不動産投資のリスクとして9つ挙げられます。
完璧に回避することは難しくても、リスクを小さくすることはできます。
本記事では9つのリスクの要因・対策と合わせて、大きな失敗をしないために押さえるべきポイントを紹介します。
目次
不動産投資9つのリスク
建物リスク
設計ミスや施工不良などで建物の欠陥や構造上の問題が生じるリスクです。
経年と共に修繕やメンテナンスが必要になることも指します。たとえば新築物件は建物リスクが低い一方、中古物件はリスクが高いです。新築の方が経年劣化が進んでいないためです。
家賃回収リスク
家賃の滞納や、滞納を通告しても支払ってもらえないリスクです。
物件毀損リスク
事故物件となるリスクです。事故物件は避けられやすいなどを理由に価値が下がることが懸念されます。
持ち逃げリスク
経営不振などを理由に管理会社が家賃を持ち逃げして倒産するリスクです。
空室リスク
長期間空室が続き家賃収入が入らないリスクです。
経営リスク
家賃収入を使い込み過ぎてしまうリスクです。
- 修繕費、建築費、税金、広告費など賃貸経営にかかる費用がかかり過ぎた
- 賃貸経営にかかる費用の把握が甘かったために収益を使い過ぎた
上記が原因で必要なメンテナンスができなくなる状態に陥ります。
災害リスク
自然災害・火災で物件の損傷・滅失といった損害を受けるリスクです。
価格変動リスク
家賃が下がる、購入時より売却価格が値下がりするなどで損をするリスクです。
外部環境変動リスク
以下のような要因で収益物件の価値が下がるリスクです。
- 物件周辺に競合物件ができた
- 周辺環境の変化で人気のエリアが変わった
- 感染症などの影響で人々のライフスタイルが変わって需要のある物件が変わった
など
対策
リスクは対策次第で小さくできます。それぞれのリスクへの対策を紹介します。
建物リスク
- 建築会社の事例を調査
- 建築中の現場チェック
専門的な点以外でも建築会社の仕事ぶりを予想することはできます。
たとえばあいさつをちゃんとしている、整理整頓されているなど、お客様への応対がきちんとしている業者なら、質の高い仕事をする傾向があります。
評判や口コミを見たり、契約内容の確認も大切です。
どこまでやってくれるかの双方の認識が異なると「完成」「不備」の評価が分かれます。
事前に工事内容を確認することで、仕上がりのすり合わせができます。チェックの細かい依頼者と分かれば、業者もいつも以上に丁寧な仕事をしてくれるはずです。
家賃回収リスク
家賃保証会社との契約がおすすめです。
家賃保証会社は、集金や滞納時の入居者様対応をオーナー様の代わりに行います。滞納が起きたら家賃を立て替えるので、オーナー様は収入が入らない心配がありません。
物件毀損リスク
殺人なども原因なので100%防止するのは難しいです。しかし、リスクを小さくすることはできます。
たとえば、オーナー様や管理会社が入居者を気にかける、コミュニケーションをとるなどです。
警備会社の見守りサービスを導入すれば、ご高齢の方の異変にすぐ気づき、万が一の時にも対処できます。
管理会社が巡回していても、入居者様のお部屋の中までは分かりません。
入居者様とコミュニケーションをとっていれば「近隣から異臭がする」などを知らせてもらえるかもしれません。
物件毀損リスクは完璧には避けられませんがリスクを減らすためにできることはあります。
リスクをなくすことより、万が一事故物件になった後の処理をスムーズにできる対策が重要です。
持ち逃げリスク
管理業の登録がされているなど体裁が整っているか確認しましょう。
管理会社の収納代行を止めてオーナー様に直接家賃が入金されるようにしておくと、万が一の時も安心です。
※収納代行:オーナー様の代わりに家賃を集金する方法
持ち逃げリスクを減らせるメリットがあるものの、入金確認のために管理会社に入金情報を知らせたり、滞納を報告しないと家賃保証されないなどのデメリットはあります。
後で管理会社に委託料を支払う方式だと、振込手数料がかかるなど手間がかかる以外にも注意が必要です。
いきなり会社が潰れる予兆はありません。
持ち逃げリスクを減らすか手間を減らすか、どちらを優先するかはオーナー様次第です。
空室リスク
- 客付けに強い会社に依頼する
- 管理会社内にリーシング部門があるかどうか確認する
リーシング部門のない管理会社は客付けを他社に任せていることもあります。社内にノウハウのある会社の方が、空室が埋まらない時にすぐに対策してもらえます。
経営リスク
大がかりな修繕が必要になった時、修繕積立金があるとすぐに対応できます。
何にいくらかかるか把握できると、手元に残る金額が分かります。
予備費があると、空室が長引いて収入が入らないなどの時も安心です。数字に強いと余裕を持って不動産投資できると言っても過言ではありません。
災害リスク
災害はいつ起きるか分かりません。完璧に防ぐのは難しいですが、不動産を購入する前にハザードマップを確認しておけば、災害が発生した時に甚大な被害が出るだろうエリアを避けられます。
起きた後の対処を考えるなら保険への加入がおすすめです。
価格変動リスク
- 周辺環境などをしっかり調査する
- 家賃を簡単に下げない
- 特殊な物件を買わない
物件のメンテナンスに力を入れて価値を維持できれば、家賃を下げずに済みます。
家賃は売却価格に影響します。故に、下げないことが推奨されます。
たとえば1棟10戸5.1万円の建物の家賃を1部屋あたり1000円下げると、1年間で1000×12ヶ月=1.2万の減収です。10年間で12万円の減収になります。
表面利回りには家賃収入が計算式に入っているため、利回りも下がって売却時に魅力に欠ける物件となります。
※表面利回り=(年間家賃収入÷物件価格)×100
駅近のワンルーム、駅から遠いならファミリー向けなど、エリアの特徴からニーズのありそうな物件を選べば、王道から外れにくいです。
事故物件や融資の降りない物件、違法建築を買わないなどは前提です。
成功するには
- 完璧を求めないこと
- 全てが成功すると思わないこと
自分の中で70・80点、いわゆる腹八分めなら御の字という気持ちが大切です。
失敗したことは考えたくありませんが、失敗した時はどのように自分で責任をとれるか考えることも必要です。
儲けようとすると損するリスクも高まります。余裕を持って欲深くやりすぎないことも忘れてはなりません。
大きなリターンが欲しいならリスクをとらざるを得ないこともあります。そこで、大きくは儲からなくても損はしない、最終的には売却益をとれる「失敗しないコツ」を押さえるのも良いでしょう。
失敗しないコツは王道を行くこと。たとえば家賃も売却価格も下げないといったイレギュラーなことはしないことです。
リスクを理解・コントロールした上で賃貸経営を
不動産投資のリスクには家賃が入らない・持ち逃げされる、事故物件となって価値が下がる、空室が埋まらないなどがあります。
全てのリスクを完璧に回避することは難しいですが小さくすることはできます。ご自身の経営タイプを整理すると、どのリスクが許容できるか判断しやすくなります。
- この記事を書いた人
- 星脇 まなみ
- 2016年からフリーランスでライターとして活動しています。 主に住まい・暮らし・生活に関する記事を制作してきました。 住みやすい街や今後熱くなりそうな街や都市開発、資産運用への関心が強いです。 住宅設備で1番好きなのはトイレ。外出先でもメーカーやデザイン、使い勝手が気になってしまいます。
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