スタジアム内の壁にも、タイル調の装飾が採用されています。

公園内の噴水を活かしながら、タイルを取り入れたゲートもあります。

改修で公園の外からの景色を変えないよう、改修前のデザインを活かしながら増築されました。

夜景も楽しめるよう、夜間も高層部は防犯上問題のない程度に照らされます。

横浜公園は都市公園なので、豊かな自然の提供など良好な環境が求められます。

たとえば壁面緑化。

公園内には日本庭園も残されています。

上手に緑を取り入れたり、庭園に影響のないように増設したおかげで、スタジアムと庭園の共存が実現しました。

多くの人が集まれる、にぎわいのある空間であることも望まれます。

新たに設置された2階回遊デッキや屋上テラスは、市民のためのイベントなど試合以外での使用も想定しています。

景観に厳しい街での建築は地区の特徴や注意点を押さえることから!

横浜スタジアムは、美しい街並みが特徴のエリアの公園内にあります。

故に、周囲の景観を守りながら、集客力も高めなければなりません。

また、自然を保ち、多くの人でにぎわう空間であることも求められます。

印象的な建築物は、条例などが関わっているケースが多いです。

心に残る建物のデザインの過程は、その街にふさわしい賃貸住宅のデザイン選びの参考になります。

この記事を書いた人
星脇 まなみ
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